思わせぶりな幼馴染は俺をどうしようというのだ
僕はハッキリ言って地獄に落ちることは確定した。
さっきまで彼女持ちのいわゆるリア充だったのに、結局最後まであの人のことが忘れられなかった。彼女持ちなのに他の女のこと考えるなんて、ど底辺なクズだなと思い心が痛む。明日の消化試合の学校に備え軋む音がうるさいベットで静寂に身を包む。寝ようと思っても月の明かりが気になって寝れない。ようやく雲に隠れてくれたおやすみなさい。
朝起きてまず確認今日もいい具合に気持ち悪いね僕。水垢が目立つ洗面台で身支度をし登校。そしてあっという間に下校。
後何回かのルーティーンを繰り返せばいいんだろうか。そう思い別ルートを開拓し帰宅する。交通量が多い道、小さい頃はここ通ったなぁと対向車線に目をやる。
僕は確かに見た。
白色のワゴンカー、腰の曲がったおばあちゃん、あの人、水色の軽、あの人、黒い自動車、あの人。
ペラペラ漫画みたいに車が通るたび進む君は何も変わっていなかった。世界に色がついた。
向こうも自分に気がついたらしい。思わず口角が20度ほど上がってしまったと思う。
「ひっさしぶりだね〜景!元気にしてた?」
「そっちこそ生きてたんか!」
「その言い方だと一回私のこと頭の中で亡き者にしたでしょ。ひどいな〜生きてるわ!」
幼馴染の木上 優香とは高校が別になり、あっちが引っ越してしまって全然会えていなかった。
あぁ、ずっと空いていた心の穴が満たされていく。これだよこれ。そこから現況報告し合って、思い出話しながら帰った。ありがとう神様。
一年ぐらいの思い出語りが終わった頃に
「そういえば彼女さんとうまくいってる?」
爆弾を投下された。うん、ここら辺の街吹き飛ぶぐらいの威力があるね。不意打ちすぎて傷口からキュッて音がしたような気がした。
「ワカレマシタ。」
「え〜?!本当?残念だったね。」
「元は俺が全部悪いからね、しょうがない。非リアにもどりまひた。」
「少なからず向こうにもなんか合ったんじゃないの?」
気遣ってくれるのは嬉しいがそれでも自分を責めることはやめられないと思う。寝る時間は変わらない。でもその原因が目の前にいてすっごい複雑。
元カノに歩くスピードが遅くて若干キレられたり、荷物持ってあげようとしてうざがられたりされたなぁ。
思い返してみるとそれらは全部優香に調教されて身についたものだった。現に今優香が視界から消えていない。
雲が三割程度の綺麗な夕空の下おしゃべり40分コースがそろそろ終わってしまうな、と手を見ると手が繋がれている。ナチュラルすぎて気づかなかった。手あったけぇ、、、じゃなくて!やわらかい、、、でもなくて!!
「変わってねぇな本当に。」
「別に男っ気なんてないし、友達だし何も問題なしでしょ?」
まぁそうなんだけどさ、
ハァーーーとため息をつきながら心がすごいポカポカしてきた。
「久々だったけど変わってたの髪だけで安心した。」
「おっ気づいてたか、嬉しい( ´ ▽ ` )ニッコリ」
明かりがついた。電灯の灯りが一斉についた。夕空も青っぽくなってきていたところ。
ずっとずっと小学生から抑えてきたダムが本当に些細なことで崩壊してしまった。
「かわいい」
普段に優香に可愛いって言う時はそう言わされてるか、煽りだけだってのに、漏れてしまった。
「不意打ちやめてよね、爆弾投下は慎重にしてよ。」
たとえが被ったのはさておきダムが決壊してしまって溜まっていた水がどんどん溢れてくる。
止めようとしたが無駄だった。
「好き」
言ってしまった。この関係が壊れてしまうんじゃないかとずっとずっとずぅっと押し殺してきた二文字を、
後悔しても遅かった。 終わった。
…………..ん?
いつもなら茶化して煽ってくるはずなのに静寂が長すぎる。引かれすぎたと思って優香の顔を見た。
夕日みたいに顔を赤くしていた。あいつらしくない。
「…あ、あのさ」
「ごめん気にしないで非リアになってからが浅いから変なこと言っちゃった。」苦しすぎる言い訳をしてみても無駄っぽい。
「そうじゃなくて.………、、、。。好き。私も好きなの!」
心臓が痛い。多分あっちも痛そうにしてる。本当に、目を合わせられない、恥ずい、やばい、どうしよう。
思考がまとまらないまま棒立ちしていると優香から動いた。
「ようやく聞けた!!ずっと待ってたのに遅い遅すぎるよ!言わせようとどんだけアピールしてきたとおもってんのさ!彼女なんて作った時なんて、もう、」
涙目になりながら言ってきた。
「俺だってずっと言いたかったんだよ!でも失敗した時に関係が遠ざかっていくのが怖くてずっと言えてなかった。成り行きで付き合っちゃって後悔したし、ずっと優香のことが頭から離れなくて最低だなってずっと自分でも思ってた!」
お互い他人から見たら恥ずかしすぎて鳥肌がcm単位になることを一気に言い合う。ダムがあっちも決壊してるっぽい。
一通り終わって賢者モードに突入してしまった。冷静なのに冷静じゃなくなってしまった。
「だから、もっかい合わせて欲しい、俺優香のことが昔からずっと好きでした。」
「……私も昔から景のことが好きでした。」
「付き合ってくれませんか。」
「はい!!!」
ひょんなことで今まで必死に守ってきた関係性はぶっ壊れた。アップデートされて。
電灯の光がはっきりして空がグラデーションを極めてきたころにハグをした。ずっと我慢してきたんだと言わんばかりに。離れて帰る頃には家の明かりが輝いていた。
読んでくださりありがとうございます。
初めて書く恋愛ものです。
こういうことが現実でも起きたらいいですよね。僕もこんなふうな青春がしたい!
好評なら連載にもチャレンジしてみたいです。始めたてではあるのですが。些細なことでもご指摘いただけると励みになってとても嬉しいです!
読んでくださりありがとうございました。




