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丸く収まったこの世界  作者: 榊屋
第一章 決まりきったこの世界
12/324

11-怒りの敵と遅刻のヒーロー、時々気取った語り部でお楽しみください-

サブタイトル長ッッッ!!!

 

 

 


「・・・で」

 木好さんは左手をそのまま構える。


「どうするつもりなんだ?」

「いやぁ・・・どうするも何も」

 俺は虎郷をお姫様抱っこのまま(「離しなさい」と虎郷は言っているが無視である)立ち上がり逃げる。

「させるか」

 本棚の炎が弾けるように、他の本棚に向かって燃え移る。


「燃やした炎も動かせるのか・・・」

「・・・っかしーよな?」

 急に木好さんはそう言い出した。

「何が?」

 自然、犯人である木好に対して敬語は使っていない。

「普通こういうの見たら驚くだろ?虎郷がそういうのだってのは、昔聞いたけど」

「あぁ・・・。俺も同類だからな」

 おかしいのはお互いさまだろう。

 そう続けようとした時だった。

「そうか・・・」

 左手の炎がより一層燃え上がった。

「・・・俺たちだけじゃないのか。俺と虎郷だけの物じゃないのか」

「・・・?」

「俺たちは運命じゃないのか」

「・・・!!」

 東先輩は姿を消した。


 そういえば、バトルマンガで見たことがある。

 腕からの炎の推進力で高速移動する・・・とか。

 

 なるほど。こういうことか。


 「・・・グッ・・・」

 消えた木好さんは、俺の目の前に現れたかと思うと俺に激痛を置いて離れていった。

 あ。違った。俺が飛んでっているんだ(ついでに虎郷も)。

 攻撃はどうやら俺の腹部に当ったようだな。

 俺から器用に離れてった虎郷は、見事に着地した。

 俺は不恰好ながらも地面に一度転げてから、腹をかばった状態でしゃがみ、臨戦態勢を取った。

「痛ぇな」

「そうでもなさそうだな」

 木好さんはまた消える。

 そして、俺の目の前に現れた。そして今度は右手で俺をつかみ、

「消えろ」

 そういって、左手を向けた。

「できれば、きれいな死体がいいんですが?」

「無理だな」

 俺は、左手を右肘で外側にそらせる。

 自然、炎の方向はそれる。

 その隙に俺は左足で木好さんの腹部を蹴り飛ばした。

「ぐぁッ!」

 地味ながらも怯んだ木好さんをつかんだままの右手をつかみ返して、投げ飛ばす。

「よっしゃ!」

 俺は、追撃を仕掛けようと試みた。

 しかし

「!?」

 また消えた。

 そうか、地に足が着く必要性は無いのか。

 そう思ったときには、もう殴られていた。

 右手で俺をつかんで。左手・・・燃える左手で。

「いいこと思いついたよ。虎郷。俺を裏切ったらどうなるか教えてやるよ」

「どういうこと!?」

「知る必要はないんだよ!!」

 燃え盛る左手で俺の腹部を連打しながら木好さんは言う。


「・・・・・・・!!」

 拳の熱さと周囲の熱さと攻撃の痛みが見事なハーモニーをかもし出していて

 その素晴らしさに驚き声も出ないというわけだなこれが。

 冗談を言うぐらいしか余裕はハッキリいって無い。ていうか思っているだけである。



 そして、木好さんは俺を投げ捨て、

「燃え尽きろ!!」

 そう言って左手を構えた。

「やめて!!」

 虎郷は木好さんの左腕につかまり、邪魔をする。

「のけよ!!」

 それを振りほどいて、もう一度俺に炎を向ける。あ。

「ヒーロー気取りもこれで終わりだなぁ。嘉島奏明!」



「俺はヒーローじゃない。司会進行で語り部だ」

「何言ってんだボケ!!」

 左手の炎の勢いが上がる。なるほど。怒りで火力が上がるのか。

 怒りの炎という感じか。


 おい、

 時間稼ぎしてんだから、


 見てないで(・・・・・)助けろよ。

 あ、助けないんだっけ?


「だってヒーローは」

 俺は木好さんに言う。


 ドガッシャ!!

 木好さんが視界の左へと消えていった。

 炎の推進力ではないだろう。

「その通り。だってヒーローは遅れてやってくるんだから」

「なんだ・・・お前」

 本棚に体がめり込んだ木好さんは、こちらを睨んで聞いてきた。






「頂点に立つ王の称号を持つヒーロー・・・」

 右手を銃の形にして木好さんに向けた。

「王城隼人、以後宜しく」

 そして、俺たちを見て彼の決め台詞。最後の最後しか言ってくれない言葉。


「さて、助けに来た・・・・・よ。ソウメイ君、ヒスイ君」

名前とかすごいのいたよ。


一って書いて「にのまえ」だってさ。二の前だから、一なんだと。

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