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ACT.67 不利な敵地で(Ⅲ)

 麻袋いっぱいに詰まった肉片に顔を顰めるライ。

 転生者を始末するのを生業にしているとて、ライは別に殺しが好きなわけでも死体が好きなわけでもない。

 だからこそ、その中身が持つ猟奇性に強い忌避感を感じた。


「こんなのをわざわざ探しにいったんですか」


 それ故に、ライにはこの転生者の肉片が何の価値があるかがわからない。

 レオーネ自身がわざわざ半日をかけて、スラムの不労者たちに報酬をつけてまで探すだけの価値が。


「まさかレオーネさんにこんな()()()収集の趣味があるとは」


 半歩ほどその場で後退りして、少し青い顔をしながらライは呟く。

 彼はこのお土産から察したレオーネの趣味趣向にかなり引いていた。


「待って、違う違う引かないで!!」


 そんなライの様子に、一気に酔いが醒めたレオーネは両手をばたばたと振って慌て否定する。


「私にもそんな趣味ない! ──けど、これはこれで異能(チート)を正しく割り出す証拠になるから」


 言ってレオーネはライの方へ向き直り、真剣な眼差しを向ける。


「ライくん、転生者の異能は色々あるけど幾つかの共通点があるのは知ってるよね」


「えぇ、まぁ」


 転生者たちが持つ異能。

 多種多様なチカラを持つ異能ではあるが、幾つかの共通点──否、()()()があった。

 一つ目は、異能は(ひとり)につき一種ということ。

 二つ目は、異能の使用には快楽と依存が伴うこと。

 三つ目は、無から有を作った場合、ソレが形を失った時は跡形もなく消滅するということ。


「──ん?」


 そこまで考えて、ライはあることに気がつく。


「消えてない?」


 三つ目のルールである「無から有を作った場合、ソレが形を失った時は跡形もなく消滅するということ」。

 これが示す「無から有」という意味は実のところ多岐にわたる。

 例えば氷を何も無い場所に自在に作り出す異能があったとする。

 もし、その異能の正体が"一から全て氷を作りだす"というモノだった場合、その氷が少し欠損しただけで水や水蒸気すら残らず消失する。

 だが、"冷気を出して空気中の水分を冷却して氷を作り出す"だった場合は、氷は残り続けるのだ。 

 それはこの場合は消失する対象が冷気()()だからだ。

 そこを踏まえて、ライは考える。

 斬られた手足を即時に修復した、それは"無から有"に見えなくもない。

 だが、切り離された肉片が消滅していない。

 ──じゃあ、この肉片はオリジナルなのか?


「違う、右腕が二本入ってる」


 なら、片方は各自にオリジナルじゃない異能で作り出した腕だ。

 それが切り離されてなお消滅していない。




「もしかして、今回の転生者の異能は単純な再生能力じゃないのか?」

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