表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
丸く収まったこの世界  作者: 榊屋
第五章 失って気づくこの世界
128/324

41-咆哮-

 突然ですが、なんとなく今回の話は面白くないような気がします。


 でも、物語のつなぎとしての役割をきちっと果たしてくれています。

 爆発の被害はそこまで酷くは無かった。


 というよりもおかしかった。


 殺傷能力がある無いの問題以前に、爆発した箇所がおかしい。

 爆弾は掌に有ったにも拘らず、爆発したのは手首(あの機械において、それで正しいのかは分からない)の部分が爆発したのだから、それは恐らく別次元。


「何だ・・・・・・?」

 音河にはほとんどダメージも無く、そのまま立ち上がってから


「あああああああああああああああ!!」

 ともう一度叫んだ。


 それで分かった。

 咆哮だ。彼女の声から衝撃波が出ている。恐らく感覚だから、これは俺にしか見えていないだろうけれど、それは間違いなく『叫び声』の衝撃波だった。

 その衝撃波は波紋のように広がり、俺達を掴んでいたその手を破壊する。


「・・・・・・はぁ・・・・・・はぁ」

 音河は肩で息をしていた。どうやらかなりの体力を消費したらしい。

「音河・・・・・・それは・・・・・・?」

 海馬が訊く。雅と虎郷も同じように不思議そうな顔をしている。そりゃそうだ。俺以外には見えてないんだから。

 そして当然音河も首を振る。

「恐らく、アレも――いや、アレが進化だ。さっきのギターに声を乗せるという芸当は進化の過程だろう。音河の進化はずばり『声』だったんだ」

「嘉島・・・・・・分かるのか?」

「なんとなく、隼人ならそう考える気がしたんだ」

 本当になんとなくだ。隼人がこれに理由をつけるとしたらそう言うだろう。

 分かったような気がする。そんな感覚だった。


『凄いことしてくれるね・・・・・・。驚きだよ。本当に。隼人の妻がこんなのだと思うと、頭が上がらないなぁ』

「お前には――」

『・・・・・・ん?何?』

「なんでもない」


 お前には上がる頭もないだろう。

 そう言おうと思った。

 でもそれはダメだ。

 俺が選んだのは、『彼女を人間として終わらせること』だ。それが彼女にとっての幸せのはず。

『でもゴメンよ。結局私は止まれないんだ。命令が送られてきているから』

 魅陽はそう『言って』、手以外の物を俺達に構えた。

「音河!いけるか?」

 俺は取り敢えず訊いてみる。

「・・・・・・ゴメン・・・・・・。あれは体力の消費が激しいみたい」

 そう言って、音河の体は少しふらつく。

「虎郷!音河を頼む」

「分かったわ」

 初めからそうするつもりだったように、俺が言う前から動いていた。


 それにしてもどうする・・・・・・。時間掛けてられない。

 どうする・・・・・・。俺の能力や雅の能力では防衛が限界。海馬のおかげで『運良く』死ぬ事は無いだろうけれど、それでも敗北を喫するのは危険だ。

 まだ・・・・・・まだ可能性があるんじゃないか?

 俺達の最初のピンチを救ってくれたのは東先輩だった。

 それは可能性に気付いていなかっただけに、嬉しい参上だった。


 待てよ・・・・・・だとすれば・・・・・・!!


『・・・・・・あれ?何?君は』

 魅陽の動きが止まる。

『君は・・・・・・何なんだ?どうして私の目の前に居るんだ?どうしてここに居るんだよ!!』

「な・・・・・・何だ!?」

 海馬が驚きを隠せない様子だ。

『うわ!!何して――』

 ボカン!!

 という音と共に、重機関銃が破壊された。

『どうしてそんなことが出来るんだ!?というか君は一体・・・・・・』

 さらに、刀や銃が破壊される。破壊され続ける。

 激しい爆発音が鳴り響き続ける。


『何だよ!!何なんだよ、君は!!』

【・・・・・・は・・・・・・大じょ・・・・・・なのか?】

 声。

 機械からもう1つ音声が聞こえる。


【あー・・・・・・聞こえるか?】

「この声・・・・・・」

 音河が苦しそうに反応した。

【お、占拠完了かな?よう、お前ら。俺は救世主じゃねえか?】


 なんだか、俺は助けられてばかりのような気がするけれど。


 それでもとても嬉しかった。


 全員がひとつになっているような気がして。



「今日元さん!!」



 だから俺は思わず叫んだ。




 仲間は突然集まるものなのだ。


 誰かが何かしてからではなく、あらかじめ決まっているかの動きなのだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ