馬鹿は増えていく
あれから2ヶ月が経ったが、状況は全く良くなっていない。
悪化しているといったほうが良いだろう。
マリーと呼ばれている冒険者の少女は天真爛漫で、さっぱりとしている口振りである。誰にでも気さくで多少失礼な言動も見られるが、それが気にならない程に可憐である。
明るく黄色の髪をふわふわと両サイドで結び、歩くたびに ぽん ぽん と揺れる。そして背が小さい為かよくぴょこぴょこと飛び跳ね、腰につけているギルドメダルか可愛らしく鳴る。
最初は怪訝そうに見ていた皇子の周囲も、だんだんと彼女を受け入れてきた雰囲気だ。
もちろん例外もいる。
第三皇子とご婚約中のカトレア伯爵令嬢もその1人だ。
白銀色の透き通るようなサラサラな御髪を腰まで伸ばし、凛と佇むそのお姿は美しいとしか言葉では表せられない。
貴族としての在り方を幾度か皇子と冒険者殿に説いたようだが、彼らは全くもって効いていないどころか反抗しているようにさえ見える。
それを取り巻くように他の学生達がやんややんやと独自の主張を飛び交わせている。
彼らは何しにここに来ているんだ…
私はぱくんと手に持っていた残りのバナナを口に放り込み、スケッチブックを開いたのだった。
次は視点が変わります。