27-雑談-
今回は単純な雑談です。
結局俺達は5人で警察署へと向かった。着いたのは6時だった。
ただその警察署を見ると、それは正義の施設ではなかった。
「というか要塞だな・・・・・・」
海馬の家がそうであったように、今はこれがそうである。まぁそりゃ、海馬の家の要塞自体を移したようなものだから、こうなることは当然といえば当然なのだろうが。
「よう。来たか」
「はい。で何かあったんですか?」
「その前に、xを捕まえてくれた事を感謝する。あいつには梃摺ったろう。何せ失う物が無いからな」
「失う物が無い?」
「記憶が無いから自分のことがほとんど分かってなかった。だから、だ。失う物が無い奴は全力投球だからな。で、だ」
と、龍兵衛さんは本題を切り出すために、そう言って1度区切った。
「xはいつの間に力を手に入れたんだ?」
やっぱり気付いていたのか・・・・・・。そりゃそうだ」
「どうやら誰かに聞いたそうですよ。よく分からない奴だそうです。本人に聞いてみてはいかがですか?」
「アイツは殺した。死刑だ。速攻でな」
「こ、殺した!?」
いきなりかよ・・・・・・。
「死刑執行日を急遽早めて、その日のうちに殺したんだ。殺すのにも4人の負傷者が出たけどな」
「なるほど・・・・・・」
「それだけだ。今のところはな。じゃあ夜にまた会おう」
「それだけ・・・・・・ですか?」
「それと、脱獄囚の2人を捕まえてくれ」
「・・・・・・はい」
と会話の内容はそこまでなかったようでそれだけ話して、外に出た。
「後は襲撃に行くだけだな」
海馬がそう言って、道を歩き始めた。
「私は早く帰って眠りたいよ・・・・・・」
「俺もだな」
「私はそうでもないですけど」
と音河と海馬と雅は言いながら少し歩くペースを速める。
「東先輩が居たら移動は楽なのにな」
「彼は私達とは違う方向性を持っているわ。私達の仲間ではないけれど、隼人君の仲間なの」
「そうだな。先輩もすでに王城の人間だからな・・・・・・」
俺はそう言って海馬たちを追いかける。
「ところで嘉島君」
「・・・・・・何?」
「さっき、私に何か訊こうとしていたでしょう?」
・・・・・・ああ。
「あー・・・・・・」
「何?」
「何でもないよ」
「煮え切らないわね」
「良いじゃねえかよ。もう済んだ事だ」
「・・・・・・」
睨まれた。めちゃくちゃ睨まれた。
「な・・・・・・何?」
「私に対してそんな態度がいつからとれるようになったの?」
「え、えー・・・?」
ずい、っと。
ギリギリの距離まで顔を近づけてきた。ビックリした。
「何だよ」
「言いたい事があるならいいなさい。今、私達が隠し事をしている場合じゃないでしょう?」
「それはそうだけど・・・・・・。てか、近いよ」
「何?私に対して好意でもあるの?」
そうなんだけど。そうは言わないけど・・・・・・。
ん?視線を感じる。
俺は顔がぶつからないように、視線を横に向ける。
「・・・・・・」
海馬と音河と雅がこちらを見て止まっている。
「・・・・・・何?」
俺の発言に
「あ、いや」
と海馬が言って
「どうぞ、お続きを」
と続けた。
「うっさい。黙れ。そして続けない」
と俺はそう言ってから虎郷に顔を向けた。
「というわけで、中止」
「・・・・・・」
「す、すみませーん。逃げます」
「逃がさないわ」
今度は俺の手を掴んでから
「帰りながら話を続けましょう」
と歩き始めた。
手を繋いで歩く事が出来たのだ。
期せずして嬉しい結果になった。少しだけ幸せな気分になった。
・・・・・・まぁ睨まれているんだけど。
疲れが最近取れない・・・・・・まだ若いのに・・・・・・。