表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
丸く収まったこの世界  作者: 榊屋
番外編 前置きが必要なこの世界
159/324

11-白と黒の挟間で今日も-

 ま、流れ的には。

==================


 廃工場。

 それは、海馬が雅のために奮闘した、あの廃工場だった。

「まさか振ってくれるとは思わなかったよ」

 音河を見て、男が言う。

「お高く止まりやがって、女王にでもなったつもりかよ」

「・・・・・・」

 音河は拘束されていた。未だ、目に見える怪我は無いものの、衣服に乱れと汚れがある。

 その周りを5人の男子が囲んでいた。

「・・・・・・で、どうする?謝るの?付き合うか?」

「・・・・・・」

 ドゴ!

 と、爪先が音河の腹部入った。

「か・・・・・・ぁ・・・・・・」

 空気が漏れて、音河はうずくまる。

「もう一度だけ、聞いてやるよ」

 男は雅の髪を引っ張り上げ、

「付き合うか?付き合わないのか?」

「・・・・・・」

 音河は睨む。

「・・・・・・死ね」

 男は右膝を音河に向けてつきあげた。



『キングダム』

 白い世界が包んでいく。

 方眼用紙ではなく、それは真っ白な紙に包まれた空間だった。

「へぇ・・・・・・久しぶりに使ったら、どうも僕の世界も変わっていたみたいだね」

 以前、壊されて、戻っていないその鋼の扉を踏みしめて男は入ってきた。

 そしてそのまま白い世界が全てを支配する。

「な、何だ!?」

 それは世界という概念とその男に関してだった。

 金髪に制服で、且つ、乱れている服装。更に言えば、強い眼光。

「隼人!」

 音河は叫ぶ。

「てめーら・・・・・・何してくれてんだ!!」

 隼人はまるで飛ぶような速度で、間を詰めてきた。

「あ」

 ドゴォォ!!

 と、拳は最大限の強さで男を1人吹き飛ばす。

「な」

 会話の間も無く、もう1人を蹴り飛ばした。

「てめぇ!」

 1人が隼人の顔を殴る。

「死ね」

 隼人はそのまま頭で、拳を押し返し、さらに髪を掴んで、膝蹴りで顔面を潰す。

「お前ら舐めてんじゃねーぞ」

 隼人の言葉は乱れに乱れて、拳は更に暴れる。

 そして残り2人も難なく、吹き飛ばした。


『解除』

 白い世界は今までのように崩れるのではなく、フェードアウトするように消えていった。

「・・・・・・隼人」

 音河が呼ぶ。

「ゴメン・・・・・・僕の所為で・・・・・・」

「いや、大丈夫だけど」

「でも嬉しい」

 隼人はそう言って音河の縄を解いた。

「響花は、他人の目より僕を選んでくれたんだから」

「・・・・・・うん」

 縄を解いて、音河に手を伸ばす。

「帰ろう」

「・・・・・・動けない」

「え・・・・・・、キングダムでダメージは完治させたはずだけど・・・・・・」

「動けない」

「・・・・・・ま、いいか」

 隼人はそう言って、音河を背負う。

「あ、思ったより軽い。ちゃんと飯食ってる?」

「昨日は食べてない・・・・・・あれ?何時から食べてないっけ?」

「そうだ。チョコくれない?」

「え・・・・・・」

「昨日作ってたんだろ?」

「・・・・・・うん」

 音河はそう言って、口を閉じた。

「あれ?響花?」

「・・・・・・」

「・・・・・・寝ちゃってる」

 隼人はその顔を見て、にこやかに笑った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ