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16-2

「ふむ・・・特訓を始めたか」


 少年は例の少女と特訓を始めた。


 新しいスキルを習得し、事前にどういった条件で発動するか、そして使い勝手を確認しておく。

 これは普段の生活だけでなく、こと命を懸けた狩猟では重要である。

 必要な時に効果を発揮させられないのでは話にならない。せっかくのスキルも腐らせることとなる。


「ふん。当たり前のことだ」


 少年と引き合わせた岩場にアイオロスがやって来た。


「相変わらず機嫌が悪いな」

「放っておけ」

 アイオロスは岩の頂点まで一息で上り、

「まずは回避性能か」

 そのまま下界を見守るようだ。

「今回課した内容において、回避性能は重要である」


 大型モンスターを狩る。人において非常に難易度が高い行為である。


 無論、小型であろうが中型であろうが、危険を伴う。モンスターも狩られまいと抵抗する。寧ろ自らの腹を満たそうと躍起になる。

 モンスターと比べ、人は劣っている面は多い。

 基本的な戦闘能力もそうだが、体格や体力は基本的に劣っている上、ブレスを吐くなど、特殊な攻撃手段を持たない。体力が多いだけでも厄介である。


 それを補うために人は集団で、かつスキルを習得して挑む。

 人がモンスターを倒せるように、神が下界をそういう風に創った。


 それを人が知るかどうかはどうでもいい話である。知ったとて神に対して何もできないためだ。


 人は知恵と言葉を持ち、コミュニケーションを取れる数少ない生物である。

 道具を作り、言葉を使って話をする。これができるのは人の特権であり、一つの能力と言える。

 それを上手く使って立ち回ることで、モンスターを狩ることができる。


 だが、それができないのもまた人である。

 欲をかく。他者を出し抜こうとする。他者を恨み、妬む。知恵を持ち、上下関係が構築され、金という存在が生まれてしまったが故に、人は力を発揮できない。

 まあ、少年の場合、金に目が眩むということはないようだが。


「そういう点において、ヤツはまだマシと言ったところか」


 アイオロスもその点は評価しているようだ。


「回避性能を使いこなせば、攻撃を受けることなく狩猟を終えられる」

 そういう風に作られたわけだが、

「寧ろ、できなければ死ぬ可能性が高くなる」

 そういう風になってしまうのも道理である。

 表があれば裏がある。世の中、上手くできているものである。

「まあ、習得しなければいけないスキルはまだあるが」

「猶予はまだある」

 狩猟するまでに十日以上ある。

 それまでに習得し、使いこなせるようになれば良いだけのこと。


 しばらくは修行期間だな・・・

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