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丸く収まったこの世界  作者: 榊屋
第五章 失って気づくこの世界
115/324

28-開始-

 ようやく1話のところに向かって、進行します。


 襲撃『開始』

 俺は睨まれながらも何とかその場をしのぎ、虎郷(またの名を『ゴーゴン』)からの金縛りを咲け切ることが出来た。


 それから俺達は丸1日を準備に使い、銃器の使い方をよく学び、よく寝て、昨日のカレーを、願懸けの意味も兼ねて、カツカレーにして食べた。よく学び、よく寝て、よく食べた。

 そして、時間は23時。

 襲撃の時が来た。

 俺達は全員で王城グループの本社の前に立った。

 片田舎でありながら、高級住宅街の多い地域では20階建てのビルやホテルがある。この辺りは田舎だけはあって、観光名所もいくらかあるのだ。その中でも一際大きいビル、32階建てのビルが『王城グループ 本社ビル』である。

 台風で風に煽られながらも、歩いてそこに向かった。中央街を歩きながら、高級住宅街地域に向かって足を進める。向かい風だが気にしない。俺達は今からもっと風当りの強いものを相手にするのだ。


「これが成功したら、王城グループはどうなるんだろうな」

「さぁ・・・・・・。滅ぶかもしれないし、何とか立ち直ってくるかもしれないけれど、まぁ王城が相手だから私達にはどうにも出来ないわね」

「それはそれとして頑張ろうぜ。俺達の仲間を取り戻すためにな!」

「そういうセリフは成功してから言ってください。海馬先輩」

「成功してからはそれは言えないんじゃないかな・・・・・・」

 俺達はそんな会話を済ませて、警察の軍隊(警察予備隊でも自衛隊でもない)のところに立った。

「よう。来たか」

 龍兵衛さんはパトカーから降りながら言った。

「今回の作戦は、お前らはどんどん上に上がっていけ。俺達がサポートする。っていう感じの作戦だ。今回は銃刀法違反に関しては免除してやる」

「そんな権限があるんですか?」

「今回の一生摘発が成功したら、俺は恐らく副署長だ。というかそういう約束だ。それにお前らは警察だろうが」

「ああ・・・・・・。そういえばそうでしたね」

 俺達は警察官なのか・・・・・・。そんな事は基本的にはないだろう。こういうことはしていいような事じゃないかも知れないが、一々気にしている場合でもない。

 俺達は今から戦いを始めるんだ。


「そういえば、犯人は1人を除いて捕まったぞ」

「え?」

「一条字 雷は、自分の息子、一条字玲王に捕まった」

「む、息子に!?」

「『親父は王座から降りたのだ。これからは俺が王だ。俺は俺であるが故に、王である意味があるのだからな』だそうだ」

「は、はぁ?」

 何言ってんだ、そいつは。

「そして如月 戦は、王城の協力者が捕まえた」

「・・・・・・結局その人は誰なんですか?」

「お前らは知ってるだろ?俺は名前は知らん」

「知らないんですか・・・・・・」

「アイツだよ・・・・・・えーっと、ほら」

 龍兵衛さんは少し考えてから

「運転手だ。あの『東』・・・・・・だっけか?」

 と言った。

「あ・・・東先輩!?」

「ああ。そうだそうだ。それだ」

 龍兵衛さんがそう言って、笑う。

 まさか・・・・・・東先輩が・・・・・・。てっきり敵側だと思っていた。だがしかし、そう考えれば納得できる。「スピード違反」や「無免許運転」をしていた人物という点や、王城グループの人間で隼人への協力者・・・・・・そして犯罪者を捕まえられるのは彼くらいのものだろう。

「そうか・・・・・・東先輩も・・・・・・」

 俺は思わず笑った。


「嬉しそうね」

「仲間が増える事は嬉しい事だからな」

「そう。私も嬉しいわ」

 と淡白に、しかし少し顔を歪ませて、笑いながら言った。


「・・・・・・。もう少しで襲撃の時間だ。心の準備は良いか?」

「はい」

「・・・・・・5秒前」

 ・・・3、2、1

「作戦開始!」

 龍兵衛さんの命令で銃や刀、マシンガンを持った人間が突っ込む。


「よし、俺達も行こう」

 と、動いたとき。


 入り口から、光が漏れた。そしてその後爆発音が響き渡る。


「・・・・・・!?」

 何だ!?何が起きた?

「爆発!?」

 海馬が驚きの声を上げた。

 兵士のほとんどは爆風のようなもので飛び出ただけのようだ。


「・・・・・・」

 中から現れたのは、同じような兵士達だったが、武器が明らかに違う。

 そして1人の男が入り口から出てくる。

「帰れ。今なら許してやる」

 バズーカを構えていった。後ろにはガトリング砲や重機関銃が設置されている。

「気をつけろ。周りの建物から狙撃班も狙っている」

「く・・・・・・」

 龍兵衛さんは珍しく言葉を詰まらせてそのまま止まる。

「さっさと帰れ。貴様らの相手をしている場合じゃないのだ」

 男はそう言ってバズーカの引き金に指をかける。


「これから10秒以内だ」

 男の後ろから同じバズーカ兵が来る。

「10」

「建物の裏側に逃げろ!」

 龍兵衛さんがそう叫ぶ。

「9」

「おい!お前らも早く逃げろ!」

「8」

 逃げていいのか?俺はここから離れていいのか?

「7」

「嘉島君!一旦引くわよ!」

 虎郷が叫ぶ。

 それでいいのか?

「6」

「嘉島!急げ!ここで死ぬわけにはいかない!」

 俺はまだ考えられていないんじゃないか。

「5」

「嘉島!逃げるんじゃないんだよ!一旦隠れようよ!」

 警察の人々は一気に隠れる。

 いや、逃げだ。これはただの逃げなんだ。『何か』がそう言っている。

「4」

「奏明さん!早く!」

 何が・・・・・・俺を止めるんだ?

「3」

 ・・・・・・!何か聞こえる。これは・・・・・・アレだ。エンジンの音だ。

「2」

「逃げるな!俺達の仲間だ!隼人も虎郷も海馬も音河も雅も!」

「分かってる。だから早く逃げるぞ!」

「逃げちゃダメだ。俺達にはまだまだ残ってるだろ!」

「1」

「・・・・・・なんだありゃ」

 車が一台走ってくる。

「俺達にはまだ仲間が居る!!」

 俺はそう叫んで、車に向かって走った。

 皆も走り出す。

「0」

 俺は開いていた車のドアに捕まった。その俺や同じように車のドアに捕まったりして、俺達は連結した。



 バズーカは周りの車や戦車、そしてこの車に衝突する。そして炸裂して爆発する。



 煙が舞い上がった。地面が割れたり壊れたりしている。どうやら悲惨な結果を招いたようだ。これでは何もかも壊れてしまう。

「・・・・・・何!?」

 しかし。 

 男が見た先には俺達が居た。


 バズーカの爆発に巻き込まれた、無傷の車の中に。

 車は男をも引いて、重機関銃やガトリング砲に突っ込んで、止まった。


「・・・・・・助かった」

「キセキね」

「運が良かったな」

「それにしても凄いね、この車」

「いずれにしても助かりました」

 俺達はドアから出てきた。


「何で生きているんだ、貴様ら!!」

 兵士達が叫ぶ。俺は華麗に無視するという方法を選んだ。

「ありがとうございました・・・・・・」

 俺は目の前に居る、男の人にお礼を言った。

「東先輩」

「初めてだな。お前に敬語を使われたのは」

 笑いながら言って、車のバンパーに座り込む。

 そして目の前の連中を睨みながら言った。


「ここは先輩と警察に任せな。おまえらは先に行け」

 マンガのように、自らの立ち位置を確保していった。

「東先輩・・・・・・」

「隼人のことは頼んだ」

「・・・・・・はい!」

 俺はそう叫んで階段を上り始めた。

 東先輩の背中は今までより一段と頼もしかった。


 次回はかなり短く、東先輩の『能力』を説明。

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