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丸く収まったこの世界  作者: 榊屋
第五章 失って気づくこの世界
148/324

後日談-右手と左手の法則-

 おっと、これを忘れちゃいけねーぜ。


 後日談です。

 大晦日の夕方。


 俺達は未だ大掃除に励んでいた。

「どうして昨日やっておかなかったんだろうね」

「他人事みたいに言うな」

「いや、昨日やらなかった僕ら自身に疑問なのさ」

 隼人はそう言い訳してから、トイレとバスルームの掃除を始めた。


 身長の低い(165.3)隼人は、身長の関係ないところを掃除している。海馬は178くらいあるので、天井の掃除ということになっている。

 雅が掃除し始めると危険なことになる(実際、リビングの掃除をさせたら2倍くらい汚くなった。実はまだ大掃除が終わっていないのもその所為だったりする)ので、庭の落ち葉を拾わせている。彼女の能力なら簡単に集められるだろう。

 音河は2階の掃除。使用していない部屋ばかりなので、利用方法を考える次いでに、たまっている埃や残されている家具を整理するとか。

 虎郷は1番しんどい、キッチンの掃除。しかしてきぱきと済ませて、今は大掃除全指揮者になっている。

 故に、俺は残ったリビングの掃除を担当している。


「・・・・・・雅は酷い事をしてくれたものだ」

 ソファーがひっくり返り、じゅうたんは捲りあがっている。テーブルも倒れており、唯一無事なものと言えば、テレビくらいのものだ。

 何と不器用なのだろう。ただ、怪我に対する包帯等を巻く作業はとても上手である。


「嘉島君、早くしてくれる?」

 後ろから声を掛けられた。

「・・・・・・」

 虎郷だった。

「だったら手伝ってくれよ」

「無理。私は今から年越し蕎麦の材料を買いに行きます。9時までに全ての作業を終わらせてね」

 そう言ってからリビングの扉を開けて出て行った。


「・・・・・・はぁ」

「嘉島!」

 海馬がやってきた。

「そこの蛍光灯も掃除しなくちゃなんねーんだ。さっさとしてくれ」

「分かったよ・・・・・・。手伝ってくれ」

 面倒だけれど、まぁやるしかないか・・・・・・。



 


「終わった・・・・・・」

 8時ごろ、ようやくリビングの掃除を完了させた。

「申し訳ありませんでした・・・・・・」

 雅が責任を感じているようで、少し落ち込みながら謝った。

「ああ、別にいいさ。雅のおかげで、普段掃除しないような場所とかも掃除できたし」

 例えば、ソファーの裏とかね。


「そうですか・・・・・・」

 今度は安堵の表情を見せる。分かりやすいなー・・・・・・。


「年越し蕎麦。食べるわよ」

 虎郷が6つほど御椀をお盆の上に置いて持ってきた。


「今年は忙しかった・・・・・・」

 俺はリビング用テーブル型のコタツに脚を入れてから言った。

「夏休みから動きっぱなしだったからね」

 隼人は言いながら、蕎麦をすする。


「そういえば王城」

 海馬が隼人を見てから言う。

「お前の親父さんたちの前で言っていた『右手と左手の法則』って奴・・・・・・何なんだ?」

「ん?ああ、仲間である証だよ」

「・・・・・・?」

 海馬は不思議そうに首をかしげる。

「隼人、分かりやすくお願い」

 音河が言う。雅と虎郷も見つめる。

「・・・・・・僕らが握手するときは普通は、『右手と右手』か『左手と左手』だろ?でもこの法則は違う」

 そう言って、隣の音河の手を握る。

「僕が右手で、隣の人と手を繋いだ時、それは『右手と左手』になる。自然、並ぶ形になるんだ」

「ああ・・・・・・それで」

 納得だ。

「仲間である印だよ。そしてこれは、繋がりは永遠であることを意味する。例えば、ココに居る6人で『右手と左手』を繋いでも、誰かの左手と右手側に人が居ない。でもそれは、そこにさらに『仲間』が来るって意味なのさ。さらに、端っこの2人が手を繋げば丸くなれる。丸く収められるってこと」

「そんなこと即興で考えたんですか?」

 雅が隼人に質問する。

「そりゃあそうさ。僕は王城だからね」

 と、隼人はそれで十分というように言った。



 本当に隼人にしか分からない理論だよなー・・・・・・。






 と。

 思って、目覚めた時には正月だった。


「・・・・・・カウントダウンするの忘れた」


 本当にきれいに終わらない。

 丸く収められないな。


 裏話ー。

 この『右手と左手の法則』は、僕が手書きしていた初期設定時の、この作品の題名でした。


 仲間といつまでもつながっているっていう意味の題名でしたね。


 番外編です!

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