59-真実-
「・・・・・・え?」
「だから、お前の父親と祖父が本当にこの事実を知らないのかってことだよ」
屋上から(飛び)降りて(何とか助けをもらいつつ)着地した俺達は、東先輩の車で帰宅した。
龍兵衛さんたちやマスコミの人々からわちゃわちゃと言われていたが、忍法『記憶喪失』を適応する事によって何とか切り抜けた。
ごめん、嘘。
俺達は東先輩を除いて、1人残らず車の中で就寝した。だから記憶が無いのである。
コレは朝の9時ごろ、いつもの順番で目を覚ました、僕と虎郷と隼人の会話(海馬は朝早くから雅とともに消え去った。音河は未だ睡眠中)である。
「そういう可能性もあるかもしれないということ」
虎郷はそう言って隼人を見る。
「貴方も手一杯だったんでしょう?だから、この可能性を確かめていない」
「・・・・・・確かに・・・・・・父にも祖父にも会っていない」
「だとすれば、この可能性は否定できないでしょうね」
「でも理由が分からない」
隼人が言う。
「そんなことをして何になるんだ?僕にそれをする意味がない」
「そうね」
虎郷はそう言って、頷く。
「・・・・・・?」
虎郷は不思議そうな顔をする。
「・・・・・・は?」
隼人はさらに困った顔になる。
「・・・・・・え?根拠なし?」
「ないわよ。あるわけないじゃない」
「じゃあ何で・・・・・・」
「私は可能性を提示しただけよ。答えなんて知った事ではないわ」
虎郷はそう言って、立ち上がり、朝食の片付けを始めた。
「・・・・・・まぁ」
俺は虎郷を代弁して、言う。
「つまり可能性が分かったんだから、後は自分で何とかしやがれってこと」
「・・・・・・なるほど」
隼人はそう呟いて納得した後、思考を始めた。
暇。
「虎郷ー。音河起こしといてくれー」
「嫌よ。自分で行って来なさい」
「女子の部屋に入るのは・・・・・・気が引ける」
「・・・・・・仕方ないわね」
虎郷はそう言ってから、食器類を置いて手を洗う。
「後、さっさと着替えるように言っておいてくれ」
「貴方が私に命令する筋合いは無いと覚えておきなさい」
とだけ言ってからリビングを出た。
俺は代わりに食器を洗い始める。
「あ」
思いつきで俺は携帯電話を取り出した。
「海馬。あ、雅もそこにいるか?・・・・・・よし、じゃ帰ってきてくれ。・・・・・・デートなんか知らん。どうせ夜いちゃついてんだろうが。さっさとこい」
と一方的に言ってから電話を切る。
で、残りの皿を片付け始めた。
「・・・・・・っし終わり」
と俺が呟いたところで、
「嘉島君、起こしてきたわよ」
「何ー・・・・・・。何か急ぎ?」
眠そうに音河が出てきた。
「ああ、多分急ぐ」
俺が言った後、リビングの扉が開く。
「何だよ、急に」
「何かありましたか?」
2人も帰ってきた。
「終わったか?隼人」
「ああ。そこまで難しい推理じゃ無かったよ」
そういって隼人が立ち上がった。
「よし、皆行こうぜ」
俺はそう言ってリビングの方へ進む。
「行くって・・・・・・どこへ」
海馬が言う。
「ついてくれば分かるよ」
隼人が笑う。
そして言った。
「さぁ、丸く収めに行こう」
ほら。
いい感じじゃね?
あ、次回最終話です。
その後、番外編です。