17-敵対-
敵とは自分自身であり、自分以外である。
この世界では全てが敵なのですよ!
隼人は一歩ずつ歩いてきて、そのまま俺達の近くまで来た。
「・・・・・・隼人」
俺は思わず呟いた。しかし隼人は
「積もる話があるだろうけど、今は彼女の逮捕を優先しよう」
とだけ言うと止まる事はなくそのまま長柄川に近づいた。
「また貴方ね・・・・・・」
長柄川は隼人を睨む。
「・・・・・・全く・・・・・・こんな奴ら外に出して何がしたいのか僕には全く分からないよ」
「ごちゃごちゃうるさい!」
長柄川最終形態突入。以前より切れるスピードが速い。
或いはこの短気さが彼女の導火線なのか。だから彼女は爆弾だと。
恐らく隼人ならそういう理由づけをするだろう。
「私の進化は貴方に対する怒りから目覚めている。こんな空間破壊してみせる!!」
長柄川は隼人に触れた。
「!」
瞬間、光る。同時に爆音。
隼人は煙の中へと消えた。
「隼人!」
「焦るなよ、ソウメイ君。この空間はダメージは消えるんだ。だから痛みも火傷も今はないのさ。解除しても食らうのはダメージだけだ。火傷とか麻痺とか凍傷とかは全く意味がない」
隼人は一気にそう言って長柄川を背負って帰ってきた。
どうやら気絶しているようだ。って・・・・・・この空間では気絶も出来ないはずでは・・・・・・?
「解除」
隼人は空間を消す。
これで痛みは元に戻る。故に、爆弾ももう一度爆発するし、海馬や雅、音河も気絶し、長堂寺と丹波に足にさした剣の痛みを受ける事になる。
そう思ったのだが
「・・・・・・あれ?」
「・・・・・・なんともないぞ」
音河と海馬と雅は倒れずに立ったままだが、長堂寺と丹波は剣の痛みに
「あああああああああああああああああああああ!!」
と悶えている。
そして長柄川は気絶したままだ。
「僕のキングダムの進化系だ。特定の人間の痛みを消す事が出来る。また、その空間内でも相手にダメージを与える事が出来るのさ」
と隼人は静かに言った。
確かに隼人にも爆弾のダメージは見受けられない。
「隼人も進化したのか」
「まあね。さてと・・・・・・」
隼人はそれだけ言うと眠るように目をつぶった。
「君らは王城グループの行動を阻止しようとしてくれている。それはとても助かる。あの幹部の仙波が勝手なことばっかりするから僕としても嬉しい限りだ。まぁ僕の君らに対する未練をなくすためらしいけど」
「よかった。で、隼人――」
「僕は君らのところには戻らない」
・・・・・・は?
「・・・・・・な、何言ってんだ」
「彼らのやっていることは確かに許しがたい。でも、僕がその未練を失くせば君らに対して攻撃する事はない。だからこれから君らに攻撃がくることはないだろう」
「おい、隼人」
「それに王城が危機に瀕していることは否定できない事実だ。僕は王城を滅ぼすわけにはいけない」
「隼人!!」
俺は叫んだ。
「お前、何言ってんだよ・・・・・・」
「これが僕のやり方なのさ。僕が君らを守るために選んだ方法だ。だから能力もあんな風に進化した」
「それでいいのか・・・・・・?それが正しいのか!」
「知らないよ。正しいかも間違えているのかも。だけど僕は・・・・・・」
そう言って隼人は目を開いて、言った。
「君らが襲撃に来るというのなら、僕は全力で迎え撃つ」
その中でも信じられる敵を探しましょう。
それがライバルであり、仲間です!