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丸く収まったこの世界  作者: 榊屋
第一章 決まりきったこの世界
14/324

13-助ける意味-

僕が、お気に入りにしている『蛇豆』さんの作品は、

何というか、現実的なフィクションという感じです。

とても、おもしろいので是非是非閲覧してみてください。

あ、1話1話が、とてつもなく短いです。


以上、榊乃幽也ぷれぜんつ、CMでした。

「で、これからどうするつもりだ?」

 木好さんは、潤んだ瞳を袖でぬぐってから、左手を構えてそう言った。

「俺はお前らを殺して生きて見せるぜ」

 左手は炎を纏う。

 なるほど、一気に燃やすより、殴って動けなくしてから燃やそうと言う事らしい。

「あ、ダメだ。もうキングダムは終わる」

「あぁ、そうなのか」

「基本的には推理するだけのものだから。思考能力と相手との対話をしやすくするためのものさ。周りの時間も止まってるわけじゃないしね。後10分もすれば図書館は崩れ落ちるだろう。あ、嘉島君は倒れといたほうがいいよ。痛覚も復活するから」

「・・・了解」

 いつもの事だが、

 なんというか、古傷がないから良く分からないけど、「古傷が痛む」みたいな感覚になるのだ。

「戻れ」

 パチンッという音を指パッチンで鳴らして、

 世界はそれを合図に戻った。

 まばたきしたら、世界が戻っていたという認識でいいだろう。

「・・・いてぇ・・・」

 俺は、またも動けなくなった。

 虎郷は泣きじゃくって顔を伏せて座り込んでいる。


「ぶっ殺すぞ」

「僕は見た目以上に強いよ」

 言ってから1秒と立たず、衝突となった。

 木好さんは消えて、隼人の前に現れて右拳で鳩尾みぞおちを狙ってきた。

 隼人はその拳を両方の二の腕で挟むという方法でガードする。

「すげぇなぁ・・・。瞬間移動すらも、見極める『脳』なのか?」

「いやいや・・・。お褒めに預かり光栄ですが、僕のは脳の伝達速度が速いというだけですから。反射神経の伝達速度の問題ですよ。

「へぇ・・・。面白いな!!」

 木好さんは、炎を纏った左腕を構えた。そして、思い切りその手を振りかぶった。

「ヤバイな」

 二の腕を離した。

 が、今度は木好さんの右手が、隼人の右の二の腕を掴む。

「燃えろ!!」

 左手の炎が纏う状態から、発射する状態に変わる。

「拒否」

 掴まれた状態で、体のみを反って避ける。

「今のも脳神経か?」

「勘だよ」

 隼人は、体を戻す反動で、木好さんの顔面に頭突きという手法をとる。

「ぐッ!!」

「もう一回!」

 今度は、二の腕を掴んでいる木好さんの右手の肘を膝で外側に折る(ひざかっくんの肘バージョン)。

 その所為で一気に縮まった距離を利用してもう一度頭突きをする。

 それで、木好さんの右手は離れた。

「それも、能力ってか・・・?」

 苦しそうにそう言った。

「『頭脳』力です」

「うぜぇ!!」

 炎を纏った左腕で隼人の腹を狙う。

「何度やっても同じ・・・」

 消える。ギリギリで手首を内側に曲げて炎を発射して消えた。

「後ろだ」

 反応速度はもちろん間に合うはずが無い。

 木好さんの左手は、背中にヒットした。服が燃える。皮膚が焼け爛れている。

 一瞬でここまでとは、火力は本当にやばいな。

「・・・まだまだぁ!」

「そうこないとな!!」




「なぁ」

 俺は倒れたまま虎郷に話しかけた。

「…………」

「何で隼人はお前を助けるんだと思う?」

「…………」

 虎郷は黙ったままだけど俺は構わず続ける。

「アイツはお前と一緒で決まった未来ってのが気に入らないんだ」

「…………」

「アイツは王城グループの跡取りとして・・・王としての教育を受け、風格を持ち、頭脳を手に入れた」

「・・・・・・・・・」

「でも、アイツは王城グループを継ごうとはしない。何故だか分かるか?」

 当然、返事するはずも無い。

「アイツは、お前と一緒だったのさ。決まりきった未来なんかつまらないって。アイツは、基本的に誰かに協力したり、助けたりする事は無い。でも、アイツが誰かを助けるっていうのなら、それはつまり、ソイツを仲間だと思っているっていう証拠だ」

「・・・・・・・・・」

「まぁ、心配するな。お前が死にそうになっても、殺されそうになっても、死にたいと思っても、壊したいと思っても、消えたいって思っても、全てから・・・お前の心からでさえも守ってみせる。俺達が」

「・・・・・・・・・・・そんなボロボロで言われても、何の説得力も無いわね」

 虎郷はそう言って立ち上がった。

「まぁ・・・それもそうだな」

「そうよ」

「・・・俺たちがお前を助ける方法は1つしかない。お前自身の心を苦しみから解き放つ事だ」

「・・・・・・・・・どういうこと?」

「そもそも助けるなんていった割には、何をどう助ければいいか、正直よく分かってなかった。でも今分かったよ。俺たちは、過去に縛られているお前の心から、お前自身を助けなきゃならない。そのためには、お前の思いを・・・お前の想いを解き放つ事だ」

「つまり、私自身が一也と戦わなければならないという事ね」

 そういうことだ。

 俺がそう言おうと思ったときに、

 ドガッシャ!

 木好さんが図書館の壁に激突した。

 衝撃で上から、一本の鉄骨が落ちてくる。

「ヒスイ君。さぁ、やってごらん」

 隼人は身を翻し、こちらに歩いてきた。

「恋愛もトラウマも火事も家族も全てを分かった上で、忘れるのではなく、自らを解き放つんだ。僕らと来ても大丈夫だよ。君が僕らと一緒に来て不幸な未来は見ていないだろう」

「・・・嘉島くんと同じようなことを言うのね」

「まぁ、僕らは息ぴったりの相棒だからね」

「おう」

 ま、ここは肯定しておこうか。


 虎郷は、歩き出した。

 赤く泣き腫らしたままの目だったけれど、それでも一歩ずつ、自分の気持ちを踏みしめて。


「一也」

「・・・・・・火水。お前は俺のものにはならないのか」

「残念だけど、私はそういうものではないわ」

「・・・・・・・・・そうか」

「でも、私はあなたを愛して後悔はしていない」

「・・・・・・・・・そうか」

 一つ一つの言葉が木好さんの涙腺をノックする。




「ありがとう」

 虎郷のその言葉に、木好さんは

「・・・・・・・・・またな」

 そう言って。


 木好さんの目から涙が零れた。


 倒れたままの木好さんの、腹の中心に、虎郷の拳がヒットする。


 ほぼ同時に図書館は轟音を鳴らしながら、崩れ落ち始めた。

俺様クンの反論コーナー。



いわゆる世界観というものは人の考え方によって変わるもので、

現実的な、リアリティのある物語を主とし、超能力のようなものや、

何かに逸脱した、スキルなどを嫌うものも居る。

僕としては、そのような話も好きだが、

自分が書くという点において言うと、俺はスキルというものに頼るのが好きだ。

何というか、化物染みた人間でも、それは結局ただの人間で、

それなりの心を持ち、傷ついたり、仲間を持ったりというストーリーが

好きなのである。

そういう超能力のようなものが、残機 ∞ が最強とは限らない話が作りたい。

そういう能力者が主人公ならば、それより強い敵を作ればいい。

主人公も普通に傷つき、普通に泣き、普通に怒り、普通に笑う。

そういう物語にこそ意味があるのだろう。

そういう人間にも、越えられない壁は有ってそれこそ、それを一般人でもない

超能力者が越えるまでの物語を作りたい。

長くなってしまったし、キザだし、ウザいと思われたたり、かっこつけと言われてもいいが。

僕は、超能力者の物語に対する偏見を越えるのを目標にしたい。

落ちも無いくせに、長くて申し訳ない。

ただ、格好をつけたいわけではない事をご了承いただきたい。

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