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15-1

「そういえば、俺のほうも手を入れていかにゃあならんよなぁ」


 食事を終えて解散して部屋に戻った。


 キースとジェシカの立ち回りを見届けて、リオーネのスキルの組み立ても考えて。

 そんなんで一日が終わってしまったわけだが、俺のことが後回しになっていることに気付いた。


 自分のことは後回しとか、そういうつもりでいたわけじゃないんだが、如何せん忙しくてそれどころじゃなかったってのもあるか。

 俺ってそんなにお人好しじゃなかった気がするんだけどなぁ。

 寧ろ逆になるように立ち回っていたはずなんだが・・・


「・・・あっちとこっちじゃ違うから仕方がないにしても、だな・・・」


 地球とラヴィリア。

 双方で基本的なことは共通しているにしても、環境は全く違うし、今俺が置かれてる状況もあっちとじゃ全く違う。

 だからこっちでキャラに合わないことをやってしまっているのも仕方がないと言えば仕方がないんだが。


「それはそれとして俺も自分のことをやらんとな」

 俺も自分のスキルと向き合うか。


 結局、俺のスキルは生活に偏っている。

 野営に必要なスキルは元からあったとしても、消耗品を一時的に増やす目的で習得した複製と、周辺警戒のための危険感知とかくれんぼは戦闘寄りのスキルじゃない。

 まあ、元々戦闘は極力避けていたし、今もそのつもりであることに違いないんだが。

 風と水魔法初級に関しても、戦闘で使える一面もあるが、どっちかっていうと俺の使い方だと生活に利用するほうが多いし・・・

 他にも戦闘で使えるスキルを覚えていかないといけない状況になってきたし、そっち方面にポイントを多く振っていかないといけない。

 そうしないと生活が楽にならないのがここでの現実。モンスターを討伐しないとポイントが手に入りにくいなら、積極的に倒していかないといけない。避けては通れない道に足を踏み込んだ・・・っていうより、最初からその道に立たされたとも言える。


 それはともかく、方向性は結局変わらないってのが悩ましい面はあるか。

 ヴェロニカは別格として、リオーネみたいに魔法を上手く扱えるキャラかって言われると、そういうわけでもない。ジョブ設定と高速詠唱の影響を差し引いても、強い威力の攻撃ができるようになるまで時間が掛かるし、そこまでの火力が出ていないからだ。

 あのジジイのフードを剥がすくらいのスピードと威力くらいが限界か、たまたま上手くできただけなのか・・・まあ、その辺は考えないことにする。

 それは置いておくとして、アポロとのやり取りから察して、俺自身の魔力量も大したもんじゃないんだろう。となりゃあ、魔法をバカスカ撃てるわけでもないし、立ち回りを工夫すればどうにかなる探検家とか他ジョブのスキル、もしくは補助スキルを覚えていくほうがいい。

「覚えられる物が多いってのも考え物だよなぁ」

 パスポートのスキルツリーを開くと毎回思わされる。


 とにかく選択肢が多い。


 大体、このテのゲームとかだと、戦士は戦士系、魔法使いは魔法使い系のスキルしか覚えられないし、物によっちゃあレベルアップで覚えられるスキルが固定されている。

 だが、ラヴィリアの場合はどのジョブのスキルでも覚えられる。これも悩む要因の一つだろう。

 俺も大概その恩恵を受けているわけだが、リオーネの言葉を借りりゃあ、生活にいっぱいいっぱいで考える余裕がない連中からすりゃあ頭痛の種でしかない。

 多種多様とかよく言うが、選べる内容とか範囲が広すぎるのも困りものかもしれん。

 それでもやっていかないといけないのが現実なわけで、今ここでぶーぶー言ったところで状況が良くなるわけでもないし、自分のことと割り切って考えていかにゃあならんよなぁ。


「これが現実ってことですかね」


 ここは物語とかゲームじゃない。ラヴィリアという名の現実。

 痛い目も結構見てるし、しっかり取り組んでいかんと死ぬもんなぁ。

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