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10-3

 グリーンコアトル。

 緑の羽や体毛を持った大型モンスター。


 警戒すべきは何と言ってもあの機動力だ。

 跳び出したら一気に距離を詰められる。ちょっとやそっとの距離じゃあ、空いてないようなもんだろう。

 それに加えて、尻尾を振り回したり、翼と腕で叩きつけてきたりと、近距離の立ち回りもある。

 そういうのはガノダウラスもあったが、こいつのほうがスピードがある分厄介なイメージ。その分、威力は低いかもしれないが、確かめるためにわざわざ食らうほど俺の気は狂っちゃいない。


 分からないことが一つある。

 何故か俺たちは狙われてない。


 今もマイコ―を含めた、マーガレット陣営の連中を追っかけ回している。

 体当たりやら尻尾ぶん回しやらで次々と人間をぶっ飛ばしてるが、俺たちは蚊帳の外・・・

 俺たちが見えていない?

 いや、それはないだろう。俺たちも少しは立ち回っていたし、視界に入らないわけがない。

 そこに何か理由があるんだろうが・・・


「さて、お前さんならどう攻める?」


 攻撃方法はある程度見たし、スピードがあるってことは承知している。

 俺たちが狙われていない謎は残ったままだが、それはプラスに考えよう。


「まずは足を止めたいな」


 あいつは跳び出す時、前足で勢いをつけている。前足で地面を掻き出すようにすることで、前進する力にしているわけだ。

 その前に地面を叩く動作があるが、これはよく分からん。もしかするとグリーンコアトル特有の、あるいは俺たちの前にいる個体特有の習性なのかもしれないが、それ自体は脅威じゃないはずだから一旦置いておく。

 とにかく、機動力を潰したいわけだから、足を止めるのが先決だ。

「となれば、仕掛けなきゃどうしようもないが」

「ちょこまか動きすぎて追いつけん」


 問題は機動力があり過ぎることか。

 攻撃する度にダーッと遠くに行ってしまう場合が多い。

 攻撃を加えに走ると体力を奪われる。

 これもアイツの策略だったら怖いもんだが。


「オニキス、俺がちょいと小細工する。時間を稼げるか?」

「・・・罠でも張る気か?」

 小さく頷いて返してやり、

「足を止めさせたいだろ」

 とにかく動きを止めたいなら、状況を作ってやるのが分かりやすい。

 ならば罠が妥当だろう。

 幸い、初めてじゃないし、森だからロープを結びやすい。

「分かった。それはお前さんに任せる。俺は状況を活かして立ち回ろう」

 静かに動き出したオニキスは、

「周りに気を取られてる隙に攻撃する」

 木をブラインドにしながら、グリーンコアトルに向かって走っていった。

「さて、と」


 俺も仕事をするか。


 ロープワークで罠を張るにも、程良い条件のところでないと意味がない。

 そういう意味だとここはちょうどいいと言える。

 ロープを複数仕掛けて、あいつを絡め取る!


 絡め取りたいが・・・


「食らえ!!」


 問題がある。

 あのマイコ―だ。


 あいつが走り回ってグリーンコアトルを狙っている。

「カアアァァァァッ!!」

 それに反応してグリーンコアトルも動き回ってしまう。

 罠にハメるためには、最終的に目的地に誘導しなきゃならない。だが、あいつが大立ち回りしているせいでそれができない。

 さっさとロープを複製して罠を張りたいところだが、複製は五分程度しか維持できない。せっかく張っても、制限時間を超えてしまうなら早く準備しても意味がない。


 あいつ・・・どうにかならんかなぁ。

 前々から厄介なヤツだとは思ってたけど、ここまでだとより悪い印象を持っちまうぞ・・・


「キリヤくん!!」


 ・・・何だ?

 どっかで聞いたことがある声だ。


「こっち!!」

 遠くで手を振っている誰かがいる。

「・・・こんなところで会うとはなぁ」


 リオーネだ。


 ここに来ることに全力だったから、魔術師連中の中を探すどころか、ここに来ているかどうかすら考えてもいなかった。

 心のどこかでもう会うことはないって思ってたのかもしれない。

「どうした、こんなところで!」

「すごい数の人が走って逃げてくるのが見えて、気になって来てみたらこんなことになっててね!」

「な、すごいよなぁ、この状況」

「こういうところに何故かキリヤくんはいるよね!いつも!」

 それは俺も思うわ。

 何で俺はいっつもこういう場所にいることになるのかってな。

 まあ、今回の件は自分から飛び込んでるみたいなもんだからあまり言えないが・・・

「そっちこそこんなところに来ていいのか!」

「こんな大騒ぎなんだもの、ウチのほうもてんやわんやよ!」

 そうか、こっちの騒ぎが波及して、他所も荒れてってるのかぁ・・・

 やっぱ大型モンスターって影響力あるんだなぁ。

「そっちに向かうわ!」

 魔術師らしい連中はとっくに逃げ出したか、グリーンコアトルの攻撃でのびてるかのどっちかだ。

 火力枠としていてくれるのは助かる。

 が!

「カッ」

 グリーンコアトルの視線がずれて、

「カアアァァァァッ!!」

 マイコ―からリオーネにターゲットを変えて突っ込んでいった!

「リオーネ!!!」

「っ・・・!」

「カッ!!?」

 そのまま突っ込んでいくもんだと思ったが、何故か急停止。

 ターゲットがまた変わって、

「今度は俺かい!?」


 どうなってんだこりゃ!?

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