35-銃弾-
このままでは、今回の章は50越えるかも。
勝者は海馬だった。
「よっしゃ!」
「またかよ・・・・・・」
海馬はもしかして打開策を見つけたのだろうか。
しかしその後の5回目では、人吉が深呼吸をして撃った弾丸は、見事に海馬より先に缶を飛ばした。
そして6回目。
「・・・・・・こうなりゃ・・・・・・」
海馬は呟いた。
「開始」
合図とともに銃弾が発射された。相変わらず同時だったが、明らかに違いが有った。
「!?」
人吉は突然の出来事にしゃがみこんだ。
海馬の弾丸が人吉の右肩に飛んでいったのだ。その間に人吉の弾丸は空き缶を打ち抜いた。
「何するんだ!」
「狙うのは禁止じゃなかったろ?お前を負傷させたら、残りは勝てるかなと思ったんだよ。妙案だと思ったんだけどな」
「お前・・・・・・!!」
人吉は明らかな怒りを見せる。
しかし・・・・・・海馬らしくない。海馬ならばもっとスマートに勝とうとするはずだ。
雅たちを見る。音河はギターを胸の前にかけている。雅は今だ思考中。虎郷は何か睨んでる。別に何か特定のものを睨んでいるようではないが。
「これからも俺はお前を狙うぜ?気をつけろよ」
「最低だな・・・・・・」
そんな軽い会話を済ました後、海馬は銃を構え、人吉も立ってから銃を構えた。
俺は黙って新しい缶を置いた。
今、人吉が4回、海馬が2回だ。
次に当てられるか・・・・・・。
「開始」
今度は銃弾の発射音がずれた。海馬のほうが早く缶に到達し、それをとばした。恐らく海馬の脅しに恐怖したのだろう。
そして8回目でも、銃弾がヒットしたのは人吉の方が早くヒットさせられたが、缶にヒットしたのは海馬の弾丸だった。人吉の方の銃弾は彼の心と同様、軌道線を揺るがして机にめり込んだ。どうやら固い素材で出来ているらしい。が、2回位同じ場所にヒットすれば壊れるだろう。
「畜生!」
人吉は叫ぶ。
「このままじゃ、5対5かもな」
海馬は笑う。
「・・・・・・その時は11回戦にしよう。キリが悪いからな」
すぐに海馬は構えたが、人吉は深呼吸してから構えた。
「開始」
また銃弾のリズムが違った。
今回は海馬の銃弾が軌道線を外して、机の脚にヒットする。自然、銃弾はめり込むだけで止まり、人吉の弾丸が缶に当って壊れた。
「・・・・・・壊れたよ・・・・・・」
凄いな・・・・・・何かコツでも掴んだんだろうか。
コレで5対4か・・・・・・。
「よし。下準備は完了だ」
海馬は呟いて、銃弾を装填しなおす。そして、先ほどしまった銃を取り出した。
「海馬!それはダメだって・・・・・・」
「大丈夫。銃弾は装填してない」
とトリガーを外し、銃弾がないことを見せる。
「もちろん、すでに装填されている事も無い。大丈夫だ」
「じゃあ何で・・・・・・?」
「こっちにも作戦があるんだよ」
そう言って海馬は両手で銃を構えた。
「・・・・・・ま、いいか」
そう言って人吉は銃を構える。
納得はいかないが、2人が納得している以上、俺には何も言えない。
「・・・・・・開始」
瞬間だった。
海馬は俺が開始という前に一方の銃を投げた。
そしてから2人同時に発砲。
海馬の投げた銃は缶に当たり、テーブルから落ちる。そして人吉の銃弾は先ほどまで缶があったはずのところに飛んでいく。海馬の銃弾は、落ちていく缶にヒットした。
「・・・・・・何してんだ」
人吉は静かに怒っている。
「こんなの認められないよ。君、合図の前に投げたじゃん」
「いいや。ルールは簡単なんだろ?『先に銃弾を当てた方の勝ち』だ。つまり、銃弾を当てれば勝ちって訳さ」
「だからって銃本体を投げて良い理由にはならない」
「『まぁいいか』って言ったのはお前だろ」
「・・・・・・いいよ。但し、ラストはあらゆる制限をつける」
「いいぜ?但し」
彼はそう言って笑った。人吉のお株を奪うように『但し』と言って。
「俺はお前の能力を見抜いた」
「・・・・・・!?」
いつの間に見抜いたんだ!?と俺は思ったのだが。
俺以外の全員が微笑んでいた。
宣言『シリーズ化予定』