ACT.39 二人一組(Ⅱ)
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「さて、定例会のついでに、今後の方針ついて話しておこうと思う」
各個人が前回の定例会から今までに起こったことを報告しあったその後、ベルタは唐突にそんな言葉を口にした。
「先日、聖女様と話し合いをしたんだけれど、話の内容は大体想像つくだろう」
その言葉に対して、その場のほぼ全員が軽く頷く。
心あたりのある一件が、この会議でライの口から報告されていたからだ。
「ライが遭遇したという”転生者の王”を名乗る転生者のことだ」
そう、転生者の王・竜王を名乗る少年。
彼の存在は、粛清騎士たちにある種の衝撃を与えた。
「まさか、転生者が徒党を組んでいるだなんて」
「――まだその可能性があるって段階だがな」
レオーネの呟きをハワードが訂正する。
しかし、万が一その可能性が正しかった場合、事態は深刻だ。
今まで、絶大な異能を持つ転生者たちを粛清騎士たちが駆逐することが出来たのは、彼らが総じて未熟で個人だったが故だ。
それが、組織を作って後進育成と集団戦を学んだとしたら、脅威は計り知れないほど跳ね上がる。
「第一、聖女ステラの信託で出る度殺して回ってるのに、そんなに転生者が残っているんですか?」
ノアが欠伸交じりにそんな疑問を呈する。
その疑問に対して、答えを述べたのはライ・コーンウェルだ。
「聖女ステラの信託は、万能じゃないです。 いつどこで、転生者が現れるということしか、信託は告げないそうです」
「――つまり?」
「まだ信託で炙り出されていない、のうのうと生きている転生者だっていっぱいいるってこと」
ため息交じりにレオーネはそんなことを言った。
その言葉に、ライを含めた数名が苦虫をかみつぶしたような表情を浮かべる。
――そう、聖女の信託は万能ではない。
むしろ欠陥だらけのシステムと言わざる得ない。
だが、現状大きな被害が出る前に転生者を炙り出すには、この信託に頼るしかない。
「――そこで、今後の方針だ」
陰気な流れを断ち切るように、ベルタの声が円卓の空気を断ち切る。
優し気な笑顔を浮かべて、彼はこう続ける。
「今から、この七人を三つの班に分けて、任務に就いてもらう。一つは、奇妙な動きのあるエルトール伯の元へ向かって調査をしてくれ。二班目は、交易都市の闘技場へ。最後にもう一班は、ここにいて聖女の護りに」
「――まぁ、どうせ俺は今回も留守番だろ」
「いや、アルフォンソ君は私とハウエルと共に交易都市へ行ってもらう」
「まじで!?」
今回もまた出番なしだと皮肉を言ったアルフォンソは、予想外の返答に驚く。
驚いたのは、彼だけでなく他の騎士たちも同様だ。
アルフォンソ・グラットストーンという騎士が必要だという事態こそが、ある種非常事態ともいえるからだ。
「そして、エルトール伯の元へは、ライとノアに行ってもらいたい。ここは、君らが適任だ」
その指示に、ノアはやれやれと肩を落とし、ライは静かに首を首肯させる。
「それで、何故エルトール伯の元に?」
ライがそうベルタに問いかけると、彼は少し真面目な表情を作る。
「彼には、重大な背信疑惑がある。――転生者との癒着だ」




