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ACT.66 不利な敵地で(Ⅱ)

▽▲▽


 顔を突き合わせて憶測ばかり並べたてたところで事態は変わらない。

 ライとレオーネは日中に手分けして各自情報収集などを行い、夜にまた拠点にて落ち会うことにした。


 そして夜。


「──あの、レオーネさん?」


 ひと仕事を終えて拠点である借家に帰ってきたライを出迎えたのは、全く予期していなかった光景であった。


「あ、ライ君おかえりー」


「「「お帰りなさーい」」」


「じゃなくて!」


 ──拠点が不労者たちの溜まり場になっていた。

 既に()()()()()()いるレオーネの他に、三人の男。

 彼らは三人とも伸びっぱなしの髭に脂ぎった顔、洗ってない粗末な服と明らかにスラム街の人間であるとわかる姿をしている。

 酒瓶がそこかしこに散乱し、買い漁ってきたであろう肴になりそうな燻製やら何やらを広げてゲラゲラ笑い転げるレオーネ。

 調子に乗って歌ったり変な踊りを踊ったりしている男たち。

 ──割と、目も当てられない光景だった。


「か、仮にも僕ら聖職者なんですよ?」


「聖職者が酒飲むなという規則はなーい!」


「飲んでも呑まれるなって話ですよ!」


 あまりの聖騎士らしからぬ惨状に両手で顔を押さえて崩れ落ちるライ。

 ライにとってレオーネは自身より序列が上で、尚且つ自身が粛清騎士になる時の試験に立ち会って合格をくれた大恩ある先輩騎士である。

 そんな彼女のこの有様は──なんというか、こう、ライの心を折りにきてる感じがあった。

 

 言ってしまうと"かなりがっかり"である。


「でもさぁ、彼ら手伝ってくれたからさぁ、御礼はしないとさぁ!!」


「手伝い?」


 レオーネは、日中に昨夜の現場に戻って、何かを調べていた。

 その手伝いを酒を餌に彼らに頼んだという事だろうか。


「うーっす! 姉さんの為に頑張りゃした!」


 呂律が若干回っていない不労者の一人がそう答える。

 肌の色がライたちと違い浅黒いことから、国外からの移民だろうか。


「そこの袋の中に()()()入ってるから確認よろしーく?」


 愉快なテンション感のままレオーネが指し示すのは、彼女らが食事を囲む場所から数歩ほど離れた位置の床上。

 そこにあったのは汚れた麻袋。

 なんとなく重く大きいモノが入っているというのがパッと見ただけでライにはわかった。

 現場であるゴミ山から何を土産にしたのか、訝しみながらライは麻袋に歩み寄って片膝を床につける。

 結えてあった口を解いて中身を見るなり、ライは思わず顔を(しか)めた。


「──これを()()()()()()()はキツイものがありますよ」


 そこに入っていたのは、大きな手足や何かの血肉。


 ──昨夜レオーネが戦った転生者が落とした肉片の一部だった。

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