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丸く収まったこの世界  作者: 榊屋
番外編 前置きが必要なこの世界
152/324

04-不和と歪み-

 150話です!


 題名書いて思ったけど、不正羊我って縦書きしたら、歪義って読めそう。

 あ、意味は無いよ。そう見えるってだけ。


 その日の朝食は静かだった。


 まず、朝から海馬が居ない。この家自体には帰ってきているようだが、朝食は1人分余っていた。

 隼人は「朝ごはんは食べないと調子が出ない」とのことで、朝食は取ったが、その後は1人で家を出て学校へ行った。

 俺と虎郷は起床が早かったので、朝食は早めに取っており、学校へは行こうと思えば行けたのだが、どうもこの空間を放置していく事が忍びなかったのだと思う。

 音河と雅は大体遅めに起きてきて、食卓を見て、俺達を見る。俺達は肩をすくめた。

 恐らく全てを悟ったのだろう。そのまま食事を取って、2人も家を出て行った。


「・・・・・・なんだろう」

「気まずいわね」

「ああ」

 なぜだろう。雰囲気や空気の所為で、俺と虎郷の会話も淡白になっていた。この空気の原因が、何だかんだで俺と虎郷に有る事も起因しているのだろう。

 取り敢えず、家を出て学校に向かうことにした。

 途中までは道が一緒なので歩いた。

「あの2人は・・・・・・その、いわゆる、モテる奴なのか?」

「まぁ、そうでしょうね。私自身もそれに値するでしょう」

「自分で言った!?」

「貴方はどうなの?」

「え?」

 突然、その話題を振られた。

「えっと・・・・・・?」

「貴方も女子には引く手数多あまたなのかしら?」

「あー・・・・・・まぁ、否定はしないけど、その言い方には語弊があるかな?俺は誰かと付き合った経験は無いから」

 そう言って、分かれ道に着いた。

「じゃ、行ってきます」

「行ってらっしゃい。行ってきます」

「行ってらー」

 



 学校では、隼人と海馬は普通にしており、別に空気が張り詰めては射なかったが、少し後ろめたい所があったので、真面目に授業を受けた。それで何かが打ち消されるわけではないけれど。

 で、放課後。

 いつもなら(昨日は例外)海馬と隼人はすぐに席を立って、準備の遅い俺の席の周辺に寄ってくるのに、自分の席で物思いにふけっている様子だった。

「帰ろうぜ、隼人、海馬」

「あー」「あー」

「・・・・・・気の抜けた返事だな」

 俺は荷物を降ろして、隼人を椅子ごと運んで、海馬の席の横につける。

 騒いでいた生徒達はいつの間にか居なくなっていた。そりゃそうだ。受験生だから部活も終わっているしな。

「音河と雅・・・・・・少し落ち込んでたぜ?」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「お前らも自分が悪かったって分かってるだろう?向こうの主張を何一つ訊かなかったんだから」

「分かってるよ」「分かってるよ」

 2人とも同時に返事をする。

「でも今更、引き下がれないんだよ」「けど今更、謝れねーよ」

「・・・・・・ま、分からなくないけどさ」

 何だろう・・・・・・。その場の勢いで言ってしまったことに、自分が悪いと分かっていても、負けを認めたくないという・・・・・・。

 男子特有だろう。いや、分からないけれど。もしかしたら女子にもあるのかもしれないし、男子だけでも一部かもしれなかった。

「多分、しばらく口は聞かない・・・・・・つーか、聞けねーよ。顔合わせたくない」

「右に同じ」

「何で?」

「絶対悲しそうな顔して現れるだろ!?」「泣きそうな顔してたらどうするんだよ!!」

 何なんだ、コイツラは。でも分かる自分も居る。

 そうだよなー・・・・・・好きな人の涙とか見たくないもんなー。

 だから木好さんに対して俺はあんなに全力で戦ったんだろうけど。



「あ、嘉島ー」

 同級生が1人やってきた。名前は出したところで、今だけのような、モブキャラなので控えておく。

「どうした?」

「お前って、彼女居るのか?」

 あー・・・・・・今その話題は禁止。

「いや・・・・・・いないけど?」

「そうか。じゃあ、あれは別に問題ないな」

「あれって?」

 何か気になることを言っているので、俺は聞いてみた。


「いや、昨日の帰りにさー・・・・・・」





「え」

 ブレーキから俺の脚は離れたと思うけど。

 ギアをバックにセットした感触を心の奥に感じた。

 自分の好きな人を誰かが泣かした時、そいつに怒りを覚えると同時に、そいつをうらやましく思う。


 人が人前でなかなか出さない感情を出したのだから。

 自分に出来ない事をしたのだから。


 だからってしたいとは思わないけど。こっちも悲しくなるから。

 嬉し泣きならいいけど。こっちも嬉しい気分になれるから。

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