表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

146/160

6

 マズい。なんか疑われた。


 何かマズいこと言ったのか?

 発言はそこそこ気を付けていたはずなんだが・・・


「いや、こいつ・・・自分でマーガレット側って言ってたろ?」

 うち一人は疑っていないようだが、

「この辺りにいるのは魔術師と狩人、それから剣士くらいのはずだ。しかも、事前に選ばれてる連中だけって話で、俺らもそうだろ」


 あいつら、人員を選抜して組んでやがったのか!

 そりゃおかしいと思うよなぁ・・・!


「そうなんだろうけど、俺も迷っちまってね」

「迷ったにしちゃあ、結構奥まで来てるってのも怪しい」

 首都から離れているところに、迷いながら踏み込んでくるヤツがいるのか?

 そこも疑わしいと言われちゃ何とも言えんところか。

 迷ったらすぐにでも戻れるように、拠点から近い位置にいるか、すぐに引き返すのが妥当だし。

「方向音痴ってのはこんなもんだけどね」

 ・・・ということにしておく。

 そりゃあ、行くところまで行きゃあ、遠くまで行けるわ。

「じゃあ逆に聞くけど」

 このままだとジリ貧だな。

 もう危険感知が赤信号を点滅させている。マーカーを素直に渡してくれたヤツだけはまだ黄色ってところが助かるところだが、

「じゃあ、あんたらはマーガレット側だってキッチリ証明できるのか?」


 このまま言い込められるのも癪だし、俺も仕掛けてやる!


「証明って・・・俺らはマーガレット側に雇われてる」

「その証拠は?」

「は?」

「その証拠は何だって話だよ」

 こいつらは状況的に怪しいって判断してる。

 そういう意味じゃあ俺は不利だが、

「仮にあんたらは雇われたってんならそうなのかもしれないけど、それを証明できるのか?」

 証拠があれば信じる根拠になる。

 最低限、契約書みたいなモンがあるだろう。それを恐らく出してくる。


 次の俺の行動は・・・


「はぁ・・・何でこんなことでいちいち面倒なことをしなきゃいけねぇんだよ」

 最初に突っ掛かってきたヤツが腰のポーチに手を掛けた。


 ここだ!


「トラップ!!」


 スキル発動!!


「何!?」

 驚いた連中が思わず身構える・・・!

 その隙にベルトに付けたロープを抜いて、最寄りの木に目掛けて片方の端を投げる!

 ロープの端が木に当たると、一瞬だけ光ってお互いを繋ぎ止めた!

「トラップだ!?」

 全員、剣を抜こうとしているが、

「遅い!」

 まるで体操選手のリボンみたくロープを操って三人を囲って、残った端をそこそこ離れた場所にある大木目掛けて投げて固定、更にロープをコントロールして縛り上げる!

「うおっ!?」

「しまった・・・!」

 二本の木でしっかり固定され、三人は身動きが取れなくなった。

「くそっ!!やっぱりお前、どこかの陣営の回し者か!!」

「ご名答」

 荒っぽいやり方になっちまったが、とりあえず抑えることはできたな。


 これが新しく習得したスキル、トラップの能力。


 トラップ。

 ロープなどの道具を使い、罠を張ることができる。捕縛だけでなく、落とし穴も作ることが可能。

 なお、応用すれば道具だけでなく、魔法を使って仕掛けることも可能。


 前々から気になっていたスキルだったんで、ポイントがかなり入った今回を機に習得した。

 これを使えば、追っかけられる誰かを今回みたいな使い方で捕縛することもできるし、待ちの状況下でも罠を張ることもできる。

 木にしっかり固定できるのもいい。ロープワークは仕掛けるのに時間も掛かるし、下手をすれば外れる可能性だってある。パラライズバイパーの時は上手くいき過ぎなくらいだった。

 一方で、ある程度の技量が必要ってことも分かった。

 今回はロープを使った捕縛だったが、そのロープのコントロールはスキルが自動でやってくれるわけじゃなくて、俺自身がするもの。

 つまり、俺がヘボなら捕縛どころか、こいつらを絡め取ることすらできない・・・ってわけだ。

 今回は使うことを前提に、ロープの端を適当に結んで重さを付けてやっていた。だから投げて木に当てるなんてこともできたわけだが、ある程度の準備も必要なスキルのようにも思える。


 これはアイオロスが指定したスキルじゃあないが、メリット、デメリットはあるものの、便利なものは使っていくのが当然。

 不本意な使い方にはなっちまったが、初めて使うにしちゃあ上出来よ。


「悪いな。あんたらに恨みはないけど、しばらくここでじっとしといてくんな」

 三人まとめて絡め取った上、きっちりテンションを掛けて固定しているから、身動きは取れない。

 何かしたくても、大声で叫ぶくらいしかできないだろう。

「お前、どこのモンだ!」

「そんなの知ったって、あんたらには関係ない話だ。じゃあな」

「ま、待て!この固定、いつになったら解除されるんだ!?」

「俺の仕事が終わるまでだろ」

 有効期限はなく、俺が解除するまで、もしくは強制的に壊すまで続く仕様らしい。

 なら、一仕事終えるまでここでじっとしておいてもらおう。

「くそっ!卑怯だぞ!」

「それ・・・あんたらが言うことか?」

「何のことだ・・・?」

 こいつら、ガノダウラスの件は知らされてないのか。

「事が終わってから適当なヤツから聞きな」

 時間がない。

 オニキスは速い・・・どこまで詰めたか分からん。先を急がないと。

「じゃ、俺は行くわ」

「ちょっ」


 更に前へ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ