01-運命の日-
誤字脱字があるかも知れませんがよろしくお願いします。
この物語はフィクションです。
「相変わらずだよな・・・・・・」
俺は思うところをぶちまけるようにそう呟いた。
秋が始まりを告げた、9月1日から1週間が経った、9月8日のことである。
夜――なんとなく夜が長くなった気がしたその日の夜に、特に何かするでもなく外の世界を眺める様な気分で居た。空の星やら月やらを適当に見ていた。
さて・・・・・・時間を守らなければ、あいつに鍵を閉められてしまうだろう・・・・・・。
今は何時だろうか。
そんな事を思って、街を少し足早に去って行こうとするサラリーマンの方へ向かう。急いでいる人である方がいいだろうとアイツが言っていた。そして、そのサラリーマンとすれ違う。
『11時22分…あーーー!電車間に合うかぁ!?』
サラリーマンは走って通り過ぎて行く。俺は、少し歩いて進むが、立ち止まる。
「あぁ…。12時までに帰るなら、もう帰っとくかぁ…。」
そう呟いて、少し歩いて、街の中心街から広い道へと移動する。途中には踏切があるが、電車が来る気配はない。
ここは、中心街のようなネオンもなく、それ故に人の姿もほとんどない。この世界をだらしなく生きて行こうしているチャラい(古いかな?)男女のカップルと、この世界の未練を思い出しているのだろう、熟年の夫婦。そのくらいだった。
そこまで「恋」というものに対してに興味のなかった俺は、どことなく不快だったので、さっさとその道を去りたかった。
だから、直ぐに角を左に曲がり、遠くに逃げようとした
が。
ドンッ!
少し焦っていたのか、同級生くらいの少女とぶつかった。
「痛ッ」
「あ、ゴメ―」
『明日……で……が起こる………』
頭に、言葉が流れ込む。かなりノイズが入っている。
「―ン」
暗くて表情はよくわからないが、髪は腰のところまである。男子としては、それが長いのかどうかわからない。その少女に右手を差し伸べる。
理由は2つ。1つは、その少女がぶつかった衝撃で、倒れてしまったからだ。
もう1つは――。
「結構よ」
少女はそう冷静に断ると、自然な動作で立ち上がり、そのままそそくさと歩いて行ってしまった。
「明日……何か起こる……!?」
少女が角を曲がった。少し遅い反応だったが、走りだす。もちろん間に合うと思っていた。
予想通り、すぐ目の前に、少女はいた。
踏切が下がっている。電車も、右方向20mくらいの所に見えている。
そこに向かって少女は歩いていく。
「………セーフ」
心からそう思っていた。
しかし、その少女は何の躊躇も無く、踏切をくぐりぬけて行く。
「!!」
俺は走りだした。
間違いなく、逃げられる。
電車が目の前を通り過ぎる。
俺は少女の方向を見る。電車の連結との間で、彼女の姿が見える。
その姿は見え隠れしていてよくは見えなかった。しかし、どこか悲しそうにも感じる。
そして最後の電車の車両が通り過ぎた。もう彼女の姿は見えない。
中心街の方向に出たのなら、追いつく方法はないだろう。闇雲に探して見つかるようなところでもないだろうから。
もう周辺には、俺以外の姿はなかった。先ほどの老夫婦やカップルも居ない。
「・・・・・・どうしようか・・・・・・」
俺は、可能性を探すために自分のパーカーの肩のところを見た。運よく、1本の髪の毛が引っ掛かっている。引っ掛かりやすかったのだろうか。
長さ的にはさっきの少女の物とみて間違いないだろう。本日この日は、学校の女子とも関わっていないはずだ。
その髪の毛を右手で取った。
『虎郷 火水』
その髪の毛がそう告げた。
「まぁ…。明日もここにいるだろう」
そう思って、今しなければならないことを実行することにした。
11時40分。
ダッシュで帰らないと間に合わないだろう。
「あ~ぁ」
そう呟いて、夜の街を、走りだした。
家に入った。この家には、俺とあいつが住んでいる。まぁ正確には、家というより、単なる建物なのだが。故に、部屋は、かなり余っている。(その全貌については、乞うご期待)
鍵は開いていた。
11時56分という時間から、俺は絶対に危機的状況から誰かを救うヒーローにはなれないだろう。
しょうもなく、仕方がなく、しょぼいことを考えながら、俺は部屋のパソコンをつけた。
頭の中に何も無い真っ白な世界と、2人の人間の姿が見える。
『どもっす』
〔お、生きてたか〕
[てっきり滅んだのかと]
『どんな会話してたんですか・・・・・・』
[気にしなくて良い・・・。些細な事だ]
『お前の些細はまったく些細じゃねぇんだよ』
〔はい。喧嘩はしねぇの。管理者権限で消すぞ?〕
『そんな事はともかく、今日は、面白い人に会ったぜ』
[面白い人・・・・・・。アクターか?]
『多分なぁ。まぁ、どんな奴かもわからねぇさ』
〔・・・つーこたぁ、このギリギリ襲来もそれに関係してんだな?〕
『あぁ。おかげさまで、鍵は閉められなかったけど』
[ありがたいと思いたまえよ]
〔まぁともかく、明日はその件を2人で任せようか〕
『了解』[御意]
電源と同時に脳内が切れた。
いわゆる夢の世界への旅立ちである。
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