表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猫とおばあさん  作者: TO-RA
1/7

おばあちゃんとぼくの平和な暮らしは、ある日とつぜん壊れてしまった

 ぼくの名前はクロっていうんだ。全身真っ黒な毛色の猫だからね。

 ぼくは「おばあちゃん」のお家で暮らしてる。おばあちゃんは、ぼくが赤ん坊ネコの頃に拾って育ててくれた人だ。

 ぼくたちはずっとふたり(ひとりといっぴき?)暮らしをしてる。もう何年も前からね。

 二階建ての大きなおうちは、おばあちゃんの旦那さんが、よんじゅーねんぐらい前に建てたんだって。

 おばあちゃんには子供がひとりいたんだけれど、にじゅう年以上も前に家を出てったきり、ぜんぜん帰ってこないみたい。

 おばあちゃん、寂しいのかな。でも、ぼくがいっしょだから平気だよね?



「クロー、おはよう。ごはんあげようねえ」


 ぼくはいつもおばあちゃんといっしょの寝床で寝てて、起きる時もいっしょなのだ。

 おばあちゃんは朝起きるとお布団を畳んで、それからぼくにカリカリのおいしいごはんをくれる。


「トイレも掃除しないとね」


 ぼくがお皿に盛られたマグロ味のカリカリを食べてる間に、おばあちゃんはぼく用のトイレをきれいに掃除して、それから自分の朝ごはんを作り始める。

 ゆで卵とパンと紅茶。毎日おんなじメニュー。たまに、ヨーグルトがついたりバナナがついたりする。



「さて、今日はお洗濯しようかねえ、シーツも変えて。あんたのおざぶのカバーもきれいに洗おうか」


 ぼくのお気に入りのまんまるクッション。縁側でひなたぼっこしながらその上で寝るの。気持ちいいんだ。


「お日様にあてたら気持ちよくなるよ。今日はいい天気になりそう」


 大好きなおばあちゃん。ゆっくりと紅茶を飲みながら新聞を読むおばあちゃんの膝の上に乗ると、おばあちゃんは優しくぼくの背中を撫でてくれる。


「かわいいねえ。クロはいいこだねえ」


 うん、ぼくいいこにするよ。だから、ずーっと一緒にいてね。

 

 ゴロゴロと喉を鳴らすと、おばあちゃんは嬉しそうな顔になる。

 そんなお婆ちゃんを見て、ぼくも嬉しくなる。だいすき。

 ずっと、ずーっと、こんな日が続けばいいと思う。


 でも、ある日、ぼくとおばあちゃんの生活は一変したんだ。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ