19-理解-
理解するということは認めるということ。
「どうするって・・・・・・?」
俺は虎郷の反応には相変わらずそういう反応しか出来なかった。
「王城君を助けるのか、助けないのか」
「助けるって・・・・・・それはアクターには出来ない――」
「彼は今、昔の私達と同じなのよ。雅とは少し違うけど」
虎郷は無視して言った。
虎郷や海馬、そして音河と同じ・・・・・・。
「彼は今、自分を捜しているのよ。響花の前で堂々と宣言したし、私達にも教えてくれたでしょう?自分の目的を」
隼人の目的・・・・・・。
それははっきりと覚えている。俺を誘う時に何よりもまず宣言した。
「彼は今、自分の目的から遠ざかっている」
「でも、隼人は王城グループを倒すわけには行かないだろ?それは自分の家がなくなるって事で・・・・・・それに、目的のための王城グループが滅ぶのは防がないといけないはずだろ?」
「そう。でも、平常の彼なら絶対にそんなことはしない。いつもの彼ならある可能性に気付いたはず。それだけ状況が危なかったのね。時期的にも考えて、それは響花との婚約選挙に出るぐらいのときに起きたのだと考えれば、全ての理由付けにはなる」
と虎郷が根拠を明確に表示する。
「・・・・・・でも、俺達は助けられるのか?俺達はそれでいいのか?」
「・・・・・・何を言ってるの?」
「前までは俺は自分の考えは自分であった。でも、隼人と関わってからあらゆることをアイツに頼ってきた。自分で物事を考えられなくなってきたんだ。これからどうすればいいのか。正しい事は何なのか。俺がやっていることは正しいのか。それらが分からないんだよ」
「・・・・・・」
「俺は今、何がしたいのかも、何が正しいのかも、何をすればいいのかも、何をしちゃだめなのかも支持されないと分からない」
俺は馬鹿にされたり、ヘタレ呼ばわりされる事もいとわずに、正直に告白した。
そして、続けた。
「俺は・・・・・・何をすればいいんだ」
俺は虎郷を見る。
虎郷は下を向く。そして、今度は王城のように電灯を見た。
そして次に口から出た言葉は、
「だとすればそれが貴方のすべき事でしょう?」
だった。
「何をすればいいのか分からない。分からないのは王城君がいないから。そうでしょ?」
「・・・・・・」
「それは貴方が王城君が必要なのよ」
虎郷は更に続ける。
「王城君のことを知らずに求めている。あなたには王城君が必要なのよ。それは私達と一緒」
「お前らと・・・・・・」
「そして王城君とも一緒よ。それが仲間なんだから」
「仲間・・・・・・」
「貴方も彼と会ったとき、何かをもらったんでしょう?私達と同じでね」
俺がもらった物・・・・・・。
虎郷や海馬、音河に雅がもらった物・・・・・・。
「・・・・・・っし・・・・・・」
「どう?嘉島君――」
「しゃああああああああああああああああああああああ!!」
と、突然の俺の大声に世界が震撼――とまではいかなかったが、少なくとも4人を震わせるくらいはできた。
「やるぞ!諦めてたまるか!逃げてたまるか!腕を引きちぎってでも、隼人を連れて変える!!」
「・・・・・・そ、そうか」
海馬が若干引き気味に言った。
「絶対に、助けて見せる!待ってろ隼人!!」
俺はもう一度そう叫んで、
「寝る!」
と言って部屋に戻った。
皆は少し怖がった目で俺を見ていたが、そんなことを一々気にせずに宣言どおり、眠りについた。