表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
176/196

ACT.163 波紋(Ⅰ)

▽▲▽


「ん?」


 昼下がりの女剣闘士宿舎にて。

 午前中の自主トレーニングを終えたリゼが食堂へやってくると、何故かいつもよりも騒がしさを感じた。


「何かあったのかしら?」


 聖協会とは違い、ここは食事中の私語厳禁というわけでは無い。

 男性側は知らないが、むしろ女子側の食堂は大体(かしま)しいことが大概である。

 ただ、その騒がしさにも空気感というか()()がある。

 普段のソレは多種多様で雑然としているのに対し、今は色が揃っているとリゼは感じ取った。

 ようは、全員がほぼ同じ毛色の話題を口にして近い感想や感情を抱いている──みたいな。

 有り体に言うなら、()()()()()である。

 ソレを感じ取ったリゼは、内心で気を引き締める。

 そもそも、こういった外からは探りづらい内部の事情や情報を得る為に彼女は剣闘士として潜入したのだ。

 決して露出度の高い格好で命懸けの見せ物を演じる為などでは無い。

 カウンターでいつもの大麦主体の定食を貰い、盆を持ってそれとなく一番大きなグループの近くの席に座る。

 彼女らに背を向けて匙で蒸かし芋を口へ運びながら、神経を集中させて聞き耳を立てる。


「──れで、獣の蔵でなんでそんなことが起きてんのよ」


「わからないわ。聞いた話だと、何匹か()()()()になったせいで対戦予定の変更が──」


 口々に交わされる話を頭の片隅でツギハギしてまとめると、昨晩に剣闘で使う猛獣たちを飼育してる施設で何匹かが急死したらしい。

 そのせいで、剣闘士(じぶんたち)のスケジュールも変更になる可能性がある──とのこと。


「このタイミングってことは、何もかもこっちの事情と無関係って訳じゃなさそうだけど」


 ただそれだけだと情報としての価値が低い。

 むしろ本質が外の出来事であるなら、外担当のアルフォンソらの方が詳しいだろう。

 ならば、得るべき情報はその事件そのものでなく、その影響で起きる変化だろう。

 対戦スケジュールの変更で誰が得をして、誰が損を被るのか。

 目を平らにして、さりげなくを装ってサラリと食堂内にいる剣闘士たちの表情を伺う。


「──いた」


 多くの剣闘士たちの中で、()()()

 明らかに周囲と違う表情を見せている人物を見つけ、リゼは盆を手に立ち上がって彼女の方へ向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=937273133&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ