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狩猟祭開催 -なんか思ってるのと違うんですけど-

 早朝。

 大空に数発、閃光と爆発が起こった。


 狩猟祭が始まろうとしている。


 俺たちは首都中央の広場に集められた。

 どこの陣営であろうが、個人的に参加しているヤツであろうが、中央スタートらしい。

 どうやら開催式とルール説明をするらしいが、一応は行事だし、そういう前置きは必要になるか。


「随分いるな」

 俺たちは人通りが少ない場所にいる。

「確かになぁ」

 中央広場はそこそこの人員を収めることはできるはずだが、溢れかえる一歩手前くらいまでいるように見える。

 バードアイで試しに見てみたが、広場を埋め尽くすくらいの人員が集結していた。

 マーガレット側に数百人以上ついているって話だし、そこからガーベラさんやら他の立候補者やら、じゃないほうの軍勢がいるわけだし、当然と言えば当然か。

「戦う連中ばっかでもねぇらしいけどな」

 広場に集まっているのは戦闘職ばっかりじゃない。


「止血剤、安くなってるぜー!!」

「もしもの時の保険でナイフを持っておかねぇか!?」


 商人たちだ。

 広場に各々が露店を出していて、声を張り上げて客引きしている。

 これから狩猟しに行くって連中ばかりが揃ってる。中にはうっかり忘れてきたってヤツもいるだろうし、不安に駆られてサブウェポンを買っておこうって思うヤツもいるだろう。

 今ここにはそんなヤツがゴロゴロいる。まるで商機が溢れ出る泉みたく。

 商売人たちにとっちゃあ、この三日間はかき入れ時だな。


 それはウチの商人にも言えた話。

 だが、

「ここに残っていればどれだけ儲かったかなーとか考えてるでしょ?」

「・・・否定しません」

 残念ながら、マーベルさんは広場で店を開かない。

 かなり渋られたが、今回は前線に出てもらう。

 しかも、ヴェロニカと一緒に。


 これも作戦の一つ・・・

 今回は商売は見送ってもらう。

 血の涙を流しそうだが・・・


「皆の者、よく集まったわね」


 広場にあの声が響き渡った。

 あの腹の立つトンチンカンだ。


「今日から狩猟祭。各々が持てる技術、力でモンスターを狩る祭典。この日を待ち望んだ者も多いことでしょう」


「なあ、これってどうやってこんな風に声を大きくしてるんだ?」

 マーガレットの声がしっかり聞こえる。

 人ひとりが声を張り上げたって、数百人が入る規模の広場全体に聞こえるわけないんだが・・・

「魔道具だね」

 どうやら、スピーカーみたいな物があるらしい。

 広場全体に届くようにいくつか設置しているようだ。


「さあ、奮い立てなさい!己の名誉を勝ち取り、エルフ族、そしてわたくしの名を世に知らしめよ!」


 エルフ族の名誉を・・・って件は分かるが、何でマーガレットの名前を世に知らしめる必要があるんだろうか?

 俺がヒト族、かつその辺のことはどうでもいいからか?

 いや、そんな風でもないか?

 エルフもヒト族も関係なく、周りの連中もそこまで盛り上がってないし、無視してるほうが多数派みたいに見える。

 マーガレットが言っていることが意味不明ってところなのか、もしくは支持率はそこまで高くないのか・・・なんとなく後者のような気がするが。


「キリヤ」

 背後に気配・・・

「あのさぁ・・・もうちょい普通に出てこれんもんかね?」

「すまんな」

 オニキスだ。

 毎度のことだからどうでもいいにしても、毎度背筋が凍るからやめてほしい。

「ちょいと協力してほしいことがある。開催の合図の後、指定の場所に来てくれないか?」

「・・・俺があんたに協力するのか?」

 一応、協力関係なわけだし、悪いことにはならないだろうが・・・

「疑うなよ。お前さんだから頼んでる。ここに来てくれ」

 メモの切れ端を渡された。

「頼むぞ」

 ・・・気配が消えた。

「・・・首都の中か」

 どこなのか見てみると、都市内の地図だった。

 様子からして結構急ぎっぽいし、無視するわけにもいかないか。

 とりあえず、確認することにしよう。


「さあ、始めましょうか!」


 いつの間にか開始直前まできていた。

 マーガレットの話がどうでもよ過ぎて・・・


「狩猟、始め!!!」


 ガーベラさんの命運を決める狩猟祭が、とうとう始まった・・・!

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