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10-1

「でっけぇなぁ、オイ・・・」


 鳥型・・・と言っても、ニワトリとかインコとか、そういうタイプの鳥じゃない。

 どっちかっていうとムササビとかに近い、四つ足で地面をしっかり踏むタイプのモンスター。

 翼のような前足には緑の羽がびっしり生えている。そこ以外の表面は体毛が生えているようだが、こっちも緑色をしている。全体的に新緑っぽい、春っぽい色合いが美しい。

 こういった見た目だからか綺麗で、形状は違うけど鳥っぽい・・・っていう印象だ。

 そんな感じだが、かなりデカい。パッと見じゃあ全長10メートルくらいか、もっとあるくらいか。


「カアアァッ!!カッ!!」


 こりゃあ威嚇か?

 右の前足を何度も地面に叩きつけている。

 明らかに歓迎はされていないとは思うけど。


「こいつはグリーンコアトル。この辺りじゃあ特に強い大型モンスターだぞ」


 緑色の鳥類型モンスター・・・名前はまあ、お察しって感じか。

 見た目といい、体格といい、パワフルな威嚇といい、立派なモンスターじゃあないか。


「急に出てきやがって・・・!」

 マイコ―が剣を構えて前に出てきた。

「おいおい、あれと戦うつもりか?」

 オニキスは落ち着いているようだが、

「ガノダウラスを奪われた俺たちは、別の大型モンスターを討伐しなければならない。見た目はそれほど大きくないし、討伐は可能だ」

「おお、意外と切替えが早いな。悪くない判断だ」

「うるさい。貴様に評価される筋合いはない」

「だが、あいつを甘く見ないほうがいいぞ」

 体格はガノダウラスほどじゃない。それだけ見るとまだ気持ちは楽な感じだ。そこだけはマイコ―に同意できる。

 だが、オニキスはそうじゃないらしく、

「お前さんたち、余所者だろう?だからそんな風に言えるんだ」

 マイコ―たちを止めている。

「無茶はやめろ。地元民の言うことを聞いておけ」


 声色や立ち振る舞いはそう感じない。

 ただ、緊張感はあるようにも見える。

 オニキスでもヤバいと思うモンスターってことか。


『少年、気を付けよ。ヤツはやる気だ』

 でしょうねぇ・・・じゃなきゃデカい声出して、地面バシバシ叩かないでしょうし。


「カアアアアァァァァァァッ!!!」

 うだうだしているうちに、モンスターが動き出した!!

 オニキスに向かって跳びかかったが、

「む!!」

 オニキスはひらりと避けて距離を取る!

「はやっっっ」


 あのモンスター・・・とんでもなく速い!!


 今まで出会ったモンスターの中で一番速いって思えるくらい、すごいスピードだ・・・!

 カッターマンティスやポイズンスパイダーもちょこまか動くタイプだったと思うが、連中とは次元が違う!


「来るなら来るで、一声掛けてくれると助かるんだがなぁ」

 オニキスはオニキスで速い・・・!

 いくら身構えていたとしても、瞬間的に体長10メートルが跳んでくるのは簡単に避けられない。

 それを意図も簡単に避けるんだからすごいもんだ。


「カッ!!」

 グリーンコアトルが砂塵を巻き上げながら着地して、

「カアアァァァァッ!!」

 オニキスを狙わず、次は現場監督たちを目掛けて跳び掛かっていった!!

「うおおおおおっ!?」

「ぎゃあああああっ!?」

 現場監督はガードして耐えたものの、かなり押し込まれてしまっている。

 巻き込まれた他の連中は見事に吹っ飛ばされて、地面に転がったり、木に打ちつけられたりと様々。

 こりゃあかなりのダメージが入ったに違いない・・・

「カアアッ!!」

 着地して両足を使って方向転換。

 グッと踏ん張って勢いを殺し、そのまま俺に向かって跳び込んでくる!

 って、今度は俺かい!?

「ちょわぁぁぁぁぁぁぁぁあッ!!!」

 全力で跳んだから避けられた・・・!


 すっげぇ勢いだった・・・!!

 なんかもう、時速百キロの車が間近を通り過ぎてったみたいよ!!


 あんなもん、当たったら即死だわ!

 あ、俺ってそういうのを受けそうになったからアルテミナに連れて来られたんだっけ?

 ってか、んなこと今はどうでもいいわ!!


 とにかく、状況を把握しないと・・・!

「キリヤ、木を使え!」

 オニキスは木の陰に隠れている。

 ブラインドとして使う・・・考え方は一緒か。

 俺も最寄りの木の陰に隠れて、

「なあオニキス!あいつから逃げられるか!?」

「・・・難しいだろう」

 ということらしい。


 そりゃあそうだわ。

 あんな勢いで移動できるやつだ。俺たちが必死こいて走ったところで一瞬で追いつく。

 あいつに見つからないように移動できれば或いは・・・ってところだろうが、あんだけ動き回るヤツだ。視界に入らないってこともないだろう。

 しかも、モンスターのほうが体力が多い。総合的に逃げるのは困難と考えるのが妥当か。


 だが、

「弓兵はとにかく撃て!!」

 現場監督が叫んで、木に登って待機している弓兵に攻撃指示を下す。

「狙え!!」

 上から指示が跳んでいる。

「撃て!!」

 バシャッ!

 大量の矢が一斉に放たれた!

 結構な数だ・・・ボスゴブリンくらいならハチの巣になっててもおかしくないくらいの量に見える。

 そんな矢の雨を、

「カアアァッ!!」

 グリーンコアトルは尻尾を振り回し、複数の矢を弾き飛ばす!

 いくらかは体で受けてしまっているが、

「カッ!!カカカカカッ!!」

 地面を叩いて、飛び出す準備をしている・・・


 ガノダウラスほど屈強な肉体をしているわけじゃないが、こいつはこいつでタフだな・・・!

 ちょっとやそっとじゃあ倒せんか・・・


「キリヤ、こいつ相手でも勝ち筋はある」

 オニキスが木と木の間を縫うように走りながら、

「探してみろ」

 探せって・・・

「カアアアァァァァッ!!!」

「ちょわぁ!!」

 こっちのことなんかお構いなしに、あいつは勢いよく跳んでくる・・・!!


 こんな状況で探せってか!?

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