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丸く収まったこの世界  作者: 榊屋
第零章 紡がれゆくあの過去
180/324

17-だから、-

 深夜過ぎとは言え、それでも人々の流れはホテル内に多くあった。

 流れ作業のようにスムーズな人ごみを尻目に、VIP専用のエレベーターを使って、スイートルームへ向かう。

 エレベーターは静かに稼動し、他の場所に止まる事も無く目的の場所に着いた。

「・・・・・・」

 エレベーターから降りて、そのまま部屋に向かう。

 廊下の絨毯を踏みしめる。音を床が吸収する。もしも、後ろから追いかけられていたら、洒落にならない。

「隼人、開けろ」

「はいはい」

 隼人はふたつ返事で扉を開けて、

「仕事はしてきたのか?」

 と、突然聞いてきた。

「それなりに」

「OK、いいだろう」

 何様だ。

 と思ったけれど、言わずに部屋に入り込んだ。

「どうだった?」

「思ったような感じだ。お前の推理どおりだと思うよ」

「そうか。ということはそろそろ、アレだね」

 そう言ってから、隼人はルームサービスで何かを頼んだ。


「腹が減っては戦は出来ぬ・・・・・・か?」

「・・・・・・知っているかな?」

 隼人はそう言って脚を組んで、ソファに座った。

「コナン・ドイルのシャーロックホームズは、お腹がすいている時のほうが推理力が増すと言っている」

「じゃあ、何を頼んだんだ?」

「君の夕飯。食べてないだろ?仕事を頼んでいたから」

「ああ・・・・・・そういやそうか」

 体質柄あまり空腹感を感じる事が無いために、いつも食べるのを忘れている。特に、朝食は抜く事が多い。


 ルームサービスが届いてから、俺は食事を取り始めた。

 名前もよく分からないものがあったが、取り敢えずマナー等は無視して口の中へと運んでいく。

「お前の推理だと、この後どうなるんだ?」

「僕の予想が正しければ、今夜から明日の昼までには新たな犯行予告が来るはずだ。僕はそれを狙う」

「狙う・・・・・・ってことは、そこで犯人を捕まえるってことか」

「そういうこと。協力してくれよ」

「分かってるよ」

 でも俺にはそれより先にしなくてはならない事があるのだ。

「俺、実質的にはあんまり寝てないんだよな」

 気絶で寝たような気分ではあるけど。

「知っている。僕は長い事寝ていたから、夜は大丈夫だ。後は犯人がどう動くかを全パターン考える」

「すげーことしますね」

「王の宿命だ」

 隼人はそう言ってから、同時に頼んでいたであろう、紅茶を口に運んでいく。

 俺は隼人のご好意に是非とも甘える方針で、ベッドに潜り込んだ。


 僕は夢を見た。

 その夢の中にはいつもどおり、2つの人影。同じ夢ばかりを見ている。

 影はいつもどおり会話する。


 僕は何も知らない。     お前は何一つ知らない。

 でも強い。         だから弱い。

 勝てる。          負ける。

 動かない。         覆される。

 留まる。          流れる。



 対極の言葉が飛び交う。1つの『知らない』という情報を肯定するために。





 次の日の朝。

「ソウメイ君」

 俺はその声に起こされた。

「何・・・・・・?」

「テレビ。見てごらん」

 言われたとおり、寝ぼけ眼でその画面を見つめる。


「予想通り。次の事件だ」


 だから、どうしてお前は笑っているんだ。


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