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 俺たちが普段歩く、活動の範囲。

 どうやら、この街の訳アリの人間はそういったところにはあまり来ないらしい。

 食料品とか生活必需品の類を買うために出ることはあっても、それ以外は人目につかないように潜伏しているんだろう。

 その潜伏先が、俺が目を付けた工業地区の廃工場だという。


 これはなかなか骨が折れる。


 廃工場はそこそこあるように見える。

 ちょっとした町ができそうなくらいはあるだろう。

 その中を、いるかどうか分からない人物を探す・・・

 マーベルさんの話だと、治安部隊に見つかったらマズい連中が多いというし・・・


 俺が廃工場を調査するとして、危ないヤツと遭遇した場合・・・対処できるんだろうか。

 最悪、ヴェロニカに吹っ飛ばしてもらえばとも思うが、こちとらケンカのケの字もしたことがない小市民。

 そもそものハードルが高すぎる。


「でも、やるんだねぇ。君は」

 マーベルさんと別れた俺たちは、拠点に戻るべく工業地区へ。

「・・・やるん、ですねぇ・・・」

 やりたくてやるわけじゃない。できたらやりたくはない。

 でも、やらないと話が進まないわけだし、そこでワンチャンあるならそれに越したことはない。

 その話を進める場合、その場合は戦うという選択肢も視野に入れなきゃいけないかもしれないわけで・・・

 戦闘系のスキルとしてナイフと斧があるとしても、戦う技術がない。

「何かあったらお願いしますよ、お姉さん・・・」

 戦うことに関しては、俺は役立たずだ。

 いや、言い始めたらその他のことでもそうなんだが・・・こと、これに関しては特に。

「任せたまえ。どんなワルも一発で吹っ飛ばしてあげよう」

 これはまた頼もしい。

 ただ、

「あ、そのことで一つ注意点がありまして」

「ん?なんだい?」

 言っておかないといけないな、と思っていた件がある。

「炎系の魔法、禁止でお願いします」

「え!!なんで!?」

 そういうリアクションかぁ。

 こっちも骨が折れるなぁ。

「こないだのアパート爆破・・・あれは思ったより被害が出なかったからいいけどな、下手な場所だったら大火災になってもおかしくなかったんだぞ、アレ」

 アパートの素材が燃え広がりにくい物だったかもしれないが、木造住宅なら火災になっていた可能性がある。

 しかも、住宅と住宅の間が狭かったら、火災の規模は広がりやすい。

 たまたま大事にならなかった・・・あの件、実はもっと大事になっていてもおかしくなかった。

 あの時は逃げることだけに集中していたから忘れていたが、冷静になって考えたらゾッとした。

「被害が出ないようにしないとダメだ」

 火災の危険がある炎系は以ての外。

 特に、工業地区は何かしら薬品が扱われていることもある。引火しやすい物だったら、俺たちも危険に晒される。

 薬品の場合、燃え広がるのが早いこともあるだろうし、消化も難しい可能性もある。

 燃やさない。これが切り抜けるための戦闘になった場合の最低条件と言える。

「えー・・・フレアバレットがいいなぁ」

「一応・・・理由を聞いておこうか?」

「得意だから」

 ・・・得意なのは結構だが、もっともらしい言い訳をついて欲しい。せめてよ。

 まあ、元々、黒魔術師寄りの魔法が得意なのは分かっていたし、そういう点は分からなくもない。テレパシーと転送に隠れて忘れがちになっている。

「えーっと、風系の魔法は使えるよな?」

 ヴェロニカの得意は一旦置いておいて、

「使えるよ」

「おし、それでいい」

 ここで注目したいのは、風系の魔法だ。

 炎は二次効果で周辺を燃やす可能性があり、アクアのような水系の魔法は辺りを水浸しにする。水浸しにする分はそれほど害は出ないかもしれないが、今はこの辺りはカット。

 風系の魔法は二次被害が出にくいように思える。

 滅茶苦茶な暴風を作り出すなら、建物を吹っ飛ばしたり崩したりするだろうが、炎のように人体に害を発生させるようなものではない。


 そして何より、目に見えないのがいい。


 フレアバレットは巨大な火の玉を生み出す。

 攻撃が来ることが誰の目から見ても分かる。

 仮に俺に向けられているとしたなら、咄嗟に身構えたり、避けられるルートを探す。

 だが、この間廃工場を掃除したような使い方・・・ああいう特殊な状況でなければ、風の攻撃は見えないはず。

 これは意外と使える効果だ。

「俺が魔法を使えるようになればまだしも、俺にそんな素養はない。もしもの時、ヴェロニカが主体になって戦うことになるけど、赤ん坊が魔法を使える・・・しかも、俺の指示通りに使えるとかはあり得ない。それだけで目立つ」

「だから、風魔法が便利というわけか」

 頷いて返しつつ、工業地区を進む。

「ヴェロニカが使っているけど、俺が使っているように見せられる。これは結構イイ作戦だと思う」

 もちろん、きっちり連携を取る必要はある。

 俺の思い通りのところに、思い通りのシチュエーションで発動させなければ意味はない。

 その点に関しては、毎度のことながらテレパシーを使って対応できる。

 ある意味、俺とヴェロニカだからこそできる戦法と言える。

「なるほど・・・言われてみると確かにそうかもしれないねぇ」

 今までは森の中で気にせず撃っていたが、これからはそうはいかない。

 所と環境が変われば、風系魔法が使えない状況もあるかもしれない。その時は別の作戦を考えるが、俺が演技担当、ヴェロニカが攻撃担当・・・この組み合わせが今のモアベターな答えだ。

「そういう動き方をすることは理解できた。でも、そんなに危ない人っているのかなぁ?」

「・・・そこだよなぁ」

 マーベルさんが話してくれたことが嘘だとか、そういうことを言いたいわけじゃない。

 俺も思っていたが、そんなに多いのかね?

 そりゃあ、人口が多くなれば多くなるほど、人同士の揉め事も増えるし、それによって発生する事件も増える。

 そういう人を取り締まるために治安部隊がいるわけなんだが、やっぱり日本と一緒で、全部カバーできるわけじゃない。

 となれば、必然と工業地区にそういう連中が集まってくるのも道理か。

 ・・・俺たちも同じ土俵に立ってしまったわけだが、よく治安部隊をすり抜けられているな。そういうところで運がいいのか?

 運がいいかどうかは一旦置いとくとして、

「じゃあ、そういう風に調査をしていくってことで、今日は動くんだね?」

「いや、一旦拠点に戻る」

 一旦というより、まずは自分の身の回りのところからが正しい。

 俺たちの拠点も、大なり小なり危険地帯であることは変わりない。今のところトラブルは起きていないから問題は無いわけだが、拠点から見える範囲までをとりあえず確認したい。

 とりあえず、安全を確保する。これを最優先としたい。

「それに、朝っぱらから活動してるし・・・正直眠いだろ?」

「うーん・・・それは言わないようにしていたのだけれど、もう寝そうだね」

 体力が赤ん坊ってことは、バッテリー切れも相応ってこと。

 朝早く、夜も早い。これが本来の赤ん坊であり、標準。

 俺がこんな風に連れ回すのが異常なわけだ。まあ、俺の意思で連れ回してるわけじゃないんだが。

「明日から調査をするとして、その対策は帰り道にしておいた。今日は一旦、拠点に戻る」

 

 今、俺たちの行動でネックなのは、工業地区が動き始める前に動き、動き終わる頃に帰らなきゃいけない、この生活リズムにある。


 つまり、俺たちは誰よりも早起きして工業地区を飛び出し、誰よりも遅くに帰ってきて寝なきゃいけない状況下にある。

 これでは、睡眠時間も削られ、体力も減っていく一方。

 特に俺はヴェロニカを負ぶったり抱えたりして動くから、腰も肩もバッキバキ・・・ある意味、これが一番辛い。

 それだけ長い時間を掛けて調査を行えることはいいんだが、それでも体が資本ということは変わらない。体を休めることは、長期的な目で見ると、調査よりも重要な要素だと俺は思っている。

 特に、ヴェロニカは体が赤ん坊だ。俺が動いている間は背中なり腕でなりで寝てもらえればいいが、横になったほうがいいに決まってる。

 もう遅いし、ざっくりと身の回りの確認をして、ゆっくり眠る。これが、今の俺たちに必要なことと俺は思う。

「宿が見えたねぇ」

「・・・今のところ、何も無さそうだな・・・」

 拠点が見えるところまで来て、物陰に隠れて周辺を警戒。

「テレパシーでも気配はないよ」

「そういう使い方もできるのか?」

 ますます便利だな、テレパシー。こうなったら俺も欲しいかもしれん。

「これはこれで悪い点もあるけれどね。嫌な意思を拾う時もあるから」

「・・・その件は後で聞こうか。拠点に戻るぞ」

 気にはなるが、それは今聞くことじゃない。

 一旦拠点に戻り、帰り道で買った荷物を下ろす。

「で、嫌な意思っていうのは?」

 ヴェロニカを木箱ベッドに座らせると、

「うーん。色々あるけれど、簡単で分かりやすい例を挙げるなら、相手がわたしに対してどう思っているのかが分かるよね。疎ましい、妬ましい、嫌悪・・・色々分かる」

 テレパシーは言葉を介さずとも、相手と意思疎通を図れるスキル。

 ということは、相手が思っていることが、耳で聞かなくても、感覚で分かるということ。

「ボルドウィンだとそうそうないけれど、森の中ではそれなりにあったんだよ。人の子が偉そうにとか、何で優遇されているんだとか、色々ね」

 相手が何を思っていようとも、言葉で聞かなければどうということはない・・・という一面はあるかもしれない。

 知らないことは強いとかよく言うが、正にそれだろう。

 この点で唯一のネックというか、デメリットに成り得るのが、言葉ではなく感覚で意思疎通を行うことだ。

 相手を絞ることはできるようだが、時にはコントロールを失敗して余計な意思を拾うこともあるのかもしれない。

 それが負の感情と総称するようなものだったりする・・・ということか。

「・・・なるほどな」

 テレパシーを介さないと意思疎通できないヴェロニカにとって、森の動物たちとのコミュニケーションはこれが唯一の手段。嫌でも使わなければいけない。

 森でヴェロニカは相当優遇されていたと聞いたが、それを快く思わない動物もそりゃあいただろう。

 序列っていうのが定められている以上、面白くないってのも分からなくもないかな。

 人の世界でも同じようなものだし、動物となればそういうのが露骨な場合もあるようだ。

 テレパシーは便利だという認識は変わらないが、それにはそれでデメリットはある。それを理解すれば、スキルを習得するかどうかの判断材料になるが、それはまた別の話か・・・

「今はもう、慣れて対象を絞ることはできるけれど・・・慣れない時は辛かったねぇ。何でそんなに悪者扱いされなきゃいけないんだろうって」

 ヴェロニカはヴェロニカなりに苦労してきたんだな・・・

 結構ハチャメチャやってるイメージだから、意外と言えば意外だが。

 まあ、人同士でも同じようなモンだ。人と動物なんて、本来なら意思疎通できるものじゃないし、そもそも感覚で分かることじゃない。

 良いか悪いかは置いておくとして、貴重な話を聞けた。俺はテレパシーはやめておこう。

「なら、俺はこっちのほうがいいかな・・・?」

 今はスキル問題は置いておきたいが、こういう時のために、覚えておきたいスキルがある。

 

 危険感知というスキルだ。


 危険感知とは?

 自らに向けられた敵意や殺意、自らの生命に害を及ぼす可能性を検知する・・・というスキル。

 簡単に言えば、あいつブチのめしてやるとか、三階のベランダから落ちてくる鉢植えに気付くとか、そういうことだ。

 一部はテレパシーと同じ性能をしている・・・というより、使い方によっては同等、と言ったほうが正しいかもしれない。

 危険感知の場合、自分に向く危険の要素に感知する、という認識か。対象が人だろうが物だろうが、自分に向いた物に対して効果を発揮する。

 一方でテレパシーは、人の意思を感じ取って危険を判別する、という使い方をする。察知の仕方が限定的になって、危険かどうかの判断は自分になる。

 要は使い方と、想定するシチュエーションの問題。

 テレパシーはヴェロニカが持っているから、俺はこっちで対処する。そうすれば、危険に対して隙が少なくなる。

 ヴェロニカはどうかは分からないが、これから先、ずっとボルドウィンにいるか分からないし、旅を続けていく中で安全を確保することは最優先事項になる。

 やっぱり、こことは切って離せない。

「キリ・・・今から周りの様子を見に行くんでしょ?わたしも行くよ・・・」

「いや、俺だけでいいよ。もう寝そうになってるじゃねぇか」

 落ち着いたから、眠気がいい感じで回ってきたんだろう。屋台でミルクも飲んだし、眠くならない要素が無い。

「すぐ終わらせる。もう寝てろ」

「うう・・・ごめんよぅ」

 ヴェロニカがころりと横になった。

「・・・悪いな、要領悪くて」

 すぐに眠ってしまったみたいだ。

 ヴェロニカを寝袋に入れてやり、

「・・・さて」

 パスポートを取り出して、スキル画面を開く。

「・・・やりますか」

 危険感知スキル。

 今はまだグレーのこのスキルに触れると、取得の意思を確認してくる。

 それを「はい」にすると・・・


 ピロン!


 軽快な音がパスポートから発生して、危険感知スキルが習得されたアナウンスが表示された。

 同時に、16点あったポイントが15点になったことも表示されている。

 俺の初めてのスキル取得が危険感知だったとは・・・

 もう少し華のある内容が理想だったのになぁ。

「まあ、俺に華を求めるのが間違っとるっつーことで」

 気を取り直して、やりますか。

 このスキルはフレアバレットのような自らの意思で発動するものじゃない。これは常時発動しているもの・・・俗に言うアクティブスキルというものだ。

 特に何もしなくても発動している。だからこそ、このスキルの意味があるのだが、あくまでもそれはこの世界での話。他の世界ではどうかは分からない。

 このスキルで一点、気になることがある。


 どこまでの範囲が有効なのか?


 例えばの話、自分から半径5メートルと、半径50メートルとでは期待される効果が違う。

 仮に5メートルくらいなら、危ない奴が目の前にいるってくらいの認識になるし、50メートルならそう遠くないところに危ない奴がいるっていう認識になる。

 もうすぐそこの危険だと、直感的、反応的な構えが必要になると思うんだが、ある程度距離があれば心構えができる。

 パスポートには正確な範囲が明記されていなかったから、これは自分で掴むしかない。

「もっと前に習得しておけばよかったなぁ・・・」

 前々から危険感知を習得するつもりはあった。

 あったんだが、まだいける、まだ悩める・・・なんて先延ばしにしていた。

 そのツケがここに出ている。

 まだ致命傷じゃないにしても、効果が分からないスキルに関しちゃ、事前にある程度の確認は必要なのは分かるだろうに。

「言っても仕方がないからやりますけどね・・・もう」

 これから注意しますよ。ええ。

 一旦、工場から出て通りに面している門の側へ。

「・・・今のところは何もないか」

 しゃがんで様子を見てみるが、何の反応もない。

 そもそも、危険に対して何がどういう反応をするのか分からんけど。

「まあ、この辺りも追々だな。今はとにかく身の回りの安全を確認しよう」

 敷地の移動できる範囲くらいを確認。

 敷地内での反応は無い。対人、対物に対しての危険は無い・・・ということだ。まあ、あったらあったでよく生きていられたなって感じだが。

 そのまま敷地を出て、通りの隅の方を選んで歩いてみる。

「・・・何も感じないなぁ。いや・・・」

 危険感知が作動することが前提の探し方だな・・・

 こういうのは作動しないほうが当然いいんだけど。

 俺の中でアパート爆破が効いてるのかね・・・?

「そもそも・・・」

 危険感知って、俺に向いた危険に対して発動するものだったはず。

 なら、俺に向いていない矢印はスルーが当然。

 使い方とか認識が間違っていたか。

「・・・ん?」

 ピン!

 頭に何かが反応した。

 この現象に思い当たることは一つ。

 危険感知だ!

「こんな感じ・・・!?」

 すぐに物陰に隠れた。

「なるほどね・・・頭に出るのか、反応」

 頭の中・・・脳が直接、信号を発した・・・と言えばいいだろうか。

 信号というのも言い辛いもので、言い表すならスイッチでオン、オフを行う信号機。そのイメージが適当のような気がする。

 信号の色も、日本と一緒で青と黄色と赤の三色だ。

「・・・こういう反応か」

 今は黄色が点滅しているイメージだ。

 信号のイメージなら、もうすぐ赤になるぞ、もしくは注意して渡れ、と言ったところ。

 危険感知の性質上、自分の危険に対してどれくらいの危険度なのかが分かるもの・・・ということ。

 ということは、俺の今の状況だと、敵意を持つ奴がいて、そいつの警戒心が少し薄くなっているか、視線から外れた・・・という感じだろう。

 試しに物陰から顔を出してみると、黄色点滅だった信号が赤点滅に変わった。しかも、ピッチが速い。

 すぐさま引っ込んだが、赤信号の点滅のピッチは速いまま。

「・・・危ないか」

 ここは素直に離れておくべきか。

 そのまま裏路地に入っていくと、徐々にピッチが遅くなってきて、黄色の点滅に変わった。

 このスキル、恐ろしく感度が良い。

 それから、仕組みを理解してしまえば、かなり使いやすい。

「距離感が難しいし、正確にどこってのが難しいのが難点か・・・?」

 危険を察知しているのはいいけど、問題はどこに危険があるのかが分かり辛いってところか。

 ゲームとかだと、地図上のここに危険があるってのが表示されるのが一般的。某狩ゲーだと、マップにモンスターの位置が表示されて、そいつが怒っているのか寝ているのかが分かるわけだが、危険感知に関してはそれが無い。

 仮にそいつが敵だったとして、そいつがどこにいるか分からないと、警戒のしようにも難しい。

 さっきの場合、どうやら俺たちと同じく廃工場に潜伏している人間だと思うが、それも状況判断によるもので的確じゃない。

 距離感も、たぶんこれくらいって感じでしか分からない。

 スマホの機能で、始点と物の距離を指定すれば正確な数値を出せるものがあるが、それをスキルでできるようにしてほしいかな・・・

 いや、そもそも便利機能の一つなわけだし、求めすぎか?

「とにかく、今分かったこともある」

 俺を敵と認識したかどうかは定かじゃないけども、俺たちと同じように工業地区に潜伏している奴がいること。

 俺たちの拠点からだと多少離れているということ。せめてもの救いがここか。

「・・・こりゃあ、残りの15ポイントも計画してさっさと習得しておく必要があるかな?」

 他にも便利なスキルはある。

 調査関係に全振りするのはさすがにないが、動きやすくなったり、危機的状況に陥った場合の切り抜けるスキルは欲しい。

 早めにこの辺りは考えておこう。ぶっつけ本番が難しいスキルがあることも、今回の件で分かったことだし。

「あとは・・・」

 丸腰はキツイかもね・・・?

 明らかに敵意を持った奴だった、と仮定した場合、襲って来ることも想定できる。

 となれば、いくら何でもグーパンは・・・自信がない。

 なら武器を持てばいけるかって尋ねられたら、それも自信はない。

 運動神経は悪いわけじゃないにしても、格闘技も習ったことが無い俺に、いきなり命のやり取りをしろってのは無理ゲーよ。

 確か、無手スキルっていう、グーパン系のスキルもあったはあったけど・・・それにポイントを振るのももったいない。

 装備するなら、すでにスキルが有効になっているナイフが現実的かな?

 そうなってくると、戦闘に耐えられるナイフが必要だよなぁ。某ハリウッド映画の退役軍人が使っているようなゴツイやつ・・・

「いかん。次々と出てくる課題が重すぎる・・・」


 工業地区に俺たち以外にも潜伏している奴がいて、いい感じではないみたいだし。

 それに対する対策もしなくちゃいけないし。

 スキルも計画しないといけないし。


 一難去ったらまた一難って言葉があるけども、ペース早すぎだろ・・・

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