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丸く収まったこの世界  作者: 榊屋
第五章 失って気づくこの世界
121/324

34-空缶-

 


「・・・・・・!?」

 海馬本人も驚いている。

「お前・・・・・・一体何をした」

「手のうち曝すわけ無いだろ?でも今回は僕の運は君の運を上回ったって事かな」

「上回る・・・・・・!?」

 海馬は思考が中断されかけて、狼狽えている。


「やばいですね」

 雅は呟いた。

「先輩は『予想外』に対応できません。今、彼が何をしたのかが分かっていないから、彼にとって今から人吉さんがする行為は全て『予想外』です」

「そんな・・・・・・じゃあどうすればいいの?」

 音河が雅に訊く。

「私達で彼の能力を解明しましょう。それしかありません」


 能力の解明・・・・・・?それは、つまりコイツもアクター・・・・・・。そして海馬の運が勝てなかったということは、それは『普通には起きない現象』がそこに有ったという事・・・・・・。

「少年。はやく始めてくれよ。それとも兵士達が来て捕らえられるのを待つのか?」

「・・・・・・分かった。準備してくれ」

 俺はそう言ってから、思考を中断し試合に集中する。


「開始」

 同時に銃弾は銃から飛び出る。

 次は人吉の左、海馬の右の缶に銃弾がヒットした。

 打ち抜いたのは・・・・・・・・・


 またも人吉の銃弾だった。

「やっほい」

「くっそ・・・・・・」

 海馬が焦りの顔を見せる。かなり焦っている様子だ。

「早く解明しなよ。確か君って予想外に対応できないんじゃなかったっけ?」

「く・・・・・・」

 海馬は自分の能力を解明されている事に、うめき声を上げる。

 向こうは余裕過ぎる・・・・・・。これは本当に勝てるのか?

「早く次やろうよ」

 相変わらず人吉が急かす。

「・・・・・・準備してくれ」

 俺はそう言って、新しい缶を置く。


「・・・・・・」

 海馬は黙ってもう1つの銃を取り出した。二ちょう拳銃である。

「・・・・・・まさか2つ同時に狙うつもりなのか?」

「さぁな」

 そう言って海馬は銃を構えた。


「開始」

 銃の音は3発分重なって、同時に狙った。

 両方の缶が空を舞う。


「え・・・・・・?」


 当ったのは両方とも海馬の弾だった。

「よっし!」

「チッ・・・・・・」

 人吉は悔しそうに舌打ちをして、

「2つの拳銃は僕と同じ条件じゃない。それは僕のほうが不利だ」

「何でだ?先に当てたほうがいいってことは、どっちに当っても早けりゃいいんだろ?」

「僕の一発が外れても、君には2発あるっていうのはずるいよ」

「・・・・・・」

 海馬は黙って俺を見る。

「・・・・・・残念だが理屈は通っている。1つにしろ」

「了解」

 そう言って海馬は銃をしまった。


「機関銃とかライフルとかにするのはだめなのか?」

「ダメだ」

 人吉が答える。

「お前も替えればいいんじゃないか?2択しかないのも面白くないだろう?」

「僕がルールだ。コレは変えない」

「そうかよ」

 少し不満そうに海馬は言った。


「準備しろ」

 俺はそう言って新しい缶を置いた。


「いけるか?」

「ああ」

「さっさとしろ」

 2人の返事を聞いてから


「開始」

 と合図を出した。

 海馬の銃弾は海馬から右の缶、人吉の銃弾は人吉から見て右の缶でそれぞれ別の缶を狙った。


 缶はほぼ同時に空を舞う。そして同じタイミングに落下した。



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