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9-3

 すっかり囲まれちまったなぁ。

 四方八方、敵ばっかり。


 とにかく、このイケおじをかわしたい。

 ガノダウラスに向かえない。


「俺をかわせるかな?」

「・・・どうかな?」


 二歩、散歩踏み込めば槍が届く距離。

 ならその数歩で抜け出せばと思うが、槍を振り回せば捉えられる。

 槍はリーチがあるから、横に伸ばせば進路妨害もできる。


 このイケおじ・・・なかなかやりよる。


「アルバート、そのまま壁になれ!俺が捕える!」

 イケおじの後ろで剣士が吠えてやがる。

「・・・あんた、アルバートってのか」

「まあな。君は?」

「覚える気、あるのかい?」

「無いことはない。この件が終わったら聞こう」


 前からは頭の悪い剣士が来ていて、後ろもじわじわ接近してきている。


「気を付けろ。まだバチの実を持ってるかもしれないぞ」

 バチの実と火炎弾で目くらましでもかましてやりたいところだが、こいつらもバカじゃない。当然、警戒している。

 複製する隙も与えちゃくれないだろう。


「こちらも狙っている!」

「少しでも動いたら放て!」

 上からも狙われている。

 頭を押さえられてるってのはしんどいな。


 だが、こんな状況でも切り抜けなきゃならんってのが辛いところだ。


「そのままおとなしくしてろよ、クソガキ」

「俺がクソガキってのは認めてやるけど、あんたはクソッタレだろ?」

「なんだと?」

 剣士が剣を抜こうと柄に手を掛けた。

「止せ、マイケル。ルールを忘れたか?」

「関係ない」

「あんた、マイケルってのか?」

「生意気だな、クソガキ・・・!」

 剣を抜いた・・・!

「マイケル!!」

 アルバートが視線を逸らした。


 ―――ここだ!!


「あんがとよ、マイコ―」

 一気に踏み込んで、

「っ!!」

 アルバートを左サイドから抜き、

「なっ」

 マイケルも千切る!

「間抜けで助かるわ」


 視線が逸れたら注意も逸れる。

 機動力が上がっている今の俺なら、一歩で抜くことも十分可能だった。


 マイケルにゃあ感謝せにゃあならんなぁ。

 あいつが直情型で助かった。アルバートみたくしっかりしてたら、こうにはならなかった。


「逃げたぞ!!」

「何やってる!!」

「どけ!!」

 二人を抜き去ったら、現場が一気に混乱した。

 これに乗じて行かせてもらう!

「これでもどうだい!」

 バチの実入り巾着を複製してばら撒き、

「うおっ!またか!?」

「そうそう、またよ!」

 まだまだこの作戦は使える!思いの外、炸裂の勢いが良かったからだ。

「上から狙え!」

 木に登っている弓兵にどこからか指示が出たが、

「できませんよ!!味方に当たる!!」

 そう、素早く動けば味方に当てかねない。

 頭の上のリンゴを的確に射抜く伝説の男くらいじゃないと難しいし、そういうヤツはここにはいないらしい。それはそれで助かるが。

「壁を作れ!通れる隙間を埋めろ!」

 そう、最終的に人海戦術で壁を作るしかない。

「・・・ぶっつけ本番に近いけど、やるしかないかね」

 壁を作られると困る。いくら跳躍力が上がっても、全力で人ひとりを飛び越えられるくらい。

 壁を一列、二列、三列と並べられると厳しい。

 無暗に連中に突っ込んでも捕まりに行くようなもの。


 それを解決するためには・・・


「こうよ!!」

 逃げられるルートは地面だけじゃない。

「どこへ逃げるつもりだ!!」

 マイケルが剣を抜いて追ってきている。

「そりゃあ、ガノダウラスに向かっていくしかないでしょうよ」

 少し進路変更して木に向かって突っ込み、

「バカめ。木でも登るつもりか?」

「おっ、それなりに考えてるらしいな?エライぞー」

 踏み込んで跳び、左足で木を踏む!

 そこから更に、

「そいっ!!」

 蹴って別の木へ!

「なっ、にっ!?」

「次へ・・・!」

 程良い距離にある木と木を蹴って移動していく。


 公園とかにあるような、踏み台を蹴って飛び越えていく遊具。

 あれを思い浮かべて動いた。

 小さい頃に少しやったから初見じゃないにしても、体がついていくかどうかは別の話・・・


 久しぶりにやったにしては上出来だ。

 これなら今の俺でもできる。


「ちょこまかと!!」

「剣を振りゃビビると思ってんなよ!」

 このまま移動していきゃ、無駄な接触は避けられる!


「そういう方法なら、狙い撃ちできるぞ!」


 今度は弓兵か・・・!


「だが!」

 素早く動く的を狙うのは難しいはずだ!

 木は足場にもできるし、壁にもできる・・・これを使って早く動けば当たる確率はグッと減らせる!


「見えた・・・!!」


 ガノダウラス!!!

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