41-咆哮-
突然ですが、なんとなく今回の話は面白くないような気がします。
でも、物語のつなぎとしての役割をきちっと果たしてくれています。
爆発の被害はそこまで酷くは無かった。
というよりもおかしかった。
殺傷能力がある無いの問題以前に、爆発した箇所がおかしい。
爆弾は掌に有ったにも拘らず、爆発したのは手首(あの機械において、それで正しいのかは分からない)の部分が爆発したのだから、それは恐らく別次元。
「何だ・・・・・・?」
音河にはほとんどダメージも無く、そのまま立ち上がってから
「あああああああああああああああ!!」
ともう一度叫んだ。
それで分かった。
咆哮だ。彼女の声から衝撃波が出ている。恐らく感覚だから、これは俺にしか見えていないだろうけれど、それは間違いなく『叫び声』の衝撃波だった。
その衝撃波は波紋のように広がり、俺達を掴んでいたその手を破壊する。
「・・・・・・はぁ・・・・・・はぁ」
音河は肩で息をしていた。どうやらかなりの体力を消費したらしい。
「音河・・・・・・それは・・・・・・?」
海馬が訊く。雅と虎郷も同じように不思議そうな顔をしている。そりゃそうだ。俺以外には見えてないんだから。
そして当然音河も首を振る。
「恐らく、アレも――いや、アレが進化だ。さっきのギターに声を乗せるという芸当は進化の過程だろう。音河の進化はずばり『声』だったんだ」
「嘉島・・・・・・分かるのか?」
「なんとなく、隼人ならそう考える気がしたんだ」
本当になんとなくだ。隼人がこれに理由をつけるとしたらそう言うだろう。
分かったような気がする。そんな感覚だった。
『凄いことしてくれるね・・・・・・。驚きだよ。本当に。隼人の妻がこんなのだと思うと、頭が上がらないなぁ』
「お前には――」
『・・・・・・ん?何?』
「なんでもない」
お前には上がる頭もないだろう。
そう言おうと思った。
でもそれはダメだ。
俺が選んだのは、『彼女を人間として終わらせること』だ。それが彼女にとっての幸せのはず。
『でもゴメンよ。結局私は止まれないんだ。命令が送られてきているから』
魅陽はそう『言って』、手以外の物を俺達に構えた。
「音河!いけるか?」
俺は取り敢えず訊いてみる。
「・・・・・・ゴメン・・・・・・。あれは体力の消費が激しいみたい」
そう言って、音河の体は少しふらつく。
「虎郷!音河を頼む」
「分かったわ」
初めからそうするつもりだったように、俺が言う前から動いていた。
それにしてもどうする・・・・・・。時間掛けてられない。
どうする・・・・・・。俺の能力や雅の能力では防衛が限界。海馬のおかげで『運良く』死ぬ事は無いだろうけれど、それでも敗北を喫するのは危険だ。
まだ・・・・・・まだ可能性があるんじゃないか?
俺達の最初のピンチを救ってくれたのは東先輩だった。
それは可能性に気付いていなかっただけに、嬉しい参上だった。
待てよ・・・・・・だとすれば・・・・・・!!
『・・・・・・あれ?何?君は』
魅陽の動きが止まる。
『君は・・・・・・何なんだ?どうして私の目の前に居るんだ?どうしてここに居るんだよ!!』
「な・・・・・・何だ!?」
海馬が驚きを隠せない様子だ。
『うわ!!何して――』
ボカン!!
という音と共に、重機関銃が破壊された。
『どうしてそんなことが出来るんだ!?というか君は一体・・・・・・』
さらに、刀や銃が破壊される。破壊され続ける。
激しい爆発音が鳴り響き続ける。
『何だよ!!何なんだよ、君は!!』
【・・・・・・は・・・・・・大じょ・・・・・・なのか?】
声。
機械からもう1つ音声が聞こえる。
【あー・・・・・・聞こえるか?】
「この声・・・・・・」
音河が苦しそうに反応した。
【お、占拠完了かな?よう、お前ら。俺は救世主じゃねえか?】
なんだか、俺は助けられてばかりのような気がするけれど。
それでもとても嬉しかった。
全員がひとつになっているような気がして。
「今日元さん!!」
だから俺は思わず叫んだ。
仲間は突然集まるものなのだ。
誰かが何かしてからではなく、あらかじめ決まっているかの動きなのだ。