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丸く収まったこの世界  作者: 榊屋
第五章 失って気づくこの世界
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20-会議-

 話し合い。


 それが一番の解決法だとよく言う。しかし、それはその場を丸く収めたいという大人の願望を子どもに押し付けているに過ぎない。問題を起こしたくないから、こうして話し合いと言う方法を取らされているのだ。

 では、こうしよう。我々は未練を残さないためにも物事に対して殴り合いで決着を付けると。


 次の日・・・すなわち、22日木曜日。

 朝、いつもどおり、2番目に目覚めた(1番目は虎郷)俺は

「・・・・・・どうやら事はそう簡単には進まないようだな」

 と虎郷に話しかけた。虎郷はキッチンで朝食作り。朝は基本、俺か虎郷か海馬が担当する。

「そうね」

「ああ。隼人の言った通りにはなりそうもない」

 と会話していると、

「何か有ったのか?」

 言いながら海馬がリビングにやってきた。コイツはいつも示し合わせたかのように、俺が起きてすぐに目覚める。


「・・・・・・コイツは・・・・・・」

 海馬も止まる。

「・・・・・・取り敢えず、皆が集まってからにしよう。そして今日は学校へ行く」

「マジかよ。今すぐにでも対応すべきじゃないのか?」

「そうは言っても私達は受験生よ?学校へ行くのは当然でしょう」

「・・・・・・分かったよ・・・・・・」

 話し合いの結果、俺達は現在はこれ・・に関しては触れない方針にした。


 そして、朝食。全員が制服に着替えて食卓に集合。

「・・・・・・あの」

「雅。言いたいことは分かる。が、取り敢えずは今日の予定だ」

 と、率先して海馬が議長を始める。

「まず、今日は学校に行く。そして、授業が終わったら部活動は・・・・・・誰も入ってないからそのまま帰って来い。それから、コレ・・・・・・」

 といって、海馬が指差した先。


「この崩壊した壁・・・・・について考えよう」


 そう。

 俺達の家のリビングの壁。それが1日にして崩壊していた。

 俺達が起きないようにこんな仕事をしてのけるとは・・・・・・。

「恐らく、王城グループだよね?隼人の部屋もあらされてたし・・・・・・」

 音河はどうやらコレを見たときに、隼人の部屋を真っ直ぐ見に行ったようだ。

「多分な。俺達が危害を加えられてないのが不思議なくらいだ」

 俺がそう答えると、

「でも目的は何でしょうか?」

 と雅が訊いた。それに対して

「恐らく俺達への警告。これ以上王城には関わるなという意味だろう」

 海馬が的確な解答で答えた。

 となれば。

「だとして、結局のところその幹部ってのは何がしたいんだろうな」

 俺は自分の疑問を皆に投げかける。

「どういう意味ですか?」

「いや、ここまでして隼人を俺達と引き離そうとしている。でも、隼人を王城グループの人間として機能させるつもりはない。こんな事して意味あるのかな?って」

「・・・・・・確かにそうね」

 と、虎郷が頷く。

「いつもの王城君なら何かに気付いたと思うし・・・・・・もしかすると、それもある可能性・・・・・の裏づけかもしれないわね」

「ある可能性?」

 そういえば昨日も言っていたような気がする。

「そのある可能性ってのは何なんだ?」


「・・・・・・ここで言うべきではないでしょうね」

 そう言って、虎郷は周囲をぐるりと見渡す。


「どうかしたのか?」

「どうして、こうやって私達に警告して来たのかしらね」

 虎郷は突然そう言った。

「どうして?」

「だって王城君は私達に敵対宣言までした。だとすれば向こう側にとって、私達に攻撃する意味はなくなったんじゃない?」

「それは・・・・・・」

 確かにそうだ。向こうからすれば俺達は諦めたということで収集がついたはず。

 だとすれば・・・・・・どうなるんだ?


「・・・・・・まさか!」

 雅が叫んだ。どうやら気付いたらしい。

「・・・・・・多分ここね」

 そう言って虎郷がしゃがみこんだ場所にあったのは・・・・・・。


「・・・コンセント?」

「じゃないわよ」

「いや、それはコンセントだろ」

 彼女がしゃがみこんだ場所にあったのはコンセントだった。特に何か挿しているわけでもない。

「・・・・・・ンッ!」

 と虎郷が力を込めて、無理やりコンセントの基盤を引っこ抜いた。

「何して――」

「ほら有った」

 そう言って虎郷は俺達にそれを見せた。


「・・・・・・それは?」

 海馬が恐る恐る訊く。どうやら彼も気付いたようだ。

「盗聴器ね」

「と、盗聴器!?」

「だから私達がまだ反抗しようとしている事に気付いたのよ」

 そう言って、虎郷はその基盤を靴下のまま踏み潰した。

 鋭い音を立てて、それは砕け散った。


「さて、朝食にしましょう。早く学校に行かないと遅刻するわ」

「・・・・・・そうだな」

 俺の発言を筆頭に、全員席について、静かに朝食を摂り始めた。


 朝食が終わり、俺達は家を出る。


「行って来ます」

 律儀に挨拶した、久しぶりの登校だった。


 そして河川敷で語らうのだ。

「お前強いな」

「お前もな」

 と。

 これが理想の解決法だ。

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