10-6
ナイフを構えたオニキスが静かに、そして一気に詰め寄って、
「カットブレード!!」
目にも留まらないスピードで、その刃をグリーンコアトルの胸部に突き入れる!!
ドッと生々しい音を立て、
「ガアアアアアァァァァッ!?」
痛みで咆哮を上げる・・・!!
木が揺れるほどの大ボリューム・・・さすがは大型モンスター!
「ガアッ!!ガアァァァッ!!」
グリーンコアトルがジタバタしてオニキスを振り払おうとするが、
「悪いが、まだ離れるわけにはいかんでな!」
ナイフを手にしたまま、オニキスはモンスターの動きに合わせて、
「ふんっ!!」
「ガッ!!?」
更に突き入れる!
「ガッ、カッ・・・」
グリーンコアトルの動きが一気に鈍くなった・・・!
「キリヤ、今だ!」
かなり効いてる・・・
この隙に罠を仕掛ける!
「さて、と」
いつまでもじっといちゃあくれないだろ。
ざっくりでもいいから、あいつを拘束させられる罠を張らないと意味がない。
「あれとあれと・・・あれでいくか!」
ぶっちゃけ、罠の精度に自信はない。
そりゃあそうだろ。普通に生きてりゃそんなモン張ることなんかない。張ったとしても、子供の時にスコップで落とし穴もどきを掘ったくらいだろう。
それなりにロープワークを知っているから、それっぽいものができるってだけ・・・
オニキスもハードルを上げてくるもんだから余計に質が悪い。
「ま、それでもやらなきゃならんから困るってんだが、と」
とりあえず、始点を決めてロープを結ぶ。
今回は三角形になるようにロープを仕掛けるつもりだ。
あいつが通れるくらいの間隔が開いている木を三本選ぶ。通れない範囲で仕掛けても意味がない。
その三本を柱として、リングみたくエリアを作るように張る。
柱を二本に設定すればそれだけ早く展開できるが、あいつをきっちり誘導しなけりゃ引っ掛けられない。
最低限かつスピーディに、しっかり引っ掛けられるようにするために、今回は三角形に張るわけだ。
「トラップ!」
スキルを使って外れないように固定しつつ、
「次!」
あいつは大きい音に反応して突っ込んできてくれる。
エリアを作っておびき寄せれば、引っ掛かってくれるはずだ。
「よし、いける!」
罠は仕掛けた・・・
あとは、
「カアァァアアッ!!!」
「おっ」
グリーンコアトルが再び動き出した!
オニキスはナイフを引き抜いて一旦距離を置き、
「次に備える」
光学迷彩で姿を消した・・・!
ってことは、
「リオーネ、いつでもいけるよな!」
「いけるわ!」
魔力を温存しているし、フィニッシュは決めてもらえるはず!
「んならやっちゃうぞ・・・」
あとは、
「っしゃあぁぁラアァァァァァァァッ!!!かかってこいやァァァァァァ!!!」
今まで生きてきた中で、こんなことを叫ぶのも、音量を出すのも初めてだ・・・
「カッ・・・!!」
動きが鈍くなったとは言っても、掛かって来る相手には容赦はない。
再び仕掛けていたマイコ―たちに攻撃を仕掛けていたが、視線が俺に向いた。
やっぱり、大きい音量の何かに反応するってのは間違いなさそうだ。
「カッ、カッ!!」
右手で地面を数回叩いている。
これ・・・もしかして跳び込む前の事前準備か?
「カアアアアァァァァァァァアッ!!!」
「うおっ!?」
まとわりつく敵を尻尾でしばいた後、俺に向かって突っ込んできた・・・!
ここまでは計画通り・・・
あとは、
「オッケェイ!!カモンカモォォォォォォン!!」
トラップに引っ掛かってくれるだけ!!
「ガッ!!?」
一気に突っ込んできたグリーンコアトルが罠に掛かった!
「ガッ、カッ!?」
物凄い勢いで突っ込んでくるから、縄が皮膚に食い込んでいる・・・!
パラライズバイパーの時も大概そうだったが、かなり痛そうだ。
と、分析は一旦置いといて、
「絡め取って!」
今のままだと、平面に張った罠に引っ掛けているだけ。
翼や関節に引っ掛かってくれているからそうなりにくいとは思うが、後退されたら外れてしまう可能性もある。
追加で複製したロープとトラップスキルで、胴体だけじゃなく、翼と足を木に固定。
そして、
「ブッ叩け!!!」
鞭を抜いて、滅多打ちだ!
「それでいい!」
接近してきていたオニキスが迷彩を解いて、
「カットブレード!!」
再びナイフを胴体へ!
「グガッ!!!」
グリーンコアトルの動きが再び鈍る!
相当効いてると見える・・・
だが、ここで手を緩めたらダメだ!
「ラピッドウィップ!!」
スピードウィップの上位技、ラピッドウィップ!
攻撃スピードが更に上がって先制攻撃発生確率も上がっていて、攻撃力も若干上がった技。
ガノダウラス討伐でゲットしたポイントで習得した。
「ガッ!ガガッ!!?」
顔面を狙って攻撃を入れる!
どんな生物も、顔面を攻撃されるのは嫌だろうし、上手く当たってくれりゃあ目を潰せるから視界を奪える。罠を外されても安全に攻撃できるはず。
「カッ、カァッ・・・!!」
口から泡が出てきたってことは、毒が回ったな・・・!
「リオーネ!!」
「任せて!!」
リオーネが短い杖を持っていて、その先端をグリーンコアトルに向けていた。
「私だって力を付けたんだからね!」
「そいつは楽しみだ!」
光が杖の先端に集中していって、
「いくわよ!!」
「オニキス!!」
「おう」
俺たちは一旦グリーンコアトルから離れる。
「シャインセイバー!!!」
光の刃を形成して発射!
高スピードで真っ直ぐ飛び、刃がグリーンコアトルの腹部に直撃した!!
「ガアアッ!!!」
めきめきめきぃっ!!
皮も肉も、骨すらも断ち切っていくシャインセイバー。
「ふんっ!!」
杖を大きく振ると、グリーンコアトルに埋まった刃が突き抜けていった!
「ガッ・・・カッ、アァ」
グリーンコアトルの動きが止まって、その場で倒れた。
「・・・ふぅ」
グリーンコアトル、討伐成功・・・かな。




