ACT.35 そして歯車は軋み廻る(Ⅰ)
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ーーライ、どうした!?
何があった!?
なんでお前は、突然血を吐いて倒れたんだ!?
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「ライ先輩、失礼します」
穏やかな日差しが差し込む、清潔な病室。
そこに入室してきたのは、右腕を包帯で吊った赤毛の少女・リゼであった。
「あぁ、よく来てくれた」
そして、その病室のベットに腰掛けていたのはーー粛清騎士ライ・コーンウェル。
先日の任務で重傷を負った彼だが、奇跡的に一命を取り留めていた。
「いや、先輩が生きていてくれてよかったです。 あの出血量では助からないんじゃないかと凄く怖かったです」
「すまない。けれど、その場面でよく適切な判断を下せた。助かったよ」
そう言ってライは小さく笑った。
小さなその笑顔をみて、内心でリゼもホッと胸を撫で下ろす。
そして、ライはその笑みを静かに消すと、真面目な声色でこう問うた。
「それで、あの後はどうなった?」
「はい、それがですねーー」
そして、彼女は事件の顛末を語る。
重傷を負ったライ・リゼに代わって粛清騎士レオーネが、聖騎士団と共に街へ入り、転生者および竜の捜索を行なったが、結果的に足取りは掴めなかった。
その後調査したところ、地下簡易住居には二人分の生活用品が発見されたことから、今回の事件を起こした転生者は二人組らしいことがわかった。
そして、念のために聖騎士団と共にレオーネが駐留しているが、事件の再発は無く、完全に逃げられたモノと思われるーーと。
報告を聞いて、ライはしばし静かに考え込む。
そんな彼の姿を見て、リゼはある事を思い出す。
「あ、それとですね。 不思議なことなんですが、ライ先輩は重傷をあの場で負っているのですが、鎧の方に傷や損傷はなかったんですよ」
「ーーちょっと待て」
それを聞いたライは、驚愕に目を見開く。
ライの記憶では、自分は確かに竜王と名乗る転生者によって、鎧が変形する程の攻撃を受けたはずだった。
実際、自分の身体はそれ相応の傷を受けている。
それなのに、鎧は無事とはどういうことだと、ライは困惑する。
「本当ですよ、細かな傷こそはありましたが、大きな損傷は皆無でした。ーーだから、先輩の怪我の原因が未だに不明で」
「未知の異能か」
そう原因を断定して、ライは困ったように空を仰ぎ見る。
次にあの竜王に会う時までにその異能の正体と対策を考えなければ。
仰ぎ見た先にあるのは空ではなく、病室の簡素な天井であったことが、少しライの気を滅入らせた。
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