18-WRと今回のオチ-
あぁ・・・長いようで短い一生だった。
あ、違う。一章だった。
さて、俺もあの部屋「WR」に行かなければならないだろう。
俺は、隼人が置いていった、ノートパソコンの電源を入れて、ベッドに横になった。
「すいません。遅れました」
俺がそういうと、白い机に、それぞれ好みのドリンクを置いて、白い椅子に座っていた。
「遅かったな。嘉島」
「遅かったね。ソウメイ君」
「遅ぇじゃねぇか。嘉島」
「遅かったわね。嘉島君」
・・・一応説明しておくと、
上から今日元さん、隼人、東先輩、虎郷である。
「だから、遅れました、って言ったじゃねぇか」
主に、隼人に向かって投げかける。
「それもそうだね」
この部屋が一体何なのか。
これは、今日元さんが俺たちと気兼ねなく会話できるように、つまりは刑務所などというものを関係なく、生活できるように作られた部屋である。
名称:ホワイト ルーム 表記時:WR
という。
これは、この部屋のほとんどのものが白で作り上げられているからだ。
今、俺たちがいるのは夢の世界なのだが、そこで「トランスミッション」という、今日元さんの能力が発動するのだ。ここではその一部を紹介しておく事にしよう。
この能力は端的に言って、電子機器から電磁波を送り、夢を作り上げ、その際に同じ世界にいけるようにするらしい。彼女が言うには「夢の周波数を合わして、同じ夢を見ているのと同じ感覚にしている」だそうだ。
但し、さっき言ったとおり、ドリンクというものがあった。
アレは、夢だからこそ作れる物である。にも拘わらず、現実世界と一緒で味覚は作用するし腹も減る。
ここはそういう世界なのだ。
「君が、この間、嘉島が言っていた、面白い能力の女の子なんだろう?」
今日元さんが言った。
「ええ。私の能力は『ファントム・ダーツ』というらしいのですが、今は『フューチャーライン』も
使えます」
「あぁ。なるほどねぇ。私は今日元 終。こう見えて、同じ女の子だ」
「あ、はい。虎郷火水です」
と、向こう側で会話が弾んでいる。
「俺は東諒だ。この間はきつい一発ありがとう」
「すみません。私にも事情があったので」
あまり、感情のこもっていない声で言った。
「ともかく、これで僕たち5人は仲間だね」
「俺を含めるなって」
「まぁ、そういうなよ、嘉島。隼人だって、君を仲間にしたいんだ」
今日元さんにたしなめられてしまった。
結局のところ、俺はこの4人に仲間という認識を得られてしまった。
が、別に嫌な気分になるわけではない。
俺が、仲間になりたくないと願っていても世界は決まった形には進まないのだから。
彼女、虎郷火水が俺に見せたのは「決まりきったこの世界」に変わらないものは無いのだ。
決まりきっているこの世界でも、何もかもが変わっていく。
俺が、彼らの仲間になるためにも、変わってもらうしかない。この世界に。
「決まりきった未来なんて」つまらないから。
「決まりきったこの世界」の運命を替えていくべきなのだろう。彼女の能力のように。
オチって、何か、すごく難しく感じませんか?
今回のオチは・・・微妙ですね。
だから、僕の1番オチに相応しい言葉を引用します。
「何物も何者も変わらないものなどないというのなら、
運命にも変わってもらうとしよう」