14-まとめ-
注意
この「13-まとめ-」は、語り部は嘉島奏明ではない。
事件は、2年前の5月5日。子どもの日。
4月8日、入学式に木好一也は虎郷火水に一目惚れした。
しかし、ゴールデンウィークという大型連休の所為もあって、木好は虎郷に会うことが出来なくなり、我慢の限界になって、犯行に及んだのだ。
本当は見に行っただけだったのだが、彼女はそのころ空手を習っていた(強さの秘密はこれ)らしく会うことが出来なかった。
そんな行き違いが過去にもあったのだろう。このままでは、会う時間より会えない時間のほうが多くなってしまう。
そこで木好は考えた。
「一緒に住めばいいんだ」と。
では、どうすればいいか。家を・・・帰る場所を消してしまえばいい。しかし警察は優秀だ。
簡単に自分が犯人だとばれないようにする方法・・・・・・・・・。
そして、強く願った。その時に生まれたのが「パイロキネシス」とほぼ同じ能力だった。
自分を邪魔する障害を消滅させる。燃やして、消す。消し炭にしてやる。
そう思って、願って。事件は起こった。
結局のところ、隼人の想像通り、木好はその時に虎郷の前に現れた。
その時に木好は、期せずして「幼馴染」へとなったのだ。
それから2年(その前に、例のマンションへ引越しした。事情を説明したらあの部屋になったらしい)経って、次の事件が起きた。
木好はとっくに卒業していた(現在17歳ということは、2年前に俺たちと同い年だった)ので、高校には行かずに仕事を始めた。
その仕事は、何でも屋のような仕事だった。但し内容は「犯罪行為」だったらしい。
例えば、麻薬の受け渡しの仲介人。
例えば、どこかの警備会社へのハッキング。
例えば、電車の爆破。
依頼人の意向や趣旨、動機なんて知った事ではない。
必要なのは、金だった。
虎郷火水を養えるだけの金が必要だった。それだけだった。
だから、例えそれを見られたとしても、強請られたとしても金を払う必要も理由も意味も義理もないのであった。
彼に大事だったのは『虎郷』と『愛』と『金』だったのだ。
その後のことは木好が言っていた通りだった。
虎郷を自分のものにするために、自分を死んだ事にして――その際に、その男に腕時計をつけさせて――虎郷に会いにいったそうだ。
ただ、虎郷にとっての木好への愛情は、木好が望むような愛じゃなかった。
では、何なのかと問われてもそれはもう何かは分からないが、主観的且つ希望的観測をするならば、死んだからこそ感じるような愛で、追悼や悲哀の気持ちに起因するものだったのだろう。
本来積極的であるはずの・・・愛するために、好きになるために努力するというような積極的ではなく。
でも、それでもいいと思う。
そのおかげで、木好も虎郷も、「想い」を自らの物とすることができたのだから。
虎郷にとってはそれすらも自らを解き放つ理由であったけれど。
木好にとっては自分の物とはならなかった虎郷との思い出という自分の物になった、唯一の結果ではあるのだろう。
だから、そういう真の愛とはいえないけれど大事な愛情とかそういうものがあったと。
そういう風に言うしかないのだと思う。
まぁ、なんだかんだで木好も死んだわけではないから
愛というものを感じる事のできるいい話なんだろう。
僕としては、わりと飽きっぽい性格なんですが、
話を作る際に、別の話を思いつくと、やめがちなんですけど。
珍しく、僕としては続いています。