アウトオブあーかい部! 〜部室棟 乙女の干物 集まりて 怠惰を極め 綴るは実績 電子の海へ あゝあーかい部〜 20話 ちょっと昔のお話
ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立 池図女学院。
そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。
あーかい部に所属するうら若き乙女の干物達は、今日も活動実績を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。
『アウトオブあーかい部!』は、そんなあーかい部のみんなの活動記録外のお話……。
ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立 池図女学院。
そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。
あーかい部に所属するうら若き乙女の干物達は、今日も活動実績を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。
『アウトオブあーかい部!』は、そんなあーかい部のみんなの活動記録外のお話……。
池図女学院部室棟、あーかい部部室。
「ふあぁ……。」
「遅いわねぇ……。」
現在時刻、午前2時……ッ!!
「雪さん遅いですね……ふあ。」
教頭先生とあさぎは白ちゃんの母である雪を待っていた。
「久しぶりだと時間かかるのかしらねぇ……。」
「んん……、なんか襟足めっちゃ荒ぶってるんですけど。」
あさぎの襟足が両方ともそよそよと揺れていた。
「『藍ちゃん』も楽しみなのよきっと♪」
「ですかねえ……ふあ。」
午前2時……それは俗にいう丑三つ時。
鬼門とか風水やら色々定説はあるが、簡単にいっちゃえばオバケのゴールデンタイムである。
「ねえあさぎちゃん、『藍ちゃん』とコミュニケーション取れる?」
「んん……はい。」
あさぎは目をこすり、眠気覚ましにスパーンッとほっぺを叩くと、自身の左右の襟足をギュッと摘んで揺れを止め、声を張って独り言を呟いた。
「いでよ『藍』……!今からする質問にYESなら私の右襟足を、NOなら私の左襟足をテシるがいいっ!」
テシテシっ……
あさぎの右襟足がヒラヒラと揺れた。
「なんか聞いてみます?」
「良いの?」
テシテシっ……
「なんか向こうも乗り気みたいですし。」
「じゃあ……、」
教頭先生は少し考え込むと、あさぎの襟足の揺れを止め、目線を上げて虚空に呟いた。
「朝ごはんはパンよりご飯。」
テシっ……
あさぎの右襟足が揺れた。
「へ〜。」
「コーヒーはやっぱりブラックよね♪」
・・・・・・。
「あの、牡丹さん……?」
…………テシっ
何か葛藤していたかのように間を開けて、あさぎの左襟足が揺れた。
「ほぉら来た♪『藍ちゃん』苦いの全然ダメだったのよね♪」
「……あんまりいじめると『藍』、拗ねちゃいますよ?」
「じゃあ次。」
教頭先生はあさぎの左襟足をキュッと摘んで揺れないようにした。
「牡丹さん?」
「……、」
教頭先生は目を瞑ったかと思うと、クワッと力強く目を見開いた。
「『天川藍』は断然、受け……ッ!!」
ペシペシペシペシペシッ
教頭先生に摘まれているあさぎの左襟足の先っぽだけが荒ぶった。
「めっっちゃ抗議されてますけど……。」
「『天川藍』は断然、受け……ッ!!」
教頭先生があさぎの左襟足を摘む力が強まった。
・・・・・・。
「ほらぁ、葛藤しちゃってるじゃないですか。」
「『天川藍』は断然、受け……ッ!!」
・・・・・・テシっ……
「なんか無理やり感……。」
「屈したからやっぱり受けね♪」
教頭先生があさぎの左襟足から手を離した。
「そういう……?」
テシテシテシテシテシテシテシテシ
解放されたあさぎの左襟足が荒ぶった。
「なんというか……だいたいどんな人かわかりました。」
「この魔性の受けが人を狂わせるのよ♪」
教頭先生が誇っていると、そおっと部室のドアが開けられた。
「遅かったわね……
「え……?」
あさぎは目の前の光景を瞬時に受け入れることができなかった。
「……//////」
部室の出入口に立ち、顔を真っ赤にしてプルプルと震えていたのは……包帯のように自身の片目を白髪で隠し、高めにセットしたクルンクルンでフワンフワンのボリューミーなサイドテールでバッチバチにキメた、一応制服姿の……
「……雪ちゃん、ヤングスタイル……ッ!!」
「その言い方やめてよぉ〜!?//////」
顧問である白ちゃんの母、白久雪であった。
「なんというかその……すごく、背徳的ですね。」
あさぎの右襟足が揺れた。
「澄河ちゃんに言ったら死ぬ……///」
「言いませんって!?……っていうか言えません。」
「……///」
地震が起こった訳でもないのに雪は机の下に身を隠した。
「……ところで『藍ちゃん』は?」
……と思ったら、チンアナゴのように机から顔だけひょっこり出した。
「あさぎちゃんの襟足を使ってコミニュケーションが取れるわよ♪」
「なるほど……。」
雪はしぶしぶ机から出てきて着席した。
「YESなら私の右襟足を、NOなら私の左襟足をテシって質問に答えてくれます。」
「……。」
雪は疑いの眼差しであさぎの襟足をじいっと見つめた。
「……パンよりごはん。」
テシっ……
あさぎの右襟足が揺れた。
「やっぱりごはん派なんですね。」
「「当然。」」
「へ、へぇ……。」
雪は無言であさぎの右襟足の揺れを止め、目を瞑ったかと思うと、クワッと力強く目を見開いた。
「『天川藍』は断然、受け……ッ!!」
「え、また……?」
ペシペシペシペシペシッ
雪に摘まれているあさぎの左襟足の先っぽだけが荒ぶった。
「『受けじゃない』って言ってますよ?」
「『藍ちゃん』に限ってそんなはずはありません……っ。」
「うんうん。」
…………テシっ
あさぎの右襟足がかすかに揺れた。
「やっぱり『藍ちゃん』です……♪」
雪は目に涙を溜めて微笑んだ。
「大好きなんですね、『藍』のこと。」
「「はい(ええ)♪」」
あさぎの右襟足が荒ぶった。
「なんだか、羨ましいです。3人の関係が。」
「あさぎちゃんだって、あーかい部のみんなと仲良くやってるじゃない。」
相槌を打つようにあさぎの右襟足が2回揺れた。
「それはそう、なんですけど……。」
「もしかして、喧嘩……!?」
「いえ、そうじゃなくて、その……。最近、ひいろとみどり先輩が付き合ったじゃないですか?」
「そうね。」
「一肌脱いだ甲斐がありました。」
「え?雪さんが何かしてくれたんですか?」
「してないわよ。」
「酷ぉい!?これでもみどりちゃんの相談に乗ってあげてたのに!?」
「気色悪いPINE送ってただけでしょう。」
「本当にマブダチだったんですね……。」
「それで、みどりちゃんとひいろちゃんが遠くに行ってしまったようであさぎちゃんは寂しい……と。」
「いや、そこまでは
あさぎの右襟足がド派手に荒ぶった。
「こら!?『藍』!!」
「フフ♪あさぎちゃん、すっかり気に入られちゃったわね♪」
「あさぎちゃんは寂しくないです。私たちがいますので……っ。」
「ナチュラルに引き込みますね……。」
「まあいいじゃない。あさぎちゃんは寂しくないし、私たちも昔みたいに集まれてウィンウィンってことで♪」
「昔みたいに……?」
「牡丹ちゃん、言ってないんですか?」
「まだ何か隠されてるんですか……。」
「隠すほどのことじゃないけど、私と雪ちゃんと『藍ちゃん』は昔、この部屋でオカルト研究部やってたのよね♪」
「へ〜。」
「顧問の山吹先生も忘れないでください。」
「山吹先生?……って、もしかして
「現、池図女学院の理事長……つまり最高権力者よ♪」
「ブフッ!?」
あさぎは吹き出した。
「また山吹先生も交えて集まりたいです……っ。」
「ど〜せまたすぐフラッと戻って来るわよ。」
「な、なるほど……それで教頭先せ
「牡丹さん。」
「……牡丹さ
「おばさんも可。」
「いや、牡丹さんでいいです。牡丹さんが好き放題できるわけですね……。」
「あら?好き放題なんて人聞きが悪い。」
あさぎの左襟足が大きく揺れた。
「何か文句でも?」
「いやっ!?これ『藍』ですから!?」
あさぎがギュッと掴んだ左襟足の先っぽがペシペシと揺れていた。
「フフ♪これからも『藍ちゃん』をよろしくお願いします……あさぎちゃん♪」
雪はクシクシと自分のサイドテールで顔を隠して微笑むと、窓の隙間から部室に朝日が差し込んだ。
「あら、もうこんな時間なの……。」
「けっこう話し込んでましたね。……っていうか『藍』の活動時間長くなってません?」
「信仰心で神様が強くなる……的なものでしょうか?」
「ならこれからも定期的に集まらないとってことね♪」
「良いですけど、寝る場所は用意してくださいね……ふぁ。」
3人は藍に別れを告げると、ゾロゾロと部室を後にした。




