16-嘉島奏明-
それから5分位して、2人は「帰る」と言い出した。
「僕の家の空き部屋にヒスイ君は今夜から住むから」
「よろしくね」
「・・・いや。ちょっと待て。俺は、今日からここに入院するんだぞ。一つ屋根の下に中学生という青春真っ盛りの少年少女が2人きりというのは危なくないか?」
俺の優しい優しい忠告に、2人は
「心配するなよ。僕がそんなキャラに見えるかい?」
「あなたが妄想しているようなことは、ありえないでしょうね」
と、安心するセリフを吐いた。
「そうか。良かった」
「「最も、そんな妄想が現実になってしまう可能性もなくはないけどね」」
2人はそうハモると、部屋から出て行った。僕に心配を残したまま。
「・・・・・・・・・」
俺という存在がこうもあいつらと仲間という状況を拒んでいるのか。
それは、俺の目的にあった。
俺があいつらを利用しているのは、「家族」のためだ。
俺には、病院で昏睡状態の姉が一人。それを慕っている妹が一人。
俺たちを支えるために必死で働いている兄が一人。昔、山の土砂崩れで行方不明になった父が一人。
そして、その人たちと俺を支えているのが母だった。
俺は、父を探し、兄を助け、姉を治し、妹を世話し、母を楽にさせてやりたい。
そのためには、どんな危険も厭わない・・・・・・はずだった。
俺は、隼人たちに出会って心が変わった。
もし。ここで、俺が死んだらこいつたちを悲しませた上に、妹と兄と母に・・・昏睡状態の姉も目を覚ましたら、こいつらは俺の死について責められるんじゃないだろうか。
俺がこいつらと仲間だったら。親父みたいに消えたとき、或いは、死んでしまった時。
悲しみ、怒り、憎しみの心は増幅するだけではないのだろうか。
だったら、せめて俺はこいつらと仲間の関係であるべきではないのではないだろうか。
その考えが俺の仲間意識というものを妨害しようとしているのではないか。
そんな風に思って。
部屋の天井を見上げて眠りについた。
僕は、いつも小説を書くときは、
音楽にあわせて動かしてみます。
バトルだと、とても軽快にキーボードをたたけるので、楽しいです。