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丸く収まったこの世界  作者: 榊屋
第五章 失って気づくこの世界
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36-選択-

 ちょっと海馬の話を区切りすぎたような気がします。


 ま、海馬好きな人多いし。いっか。


「本当かよ、海馬。いつ知ったんだ?」

 俺は少し疑いを持ちながら訊いた。

「厳密に言うと、俺が始めて缶に弾をヒットさせたときだ」

「で。どんな能力なんだよ」

「知らん。俺は何も知らずに言われたとおりやっていただけだ」

 海馬はそう言った。

「だが、解明はできた。アイツは、『2択』において最強なんだよ」

「2択・・・・・・!?」

 何言ってんだ。こいつ。というか言われた通りって・・・・・・!?

 俺が不思議そうな顔をしていると、

「雅が教えてくれたんだよ」

「教えたって・・・・・・どうやって?」

「・・・・・・どうやってって・・・・・・」

 海馬が悩む。

 人吉はその顔を睨んでいる。

「・・・・・・どうやってだ?」

 海馬はそう言って俺を見た。何か、逆に聞き返された。


「雅ー」

 俺は雅に聞いてみる。

「私は何も。したのは音河さんです」

「?」

「音河さんのギターで、『声』を伝えました。彼女の力の進化です」

「進化・・・・・・!?」

 何だ?ここにきて皆の力が進化している。何がおきているんだ・・・・・・!?


「嘉島?大丈夫?」

 音河が俺を見てそう言った。

「あ、あぁ。ごめん」

 俺は謝ってから、「続けてくれ」と促した。

「どうやら思いを伝えるという事を具体化したみたいだよ。音符を相手にぶつけると、その人と繋がれるって感じなんだ」

「へー。そうだったのか」

 海馬が1番感心している。


「じゃあ、『2択』ってのは何なんだ?」

 俺は今度こそ海馬に訊く。

「単純だ。2択だったら最強って訳さ」

「・・・・・・は?」

「つまり今回みたいに『右か左の缶を狙う』って時には最強なんだよ。ミリオネアで言えば『50:50』ってわけだ」

「それはお前の運すらも凌駕したって事なのか!?」

「まぁ、コイツの能力は『運』っていう概念じゃないからな。恐らく、決定事項なんだよ。50:50というのは、1+1=2という等式と同じって訳だ」

「そう・・・・・・なのか・・・・・・」

 しかしだとすれば疑問がわいてくる。

「じゃあどうして勝てたんだ?」

「ああ。こいつに勝つためには、俺は『オーディエンス』と『テレフォン』を使ったんだよ」

 オーディエンス・・・・・・つまり雅や音河のことか。そしてテレフォンは音河のギターか。

 上手い表現をするものである。しかし。

「一向に伝わってこない」

「俺は雅の指示を音河のギターから聞いて、それを忠実に行った。それだけの話だ」

「具体的には?」

「コイツに3択目を与えた。例えば、俺が2つ同時に狙うことや自分が狙われることによって、避けなければならないかったり、缶の位置が移動することだったりで、2択という状況が乱されたんだ。恐らく、相手も自分と同じ状況じゃないといけなかったりするんだろうな」

 そうか。

 最初の2挺拳銃は、相手と状況を変えることで優位に立った。

 次の人吉を狙った弾丸の意味は、相手に『避けなければならない』という3択目を作り上げた。少なくとも、そう思わせることに意味は有った。

 そして最後に銃を投げたのは、缶が移動することによって『右と左』という選択の根本を変えて見せた。

 だとしたら。

 だとしたら、人吉はどう対応するんだろう。

「・・・・・・なーんだ。そこまでばれてんだ」

 人吉はそう言って銃からトリガーを外した。


 アンケートでもしてみようかな。

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