鞘のままでも殺傷能力はある
主人公が幼く見える………
……語彙力が欲しい!!
臨戦態勢の状態でかまえていると、青紫色のゴブリンが姿を現した。
ゴブリンって青紫だっけ…?緑色じゃなかったけ?俺が知らないだけで青紫色のゴブリンも存在するのか?
「ギキャギャギャッ!!」
なんて考えてるとゴブリンが襲ってきたので鞘付きの剣でゴブリンの棍棒を受ける。目が血のように赤くなっていて、学院の演習で倒したゴブリンと色味がまったく違う。スピードも青紫色のゴブリンの方が早いし、力も強い。
「なんかよくわかんないけど…変異体ってやつなのかな?っとおらぁ!!」
剣をずらし棍棒を滑らせ、勢いのまま回転し剣をスイングしてゴブリンの首に叩きつけ骨を砕いた。
「ガッ!!……」
ゴブリンは数回地面に叩きつけられ止まった時にはすでに死んでいた。
「……この鞘頑丈だなぁ……まったく壊れる気配が無いんだが……」
ファンディオールの剣をマジマジと見てみる。派手な装飾は無いけど鮮麗された綺麗な鞘だ。真ん中より上に魔力結晶石が付いている。
結晶石に魔力を流してみるが何もおきない。この結晶石はいったい何の魔力結晶なんだ?だいたい透明に近い白色の結晶石なんて初めて見るぞ。
「っと、ゴブリンだよ、ゴブリン。こんな色したやつなんて初めて見たぞ?しかもここら辺って子供でも倒せるツノ兎しかいない比較的安全な場所なのに何でゴブリンが……一応死体ごと持ち帰って報告した方がいいよな…」
青紫色のゴブリンをアイテムボックスの中に入れ、冒険者ギルドに向かった。
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冒険者ギルドに着く頃には夕方近くになっていた。
ギルドの扉を開けると、最初に来た時より人が増えていて受付カウンターには数人並んでいる。
「おっ!《イカヅチの斧》をぶっ飛ばしたルーキーじゃねーか!」
受付の列に並んでると後ろから大剣を背負った30代くらいの青年に声をかけられた。
「えと……」
「悪い悪い。俺はヴァン。Aランク冒険者だ。よろしくな」
「レクスです。よろしくお願いしますヴァンさん」
Aランク冒険者!!すごい!めちゃくちゃ強いんだろうな!!Aランク冒険者なんて初めて会ったな。
「いやーあいつらぶっ飛ばしたのを見てスカッとしたぜ。いい噂聞かねぇやつらだったからな。間に入ろうかと思ったがレクスがぶっ飛ばしてたから出る幕なかったわ!あっはっはっ!」
「そうなんですね。ぶっ飛ばしてよかったです!それよりあいつらってあの後どうなったんですか?」
「あいつら新人を雑用として使い潰すって問題になってたらしくてな。素行も悪い、無理な勧誘、武器での私闘で罰としてどぶさらい2ヶ月になったんだよ。今頃どぶさらいしてんじゃね?もしどぶさらいをさぼれば冒険者登録剥奪だからな。ギルドが決定した罰も聞かないとなれば冒険者としての素質も信用も無いとみなされるからな。あ、もしかしたら逆恨みでお前に襲いかかるかもしれないから帰りとか気をつけろよ?」
「わかりました!ありがとうございます」
「薬草採取に行ってたんだよな?薬草はどうした?」
「あぁ…薬草ならアイテムボックスの中に入れてますよ。ほら」
アイテムボックスの中から1束アデルム草を取り出すと、ヴァンさんは驚いた顔した後、真剣な顔で話してきた。
「アイテムボックス持ちは何かと勧誘を受けると思う。最低な奴らは脅迫まがいな事をする奴もいる。脅迫してくるような奴は構わずぶっ飛ばしていけ。しつこいだけの勧誘ならギルマスに言え。なんとかしてくれっからさ。ランクが上がるまでは大変かもしんねーけどがんばれよ」
頭をポンポンしながら優しく笑いながら教えてくれた。なんだかエド兄さんみたいだ。
「はい…ありがとうございます」
嬉しくて、なんだかくすぐったくて温かい気持ちになった。