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氷室編【第四章】冷静な刃
火災現場で、炎堂は最後の被災者を救出し、消防士たちに担がれて病院に戻った。
スクラブはボロボロ、古代ローマの剣闘士のような傷だらけの肉体が汗で輝く。
その瞬間、オペ室から氷室が現れた。
冷静な声で「成功した」と告げる。
病院ロビーは歓声に包まれた。
中村里奈子の家族が氷室に駆け寄り、涙ながらに感謝を伝える。
「氷室先生、あなたのおかげで……!」
だが、氷室は静かに首を振った。
「いや、この成功は……炎堂烈のおかげだ。あの男の魂の炎が、里奈子さんの心に希望を灯し、私の知識を最大限に引き出した」
家族が目を丸くする。
「炎堂先生? オペ、いましたか……?」
氷室は小さく微笑み、かつての自分を思い出す。
「あの男の信念が、どんな絶望も打ち砕く。私も、かつて聖陽で彼に救われた。彼の熱さがこの命を繋いだ……」




