冒険者登録しに行くか。①
初日なので連続投稿!
婚約破棄騒動から1ヶ月。せめてもの救いはその1ヶ月で夏季休暇に入ったことだな。
王都にあるオーレイン王立学院から5日かけて辺境の自領のファンディオール領に到着し、やっとゆっくりできると思って実家の屋敷の玄関を開けると、兄嫁のディアンサ義姉さんが土下座でお迎えしてくれた。
いや、何してんのディアンサ義姉さん。
「アレク君!本当にごめんなさい!」
土下座スタイルで開口一番に謝罪される俺。呆然としていたら兄のエドワードがこっちにすっ飛んできた。
「ディア!何してるんだ!お腹の子にさわるだろう!」
「えっ?!ディアンサ義姉さん赤ちゃんいるの?!おめでとう!じゃなくて本当に何してんの?!そんな事したら赤ちゃん圧迫しない?!大丈夫なの?!早く立って!」
「そんな事どうでもいいの!私はアレク君に謝らなくては「「どうでもよくない!!」」
兄と同時にディアンサ義姉さんに怒って立たせた。本当何してんの義姉さん。
「そうだ、お帰りアレク。よく帰ってきた。お互いいろいろと話があるし、みんなリビングに居るから行こうか」
ディアンサ義姉さんを落ち着かせて兄さんが迎えてくれた。
「そうだね。お互いいろいろ報告があるみたいだね」
「本当に……ごめんなさいアレク君……それからお帰りなさい」
「うん。ただいまディアンサ義姉さん」
涙目になりながらディアンサ義姉さんは俺にまた謝罪をし、迎え入れてくれた。
3人でリビングに行くと、父のグイード、母のコーデリアと祖父のモルドレッドが居た。
「お帰りアレ「ディアちゃん!目が潤んで!アレク!ディアちゃんを泣かしたの?!」
「ちがっ!いや、違わなくないけど違う!!」
「お義母様!これは私が勝手に泣いただけですわ!アレク君のせいではありません!」
「やっぱりアレクが泣かしたのね?!」
開口一番に言葉を遮られた父。ディアンサ義姉さんを泣かせたと怒る母。なんだこれ。帰ってきて早々俺も泣いていいかなぁ。
「落ち着きなさいコーデリア。よく帰ったアレク。いろいろ積もる話もあるし、3人ともとにかく座りなさい」
祖父のモルドレッドが座るように促したので、俺たちは対面のソファーに腰を下ろした。
「アレク君私の従兄弟が本当に申し訳ない事をしてしまって……本当にごめんなさい…なんてお詫びをしたらいいか……」
再度ディアンサ義姉さんから謝罪されるのには訳があって、なんとディアンサ義姉さんの従兄弟が俺の元友人……俺の元婚約者を奪った男だからだ。
元友人……キール・ユーグレッドはディアンサ義姉さんと兄との結婚式でディアンサ義姉さんから従兄弟だと紹介され仲良くなった。
そして学院に入り、第2王子のレイモンド・オーレインを紹介され、仲良くなり現在に至る…というわけだ。
「いや、ディアンサ義姉さんが悪いわけでは無いので謝らないでよ。そんなに悲壮していたらお腹の子にさわるよ?」
「あら?アレクはもう赤ちゃんの事を聞いたのね」
「うん。お迎え早々嬉しいニュースでビックリしたよ。いつ頃産まれる予定なの?」
「……7ヶ月後だから春先かしら?」
「そっかー。俺叔父さんになるのかー」
「……喜んでくれてありがとうアレク君……」
潤んだ目だったけれど、やっとディアンサ義姉さんが笑ってくれた。
きっと俺の騒動の話を聞いて自分が紹介しなければこんな事にならなかったのにとか思ったのかな。