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第六章 諦観

 セリアは頭を抱えたまま、机の上に突っ伏していた。サーレントを下がらせた後、そのままの体勢で、傍目にはだらしなく寝ているように見える。


――たかが暇つぶしに、兵を使わして貰うなんて、できないし。有益な仕事が私に残ってるかもわからないし……どうしたらいいのよ、もう。


 視察も兼ねて散歩でもしてみようかと思うが、それはそれで働いている兵の邪魔になるのでは、と。このような考えが一瞬でも頭をかすめてしまえば、うかつに動くこともままならず……結局、自分に割り当てられた部屋で、ふて腐れているかしなかった。


――たぶん、シュウが勝ってくれたら、当面の危機はない。負けて、追撃の手が来ても、逃げることに変わりはない。兵の運用はあの二人に任せる。可能な限り被害は抑えたいけど、現実的ではないかしら。最悪捕らえられたときのことも考えるべき? 楽観だけは出来ないから、打てるだけの手は打って置きたいのだけど……でも結局、私に何が出来るんだろう。


 セリアは部屋を動かず、思索することで時間を潰していた。考えがあちこちに飛び、まともな結論さえ導けないありさまで、とても現実の対策には役立てられまい。時間を『潰す』という表現がはまりすぎるほど、彼女の思考は無駄と浪費に満ちていた。

 不毛といえばそうであるし、悲観に塗れるよりは有用だと強弁することも出来る。そんな時を、彼女は過ごしていたのだった。

 このとき、ジェイクとサーレントが一定の結論を出し、セリアの前に現われたことは、あるいは救いであったのかもしれない。乖離した想像から、明確な現実へと視点を切り替えられたのだから。

「よろしいでしょうか? セリア様」

 部屋のノックの音、続いて響く部下の声。これに飛びつくように、セリアが答える。

「いいわ。入って」

「……失礼します」

 ジェイクとサーレントが、暗い顔で面会に来た。そもそも明るくなるべき要素など、どこにもない。それくらいの自覚は、セリアにもある。だから、そのこと事態に驚きはなかった。

「出立の目処は立った? 兵糧と兵員の移動に支障はない? ここから王都までは、結構な距離だけど、なんとか敵に捕捉されずに帰れるかしら?」

「その点につきましては、試算が済んでおります。最低限の物資を持って、他の全てに目をつむって走れば、十日程度で付くものかと。無傷に帰れるかどうかは、運次第というところでしょうか。完全な保証は、出来かねます」

 セリアの質問に、サーレントが答える。だが、何か引っ掛かる言い方であった。

 他の全てに目をつむって、とは。……追撃してくる敵を警戒しているのか。何があっても振り向かず、逃げ続けよと促しているのか。ならば、今更言われるまでもない、と思う。

「完全な保証なんて、誰も期待してないわ。とりあえず、その日程を前提に準備を整えましょう。私は、何を担当したら良いかしら?」

「おや……自ら仕事を求められるとは。勤労意欲にでも目覚められましたかな? セリア殿下」

「ジェイク? 貴方が何をどう思っていたのかは知らないけど、私は怠け者ではないわよ。これでも、出来ることがあるなら、何かしらの形で貢献したいとは思ってるんだから」

 現実に可能であるかどうかはさておき、セリアは本気であった。今更、過去の己のふがいなさについて愚痴ろうとは思わない。ただ、目的の為に努力しようとする、その姿勢くらいは、彼女も維持したかったのだ。

「では、さしあたって、一つ重大な決断をしていただきましょうか」

 ジェイクは、これを良い機会だととらえることにした。遠慮なく、話を切り出す。

「私が決めてよいことなら、一つと言わずいくらでも――」

「それは頼もしい。……サーレント分隊長、状況の報告をしろ」

 ジェイクの顔から、初めて余裕が消えた。声色も、一気に低く硬質なものに変化する。

 セリアは不穏な気配を感じ取ったが、だからといって、聞かずに済ませることは出来なかった。ジェイクがここで、無駄な発言を許すとは、とても思えなかったから。

「状況がかんばしくないのは、セリア殿下もご存知のはずです。ですからすでにご説明した内容については、省かせていただきますが――」

 サーレントは、ジェイクにした話を、ほぼそのまま彼女に伝えた。

 厄介者の傭兵、物資の強奪未遂、盗賊団とのつながり。一つ一つは小さな問題だが、そろって聞けば、ひどく大きなことの様に思える。


――いえ、実際、これは重要なことなのでしょうね。少なくとも、この地に住む国民にとっては、生死に関わること。軽視して良いとは思わない。でも……。


 セリアたちに、この事件を解決できるだけの余裕があるかといえば、ないと答えるべきであろう。

 彼女には、中継地点の物資と、敗残兵や守備兵を吸収、軍を再構築して帰還する――という役目があった。ここで無理をして、戦闘で時間と兵を消費するのは最善とは言えぬ。それでもあえて実行するつもりであれば、よほどの覚悟をしなければなるまい。

 さりとて、民を見捨てて王都へと逃げ帰るのも外聞が悪すぎた。何より悪化した治安をガレーナ軍に回復されてしまっては、トリアは純軍事的な部分に加え、統治能力においても彼らに敗北する結果となる。こうなると、国民はガレーナの方になびいてしまうだろう。見捨てた手前、これを裏切りと糾弾することも出来ず、非常に嫌な思いをするに違いない。

 また、もっともありえそうな事態。敵軍が略奪と暴行に走る危険性を考えれば、やはり統治者の一族として、これを見過ごすのは、はばかられた。敵が常に紳士的であると考えるほど、セリアは世間知らずではない。


――確率としては、ガレーナ軍が略奪に走る可能性の方が高いでしょう。あちらはあちらで、遠征に来ているのだから……手持ちの兵糧を余計に消費するにするより、現地で調達した方が効率が良いに決まってるもの。


 占領後の統治を考慮しなければ、略奪は兵への褒美として黙認することも選択肢の一つ。場合によってはガレーナ軍がそれを暗に奨励することも、ありえるのだ。

 しかしそうなると、治安の悪化に、外敵の侵入と収奪が重なることになる。はたして、ここ一帯のトリア国民は、どこまでの被害を受けねばならないのか。

 心根が優しいセリアに、この『最悪の事態』を容認しろというのは無理があった。ともかく他に戦力がない以上、なるべく自分たちの手で解決を図るべきであろう。可能かどうかは、別として。

「どうなさいますか?」

「え……? あ、うん。だいたい考えてるんだけど、どうしようかしら」

 セリアは、サーレントの問いかけに反射的に応えた。

 少々考え込んだ程度では、結論の出る答えではない。彼女は果断な人間ではなく、むしろ熟慮する臆病者であり、得る物より失う物を重視する方だ。それゆえに損益の計算が容易に進まず、答えを求められても問い返すことしか出来なかった。

「私が決めて良いことではありません。……ご決断を」

「意見を聞いたつもりだったんだけど……助言さえしてくれないのね。で? どうしてわざわざ私に決めさせる必要があるの? 貴方たちが相談して、良いようにすればいいじゃない。それこそ、私に伝えず内々に処理してくれても。文句なんて、言わないわよ私は」

 出来ることなら何でも貢献すると、そう豪語したのは何であったのか。傍目には情けなく見えようが、彼女にも想像の限界はある。

 思えば、セリアが自身の責任で持って、人の命を左右する決断をしたことは、一度もない。これまでは必ず、他の者がその任を負っていた。それはたとえば、前任の軍指導者であり、シュウであり、またジェイクであったりもした。

 だが、今回はセリアの双肩に命の重みが圧し掛かってきている。あらゆる意味で経験不足の少女が、これを想定しきれないのが当然なら。向き合ったとたんに自信を喪失するのも、あるいは自然な傾向であるのかもしれなかった。

「ソレが出来れば、よろしかったのですが。我々は単なる部隊長です。戦略的な判断は職務外というべきで、兵の指揮以外はまともにできる物ではありませんよ。……なにより、こんな大事なことを人任せにしてどうなさいますか。責任者たる自覚があるのなら、義務を果たしなさい。貴女にやるべきことがあるとしたら、それしかないのですよ!」

 しかし、ジェイクはそう返す。問題はやはり、セリアがその立場を放棄できない、と言う部分にあった。

 何をどう否定しても、己の出自ばかりは消去できる物ではない。王族として生まれた以上、人の上に立ち、これを統率し、義務と責務を果たさねば成らぬ。これは、宿命とさえいえるのだ。

 もし、本当に逃げたければ、自ら死ぬことを選ぶか、野に下るしかない。どちらにせよ後ろ向きの志向で、糾弾されても仕方がない行為であろう。セリアは、ついに観念し天井を仰ぐ。

「そうね。……そう、そうだった。私は結局、それからは逃げられない」

「わかってくださいましたようで、なにより」

「嫌と言うほど、自覚したわ。今」

「ならばご命令を、殿下。――異論があれば、それから申し上げますゆえ、まずは思ったままを口にしてくださいませ」

 ジェイクの口調が、とたんに軽くなる。……セリアが恨みたくなるほどに、お気楽な声であった。その変わりように、サーレントでさえ、別人を見るような目で彼を見つめていた。

「不逞の輩を討伐するわ。なるべく大勢を、出来る限り早急に。盗賊を駆逐すれば、面目くらいは保てるでしょう」

 その意趣返し、というわけではないが、彼女は極めて率直に決断した。ここで己の心を偽る必要性を、見出していなかったからでもある。

「危険ですぞ? 我々の敵は悠長に待ってはくれません。敵国の軍勢に備える為にも、ここは無視するのが無難では?」

「盗賊程度の存在から民を守れない軍隊に、何の価値があるの? 国民に助けを求められたら、答える義務が我々にはある。必要とあらば、治安維持に動くことも、軍の任務に含まれるのよ。……私のいうことは、間違ってるかしら」

「いえ別に。――では、次いでやってくるであろう敵軍にも抗すると?」

 一瞬言葉に詰まったが、セリアは表情を引き締めて、断言した。

「それは、しない」

「ならば一事しのぎにしかなりません。無駄な労力です。身近な危険を取り去っても、根本の恐怖を拭い去れなければ、住民は我々を恨むでしょう。――盗賊は排除できたのに、どうしてガレーナ軍からは守ってくれないのだ、と」

 正論である。どの道見捨てるしかないのであれば、半端な行動はしない方が良い。その方が消耗を抑えられると、ジェイクは付け加えた。

「でも、何もしないよりはマシでしょう? ……不満がある人がいるのなら、私自ら説得すれば――」

「理解を示してくださると? 考えてもごらんなさい。外敵からは守ってやれないけど、行きがけの駄賃に、近所の悪党だけは取り除いてあげる。だから恨まないで。……こんな理屈が、通りますか? 我々が逃げた後、ガレーナ軍がこの地を蹂躙した際の言い訳になると、本気で考えておられるのですか?」

 セリアは、言葉に詰まらねばならなかった。道義的に見て、己の出来る範囲で努力することは、間違っていないと思っていた。

 だがジェイクの言葉を聞けば、それが独善的な行為に過ぎないことを、理解しないわけにはいかない。

「それは……わからない、けど。でも、私は逃げるだけで何も出来なかっただなんて、そんな風に思われたくないの。ここの住民にも、王都の人々にも。せめて、最低限の義務を果たしたと――」

「このサーレント。殿下を前に非礼と承知しながら、あえて申し上げます。我ら総勢、三百余名。命令とあらば全滅も恐れませぬが、その命を無為に使って良いというわけではございません。ご自身の面子、あるいは満足の為に使い潰して良い物と、殿下は考えておられますので?」

 サーレントが、ここで割り込んできた。彼もジェイクに感化されてか、かなり遠慮のない物言いをしてくる。

「そんなこと……あるわけないでしょう? 今回の場合は、盗賊討伐という目的がある。私もわがままだけで、こんなことを主張してるわけじゃない。そもそも、この件は貴方の方から言い出したことよ?」

「――セリア殿下。誤解して欲しくないのですが、自分は何も貴女が間違っていると言いたい訳ではないのです。ただ、半端な覚悟で我々を用いて欲しくない。命を懸ける兵の身になれば、どのみち見捨てるほかない民の為に戦うよりは、国家の生存をかけて戦いたく思うでしょう」

「舞台の大きさが問題とは思えないわ。今、目の前にいる人を助けたいとは思わないの?」

「思います。ですから、ここで玉砕して果てよと、そうおっしゃられるならば。残される民の為に、最後まで命を張れと命じられれば、我々は納得して従います。――盗賊を討ち、続いてくる敵軍に抗する。結果として殲滅されても、英雄としての死ならば、兵どもは受け入れるでしょう」

 サーレントは、暗に非難していた。おそらくは、セリアの半端な行動そのものを。

 状況が不利なら、逃げるのも仕方がない。理想に準じて、ここで戦い抜くならばそれも良い。……だが、薄っぺらい義務感だけを満たして、何かをやり遂げたような気分になるのは間違っているのだと。彼は、そう言いたいのだ。


――二人の親切さに、感謝すべきなんでしょうね。ここまで丁寧に、手間をかけて諭してくれたのだから。それとも憤慨すべき? 私の指揮では、誰も生き残れないと、断言されたようなものだし。


 ジェイクは説き、サーレントは迫った。彼女が意見を翻す事を。……ある意味恫喝に等しい物言いではあったが、彼らが生存率の最も高い方法を進めるのはむしろ当然。セリアはせめて、物分りの良いところを見せてやりたかった。他に、能がないのだから。

「わかった。……私は今、改めて熟慮する必要がある。なるべく早急に、すませるつもりだけれど。先の結論が最善の手でないことは、良くわかったもの」

 あのように指摘されては、自身の考えのまずさと言う物を、認めるしかなるまい。それがセリアには辛かった。とても、恥ずかしく思えたのだ。

 それでも即答を避けたのは、未練というものであろう。彼女は他人に影響されて、意見を変えるという出来事に慣れていなかった。平たく言えば、自分の意見を引っ込めることに、僅かながらも悔しさを感じていたのだ。

「サーレントの奴も、ちと諌言が過ぎましたかな。――まあ、これは仮定の話ですが。連中が思いのほか慈悲深く、略奪等の無法を自重したとしましょう。……それでも、我々が国民を守れなかった、という事実は消えません。彼らは以前の施しを恩とは思わず、ただ最後に自身らを放置して、逃げ帰った軍をずっと覚えているでしょう」

 そして一度でも信望を失えば、トリア王国の権威は失墜し、国家への不信につながろう。慰めるふりをして、この点を指摘するジェイクは、その実非常に厳しかった。

 仮に一旦ガレーナに占拠された上で、この旧領をセリアが奪回したとして……その時に民衆が快哉を叫ぶかといえば、いささか微妙と判断せねばなるまい。

「――だからどうだ、という訳ではありませんがね。一旦は国民の支持を失っても、武力で取り戻すことさえ出来れば、後でいくらでも誤魔化せます。……問題は、動いても動かなくても、得るのは不名誉だけという部分。どの道ろくな結果にならないのなら、些少の犠牲は受け入れて、最後に勝利する確率を少しでも上げるよう努力すべき――と。自分はそう考えておりますが」

 ジェイクの言は非情であり、冷酷な答えである。だが、それが今最善の選択肢であることも、セリアには理解できた。そして理解できるだけの知能があったことは、彼女自身とっては、むしろ不幸でもあった。

 この時点で、心は決まる。結論を曲げられたことへの嫌悪など、もはや気にしている場合ではないことも知った。否応なしに、自らの役目を突き付けられたことを、セリアは悟ってしまったのだから。

「前線からの伝令は、今もたどり着いていません。戦闘の結果も、敵軍の被害状況も、なにもわからない状況にあります。……最悪の事態を想定すれば、兵力を温存して後の決戦に備えようとする考えは、決して下策とは言えません」

 サーレントが、言葉でセリアの背中を押してくる。忌むべき決断をしろと、急き立てているようにさえ、彼女には感じられた。


――私自身の、無力さ。それをことさらに自覚させるような展開。……ジェイクらは、なおも私を試している。人を信任するだけでは、統率者としては不足だと言うように。


 軍の主力を率いて、敗北した父。彼は己を知らず、敵も知らず、自ら王として不適格であることを証明した。現実と幻想を同一視し、齟齬が生じれば自分にとって都合の良い妄想を優先する。そんな悪い前例にならうようでは、セリアも同じ末路をたどる他ない。

 ジェイクもサーレントも、彼女が理想と現実が対立した時、何を規準として判断するのか。それを知りたいのだろう。もしここで馬鹿げたことを言うようであれば、二人はセリアを見捨てるかもしれなかった。

「考える時間が、欲しい。せめて一晩」

 出すべき答えはわかっているが、言い訳が欲しかった。自分を騙して、楽に思考停止できるよう、己に暗示をかけたかったのだ――が。

「待てませんな。こうなっては一刻一秒が惜しい。――最悪なのは、時間を無駄にして、敵に付け入る隙を与えることです。行動が早ければ早いほど、成功率も高まるのですよ? 何を選び、何を捨てるのか。この場で決めなされ」

 結論の先延ばしを、ジェイクは許さなかった。高圧的な態度であったが、言葉は正しい。臣下としての分は超えていないと、セリアは判断する。

 そして諌言を受け入れたなら、彼女はこれを正しく評価しなければならなかった。言葉だけではなく、行動をもって。

「……逃げるわ。いますぐ準備して」

「よろしいのですね?」

「よろしいも、よろしくないも、論議している時間さえ惜しいのでしょう? ……さあ、私は方針を決めたわ。納得したら、さっさと動きなさい」

 なげやりな態度であったが、ジェイクもサーレントも、文句一つ言わずに受け入れた。

「命令を受領し、承認しました。これより、撤退行動に移ります。荷物を纏め次第出発いたしますので、セリア殿下はいつでも出られるように準備なさってください。――では」

「では、これで失礼致します」

 二人は一礼した後、退室。再び、セリアは部屋の中で孤立する。

 彼女は理解していた。決断の重さより、人の視線の強さを。……サーレントはともかく、ジェイクは自分に失望していた。その理由も、わかっていた。


――期待していた。彼はきっと、何もかもが上手くいく策があるのではないかと、そんな風に一縷の望みをかけて。……十中八九、ありえないと思っても、私なんかに頼らなければ成らないほど、追い詰められていたのに。私は、彼を苦悩から救ってやれなかった。


 サーレントの残念そうな、こちらを哀れむような視線が、目に浮かぶ。

 ジェイクも退室の直前、たしかにセリアの瞳を直視した。諦観と同情が一緒くたになった、奇妙な感情が顔に表れていたことを、彼女は敏感に察する。

「……ごめんなさい」

 一人、呟く。誰に対しての謝罪の言葉か、もうセリア自身にも曖昧だった。ただ、己の不甲斐なさだけを、呪っていた。



 ヒャッハー、感想だー!



 ……と、柄にもなく喜んでしまいました。しかし、感想はどんどん欲しいけれど、まず人にきちんと意識してもらえるような作品を作らねばなりませんね。


 今回、セリア姫は大きな決断をしました。それが正しいかどうか、まだ少し判断は付かないところでは、あります。

 前回の分も含めて、この辺りは今後の展開次第で、路線変更するかもしれません。プロットはあっても、その通りに書いて面白くなるかどうかは、別問題ですから。


 ――もし、面白くないと思われるようでしたら、遠慮なくご指摘ください。

 また、次の投稿でお会いしましょう。では。

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