04-不和と歪み-
150話です!
題名書いて思ったけど、不正羊我って縦書きしたら、歪義って読めそう。
あ、意味は無いよ。そう見えるってだけ。
その日の朝食は静かだった。
まず、朝から海馬が居ない。この家自体には帰ってきているようだが、朝食は1人分余っていた。
隼人は「朝ごはんは食べないと調子が出ない」とのことで、朝食は取ったが、その後は1人で家を出て学校へ行った。
俺と虎郷は起床が早かったので、朝食は早めに取っており、学校へは行こうと思えば行けたのだが、どうもこの空間を放置していく事が忍びなかったのだと思う。
音河と雅は大体遅めに起きてきて、食卓を見て、俺達を見る。俺達は肩をすくめた。
恐らく全てを悟ったのだろう。そのまま食事を取って、2人も家を出て行った。
「・・・・・・なんだろう」
「気まずいわね」
「ああ」
なぜだろう。雰囲気や空気の所為で、俺と虎郷の会話も淡白になっていた。この空気の原因が、何だかんだで俺と虎郷に有る事も起因しているのだろう。
取り敢えず、家を出て学校に向かうことにした。
途中までは道が一緒なので歩いた。
「あの2人は・・・・・・その、いわゆる、モテる奴なのか?」
「まぁ、そうでしょうね。私自身もそれに値するでしょう」
「自分で言った!?」
「貴方はどうなの?」
「え?」
突然、その話題を振られた。
「えっと・・・・・・?」
「貴方も女子には引く手数多なのかしら?」
「あー・・・・・・まぁ、否定はしないけど、その言い方には語弊があるかな?俺は誰かと付き合った経験は無いから」
そう言って、分かれ道に着いた。
「じゃ、行ってきます」
「行ってらっしゃい。行ってきます」
「行ってらー」
学校では、隼人と海馬は普通にしており、別に空気が張り詰めては射なかったが、少し後ろめたい所があったので、真面目に授業を受けた。それで何かが打ち消されるわけではないけれど。
で、放課後。
いつもなら(昨日は例外)海馬と隼人はすぐに席を立って、準備の遅い俺の席の周辺に寄ってくるのに、自分の席で物思いに耽っている様子だった。
「帰ろうぜ、隼人、海馬」
「あー」「あー」
「・・・・・・気の抜けた返事だな」
俺は荷物を降ろして、隼人を椅子ごと運んで、海馬の席の横につける。
騒いでいた生徒達はいつの間にか居なくなっていた。そりゃそうだ。受験生だから部活も終わっているしな。
「音河と雅・・・・・・少し落ち込んでたぜ?」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「お前らも自分が悪かったって分かってるだろう?向こうの主張を何一つ訊かなかったんだから」
「分かってるよ」「分かってるよ」
2人とも同時に返事をする。
「でも今更、引き下がれないんだよ」「けど今更、謝れねーよ」
「・・・・・・ま、分からなくないけどさ」
何だろう・・・・・・。その場の勢いで言ってしまったことに、自分が悪いと分かっていても、負けを認めたくないという・・・・・・。
男子特有だろう。いや、分からないけれど。もしかしたら女子にもあるのかもしれないし、男子だけでも一部かもしれなかった。
「多分、しばらく口は聞かない・・・・・・つーか、聞けねーよ。顔合わせたくない」
「右に同じ」
「何で?」
「絶対悲しそうな顔して現れるだろ!?」「泣きそうな顔してたらどうするんだよ!!」
何なんだ、コイツラは。でも分かる自分も居る。
そうだよなー・・・・・・好きな人の涙とか見たくないもんなー。
だから木好さんに対して俺はあんなに全力で戦ったんだろうけど。
「あ、嘉島ー」
同級生が1人やってきた。名前は出したところで、今だけのような、モブキャラなので控えておく。
「どうした?」
「お前って、彼女居るのか?」
あー・・・・・・今その話題は禁止。
「いや・・・・・・いないけど?」
「そうか。じゃあ、あれは別に問題ないな」
「あれって?」
何か気になることを言っているので、俺は聞いてみた。
「いや、昨日の帰りにさー・・・・・・」
「え」
ブレーキから俺の脚は離れたと思うけど。
ギアをバックにセットした感触を心の奥に感じた。
自分の好きな人を誰かが泣かした時、そいつに怒りを覚えると同時に、そいつをうらやましく思う。
人が人前でなかなか出さない感情を出したのだから。
自分に出来ない事をしたのだから。
だからってしたいとは思わないけど。こっちも悲しくなるから。
嬉し泣きならいいけど。こっちも嬉しい気分になれるから。