第一部【第三章】情熱の剣
オペ室は、炎堂の声で一気に熱を帯びた。
「人工心肺を準備だ! 患者の命を、私の魂のメスで切り開く!」
助手の高城が慌てて叫ぶ。
「炎堂先生! 人工心肺の設定は完了しましたが、術中の血圧管理が……!」
「高城君、君の知識を信じる! 私の信念と君の技術で、この命を救うんだ!」
観察室の氷室は、冷ややかな目で手術を見つめる。
「無謀だ。基礎知識はあっても、術中の複雑な判断は不可能だ。患者は……死ぬ」
だが、炎堂の手は驚異的だった。
どうやって動いているのか、誰も理解できない。
まるで精密機械をハンマーで修理するかの如き神業。
メスが動くたび、助手たちは目を奪われた。
高城が呆然と呟く。
「炎堂先生、凄い……なんて豪快な手さばきだ……何をやっているのかさっぱりわからないけど、凄いことやってるってことだけは、凄い伝わる!」
別の助手が声を上げる。
「炎堂先生のメス、なんか……『命』そのものみたいだ! 全然わかんないけど……絶対すごいことしてる!」
炎堂は汗だくで、燃えるような声で叫んだ。
「細かいことは気にするな! 私のメスは希望の刃! とにかく切って、縫って、治す! 患者の命を信じ、魂の情熱で切り開く!」
「け、血圧低下! 先生、もっと慎重に!」
高城が叫ぶが、炎堂は目を輝かせた。
「慎重!? そんなことを言ってる場合じゃない! 祖川さんの熱い魂の鼓動が鳴り響いているのに、私が手を止めるワケにはいかない!」
彼の言葉に、助手たちは訳も分からず奮い立った。
オペ室は、炎堂の情熱に飲み込まれていく。




