表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ひまわりの花が咲く頃に

作者: 藤花チヱリ

あの日、家から裸足で逃げ出してきた僕をいざなった、太陽のにおい。


居場所がなくなった僕に安らぎのひと時を与えてくれた。


あざだらけの体で、必死に走ってきた僕をやさしく包み込み、「どうしたの」とその黄色い顔を太陽に向けながら尋ねる。


「別に何もない」

僕は答える。


僕の背丈の倍もある君を見上げて、僕もこんなに大きければ、と思う。


「僕もいつかそんなに大きくなれるかな」と聞くと、「なれるよ」と言う。


「またここに来てもいい?」と僕は尋ねる。


君は黙って、陽光に顔向けたまま、生ぬるい風にその身を任せる。


やっぱり、この世界には僕の居場所はない。

重い足取りで、君に背を向ける。


もと来た道に出たとき、君は言った。


「私たちはいつでもあなただけを見つめているわ」


振り返った僕の目に映るのは、まぶしいほどの黄色だった。



また今年も、照りつける太陽の季節がやってくる。

その懐かしいにおいがする度、僕は思う。


「あの日の君にもう一度会いたい。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ