25-恐怖-
テスト嫌だ。
殺される・・・・・・。
殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される!!
「死ぬ・・・・・・」
「ん?修羅場くぐってきたんだろ?」
何だ。初めてのこの感じは。
・・・・・・そうか。コレが殺意か。
本物の殺意。
殺す事を主とする者の研ぎ澄まされた殺意。
それ自体が刃に・・・・・・刀に・・・・・・武器になる、洗練された殺意。
と、いうことか。
「じゃあ行くぜ?」
男は言ったが早いか、こちらに飛んできた。
ドン、と。
目の前に来た。
「はぁ!?」
1秒も経っていない。
ブースターでもついてんじゃないか!?
いや――ついているのか。それも「武器」だ。
「僕に勝てると思うなよ。ガチで殺すぜ」
殺すと言ったときの目から出た殺意。
本物だ。
男の刀が1本、僕の首を横薙ぎに切りかかる。
「!!」
動けない。
動く事を拒否しているような感じだ。
金縛り・・・・・・!!
「殺す」
静かにもう1度宣言した。
瞬間、呪縛が解けたように体が動く。
咄嗟に俺は左手を刀に向けてぶつける。拳の形で。
普通なら痛みで触れた物ではないが、俺の左手は特殊だから。
刀の形状を変化させた。
「・・・・・・!?」
男は瞬間に後ろに跳んだ。
「・・・・・・これがお前の力か」
「まぁな」
「まぁ。僕には無意味だな」
そう言って男は刀を消した。そしてもう一度取り出した時には刀は戻っていた。
「無意味か・・・・・・。本当にそうだな」
「ああ。本当なら『諦めろ』と言いたいところだが、まぁどうせ聞くはずもない」
「ご名答だな」
俺はそう言って、今度は自分から走り始めた。
「殺す」
「潰す!!」
俺は殺気を振り切るようにそう叫んで、相手の間合いに入る。
「・・・・・・元気のいいことだ。諦めを覚えろ」
男はそう言って刀を今度は叩きつけるように振る。
俺は体を半身にして避けて、そのままがら空きの腹に左手の掌底をぶつける。
相手の腹部を破壊するためだ。
「ぐッ!」
男は小さな悲鳴を上げて動きを止める。刀も消滅した。
そしてそこにひれ伏した。
「・・・・・・」
・・・・・・だからといって油断できない。というかおかしい。
俺は殺すくらいの覚悟で攻撃した。本来、もっと大きなダメージを受けていると考えられる。それに殴った時の感触が人間の腹部とは異なっていた。もしサイボーグが居たら・・・という、そんな感触。まるで鉄でも触ったような・・・・・・!!
「・・・・・・まさか・・・・・・鎧!?」
「・・・・・・そのまさかなんだが・・・・・・僕もまさかの気分だよ」
そう言ってようやく立ち上がった。
「刀を避けられた瞬間に武器として鎧を登場させたのだが・・・・・・お前の左手の掌底は凄いな。内臓がいくつか潰れるかと思った。本当に『潰す』だったな」
「・・・・・・くっそ」
俺は撃たれた肩を抑える。向こうの武器は消えたが、弾丸は有りそうだ。つまり、アイツが「使った」武器は、アクターては無くなるようだ。
それにしても。
コイツに勝てるのか?俺は。どうやって勝つ?
どうする。俺はどうすればいいんだ。
お前ならどうするんだ・・・・・・!!
「ったく。お前の苦手そうなのでいくか」
男は俺を突き飛ばして、自分も後ろに下がる。
「お前のその左手はどうやら力を使うのに触れなければならないらしい。しかもダメージをあまり受けないようにしないといけない。だから僕の刀には触れるのではなく、殴ったんだろ?」
そう言って刀を消す。
「てことは、だ。ダメージを絶対に受けるような方法でいけばいいんだろ?」
そして次に出てきた物は。
「!」
銃。しかもライフル系統だ。
「絶対にダメージを受ける手立てだ。コレをどう受けるのか・・・・・・」
笑った。嫌な笑いだ。殺す事を楽しむような。
俺の死を見ているのだろうか。
「最後の宣言だ。殺す」
男はそう言って銃弾の引き金を引いた。
ドンッ!
銃と俺の距離は約5メートル。
銃弾のスピードは想像していた程速くない。・・・・・・わけじゃない。
だが、銃弾はしっかりと確認できる。俺の腹部を的確に狙おうとしている。
見える。
分かる。
この間と同じ感じだ。この雰囲気は・・・・・・どこにくるのか分かるような・・・・・・。そう、言うならば。
急激に理解力が高くなった感じだ。
俺は弾丸を避ける。
「は!?」
男は驚きで、動きを止めた。
その間に俺は距離を詰める。
「・・・・・・・まだだ!!」
後1メートルの距離で立ち直り、次に出してきたのは
「殺す!!」
グレネードだった。ほぼゼロ距離で投げてきた。
「・・・・・・!!」
俺はその動きを見て。
構造を理解する。これはそしてコレは蹴り飛ばしても大丈夫だと判断。
で、男の後方に蹴り飛ばした。そしてそのままの勢いで男の腹部を殴る。
「グッ……!!」
男は今度は後ろに吹き飛んだ。
「だが……痛みは少ない!!同じことをしても無駄だ!!」
それはそうだ。相手にダメージを与えられなかった事をしても意味がない。
しかし。
「さっきと同じだとすれば、ダメージを食らった後は『アクター』を使えないんだろ?」
俺の左手の攻撃を受けた、先ほどの対応を思い出す。
「つまり、今お前が使っている物は消えて、おまえが使っていない物は消えないわけだ。その証拠に俺の肩の弾丸はあるしな」
「だからどうした!!」
「つまり、それは残るわけだ」
俺が指さした先――つまり男の横にあったのは……
「!グレネード!?」
「そしてお前は鎧を出せない」
ダメージを受けたばかりだから。
俺は右手の指を銃の形にして笑いながら言った。
「チェックメイト」
「くっそ―――」
トゴォォォォォォォ!!!!
グレネードは男の叫びをかき消すように炸裂音をたて、爆音とともに爆発した。
「…………勝った」
そう呟いてから思い出した。
「ジュース……買わなきゃ……」
前書きの事は僕の今の現状です。