表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死神様  作者: 柴田盟
第2章南へ。
53/56

死神キラーの臼井

「どうしたんだメグ、何が大変なんだ」


 急に創造主の本から出てきたメグは大層血相をかいていた。


「ミカエルが死神キラーと手を組んであなた達を狙っているの」


 するとリリンが「死神キラーじゃと」と狼狽えていた。


 そこで私が「死神キラーって何?死神を狩るもの?」


「遅かったなメグよ。もう死神キラーはここにおる」


「どこにいるの?」


 するとオールバックに黒いスーツ姿の中年の男性が私達に迫ってきた。


 リリンが狼狽え、凜とミレイは抱き合って怖がっている。


「お初目にかかります私が死神キラーの臼井です」


「お前もミカエルの回し者か?」


「回し者と言うのはいささか違う。私は死神を排除するためにここに来た」


 そこで靖子さんが「その死神キラーが私達に何の用なの?」


「さっき言ったじゃないですか、わたくしは死神を排除しに来たと」


「そうはさせない、メグ、場所を変えよう、キーレンドの山の麓まで案内してくれ」


 そこでリリンが「ダメじゃ。我らには勝ち目はない。そ奴は死神の攻撃などいっさい通用しない」


「僕達殺されちゃうの?」「嫌だよ」


 凜とミレイは反べそ状態だった。


「だったらリリン創造主の本とペンを貸してくれ」


「ダメじゃ、そ奴を創造主のペンでやっつけても、ミカエルの力が大いに増す。そ奴はそれほどの者じゃ」

 そこでリリンは臼井に向きなおり、膝をついて土下座をした。

「臼井よここは引いてはくれぬか?お主の使命は死神の力を利用して悪巧みをする奴らを抹殺する事じゃろう」


「だがミカエルはこの世界を変えるために人間達を排除するのが目的だ。私もミカエルと同じ意見だ」


「なぜミカエルの意見に同調した?」


「ふん、それは簡単な事、人間など愚かな生き物に過ぎないからだ」


 すると靖子さんが弓を引き「消えなさい、さもないとこの弓はあなたの頭を貫通するわよ」


「なんとお前達は座敷わらしがいたか。これは計算外だった」


「消えるの?それともあなたの頭にこの弓を貫通させるわよ。二度も言わせないで、三度目は無いわよ」


 靖子さんは威圧的な視線を向けて、臼井に促す。


「何て恐ろしい女なの?仕方がないね、今日はこれぐらいにしてあげますよ」


 そう言って臼井は次の駅で降りていった。


「リリン、あいつは何者なんだ?死神キラーって呼んでいるけれど?」


「奴も神の化身で、不要を働く死神を退治する役目を担っている。じゃから我ら死神の力は通用はしない。

 じゃが、わらしの弓であれば通用する」


「靖子さんがやった事は正解だったんだね。

 ありがとう靖子さん」


「当然の事をしたまでよ、これ以上奴らの思惑通りにはさせないわ」


「まだ鹿児島までの時間はある。その間に創作活動をして魂向上のために私と靖子さんは努めるよ」


「・・・」


 黙り込むリリン。


「あいつが相手ならいくら魂を向上させようと無駄だよ」「そうだよ、あいつには僕達の攻撃をいっさい受け付けない」


 リリンも凜もミレイも相当にショックだったんだろうな。

 でも私は「諦めちゃダメだ」と一喝する。「死神キラーの臼井か何だなかは知らないが、とにかく魂の向上をしよう。その為に私達は創作活動をしているんでしょ。魂を向上させればあんな奴、創造主の本とペンで一掃できるはずじゃないか?」


「それもそうじゃな」


「じゃあ僕達も魂向上の為に頑張るよ」「僕も」


 二人は機嫌を直してくれた。


 ようやく三人は戦意を取り戻してくれた。


 そこでリリンは「奴の能力は強大じゃ、さらに我ら死神にとってはな」


「ならもっと私達はもっと上を行くべきだよ。もっともっと魂を向上させて奴らを打ち負かそう」


「そうじゃな」


 私達は魂向上の為に鹿児島まで創作活動をやって、魂を向上させている。

 みるみるエネルギーが増している感じだ。

 これなら行けそうだ。


 鹿児島の駅にたどり着き、死神キラーの臼井は改札口で私達を待っていたそうだ。


「何の用だ、臼井」


 すると臼井はドスグロいオーラを発して、わらしに攻撃を仕掛けた。


「きゃあああ」


 わらしは悲鳴を上げて、気絶している。


「わらしちゃん」


 わらしの所に行く靖子さん。


「ミカエルのしているのを邪魔する者達はわたくしが容赦しない」


「ならば戦うのみ。メグ」


 創造主の本の中にいるメグに呼びかけて、私の小説に実在するキーレンド山の麓にたどり着いた。


 臼井は私の目の前にいる。


「リリン」


 刀になってくれとアイコンタクトをとる。


「分かっておる」


「凜にミレイ」


 凜に刀となったリリンの強化の為に大釜になってくれとアイコンタクト、さらにミレイに靖子さんの弓となってくれとアイコンタクトをする。


 私は跳躍して大釜を臼井に振りかざした。

 だが指一本で受け止められてしまった。

 本当にリリンの言う通り、死神の攻撃が利かない。


「座敷わらしがいなくなったお前達に勝てる見込みは0%だ」


「死神の攻撃が利かないなんて」


「私は神にそう作られている。ましてや死神の攻撃など皆無に等しい」


「死神キラーか何だか知らないが私達は負けるわけにはいかない」


 もう一度奴の懐に入り、死神の大釜を鳩尾に入れた。


「うおおお」


 さすがに鳩尾は利いたみたいだ。

 伊達に魂向上させた事だけはある。


「人間と死神の力は感服した。だがお前達もここで終わりだ」


 ドスグロいオーラを地上から放ち、それでも私達に攻撃を仕掛けるつもりだ。


 両手からドスグロい波動を放ってきた。


 私と靖子さんはすかさずによけて、その隙を逃さずに、私は跳躍して臼井の眉間にさらに靖子さんは同じように眉間に矢を放った。

 思い切り入ったが、やはり死神の力は奴にはあまり効果はないらしかったが、それでもダメージは与えられた。


「おのれ~小癪な真似を」


 また地面からドスグロいオーラがわき起こり、両手を前に掲げて、先ほどよりも強いオーラを感じる。

 これをまともに食らったらまずい。


 またさらによけて、また同じように奴の眉間に大釜を刺して、弓を放つ。


 また大ダメージを与えた。


「ふっふっふっ」


「何がおかしい」


「お前達は死神がいなければ何も出来ない」


 何だろう、弱点である眉間に攻撃を加えたと言うのに、奴のパワーは増すばかりだ。


 そこで靖子さんが「こいつ私達のリリンちゃんや凜ちゃんやミレイちゃんのパワーを吸収しているんじゃない」


「その通りだ、死神のパワーを吸収できる力をわたくしは持っている。だから観念して、お前達の死神を手放し、わたくしに退治させて貰えればお前達の事は見逃してやる」


「ふざけるな!」


 そう言ってまた眉間を狙い、靖子さんの矢も眉間に狙った。


「はっはっはっ、わたくしに力を与えてくれるのですか?」


 臼井の力が増していく。


 そこでリリンが「奴に我らの力を渡し続けるのじゃ」


「そんな事をしたら奴の思うつぼじゃん」


「我らに得策がある。じゃから我らの力を奴に渡し続けるのじゃ」


「分かったよ」


 死神の大釜を奴に向けて黒い波動を討ちはなった。

 靖子さんも同じように死神の弓から波動を放った。


「力が、力がみなぎってくる」


「もっとじゃ、もっともっと奴にパワーをくれてやるのだ」


「リリン本当にこれで良いのか?」


「良いから我らの力を奴に与え続けるのじゃ」


「ち、ち、力が、がはっ」


 臼井が爆発した。


「何が起こったのだ?」


「愚かな奴よ、パワーを吸い続けて、その力に耐えきれなくなったのじゃ」


 どうやら戦いに勝ったと思ったが、臼井はゾンビのような形で残っていた。


「ち、ち、力が・・・」


 リリンと凜は元の姿に戻り、靖子さんが持つ弓のミレイも元の姿に戻っていた。


「た、た、助けてくれ」


 とゾンビと化した臼井は懇願する。


「後は時間の問題じゃ。奴はここで自滅する」


 何て愚かな生き物なんだと私は臼井の事を何とかしてあげたい気にもなった。


「リリン、奴を創造主の本とペンで助けてあげられないかな?」


「正気かお主、奴はミカエル側に回った奴で我らの事を殺そうとしたんだぞ」


「確かにそうだけど」


「蘇らせれば、また我らの敵と回ってくる」


 私は葛藤する。助けるか?それともリリンの言うとおり、奴をここで野放しにして死を待つことを願うのか?


「リリン、創造主の本とペンを出してくれ」


「どうなっても知らぬぞ」


 リリンは創造主の本とペンを私に差し出してくれた。


 私は創造主の本に綴った。


『敵であった臼井を蘇らせてくれ』


 と。


 するとその願いは叶ったのか?臼井はみるみる元の姿に戻っていく。


 元の姿に戻った臼井は、「わたくしを元の姿に戻してくれたのか?」


「そうだよ。だからこれからは死神キラーとして生きるのではなく普通にまっとうな生き方をするのだな」


 そこでリリンが「何じゃ、この得体の知れないパワーは?みるみる我らに漲ってくる。どうやら神はお主の好意を認めたそうじゃ」


「神が私を認めた?」


「そうじゃ、お主のような純粋な力が明るいパワーに漲ってくれたのじゃ」


「ふっふっふっ、愚かな奴らよ。一度蘇らせたからと言ってお前達に危害を加えないと思ったのか?」


 臼井を蘇らせた事に私はひどく後悔してしまった。


「わたくしを蘇らせて後悔しただろう。わたくしは死神キラーの臼井、もう一度勝負だ。今度はこちらから参るぞ」


 そこでメグが現れて、「そうはさせないよ。今度は僕が相手だ」


「リリン、メグがまた戦ったら、ミカエルに聖なる力がやどってしまうんじゃないかな」


「分からぬ、でももう我ら死神には死神キラーの臼井を止める事は出来ぬ」


 メグは死神じゃない吸血鬼だ。

 それにメグを戦わせたらミカエルに聖なる力を与えてしまう。


 メグは死神キラーの臼井を一発で倒した。

 気絶する死神キラーの臼井。

 こいつは死神の力の前では死神の力を手にして強敵であったが、それ以外では弱いと分かった。


 するとメグは「心配はいらないよ、創造主で助けた相手なら、ミカエルに聖なる力は手に入らない」


「そうなのか?」


「それにメモリーブラッド三巻が発売されて、私は聖なる力ではなく明るい力を糧とすると書いてある。だから僕が今度力を貸して欲しいときは創造主の本で呼んでくれたまえ」


 そして気がつけば、鹿児島駅の改札口にいた。

 しかも死神キラーの臼井もいた。


 臼井が気がつき「おのれ~わたくしは死神キラーの臼井だ」


 と襲いかかってきたが、こいつは死神以外の攻撃を糧とするしか脳が無い事を知っているので、私は奴の鳩尾に一発入れて、気絶させた。


「こいつは死神以外の敵では力を持つことの出来ない、雑魚そのものだな」


 そこで靖子さんは「いっそここで殺しておいた方が良いんじゃないの?」


 そこでリリンが「それは奴らの思うつぼじゃ、大丈夫じゃ小奴にはもう我らにどうする事も出来ない。ほっといておけば良い」


「そうだね」


 私達は改札口を出て、勝利の余韻に浸っていた。


「リリン達が恐れていた死神キラーを倒したね」


「そうじゃな、一時はどうなるかと思ったがのう」


「でも恐ろしい相手だったね」「どうして雅人お兄ちゃんはあいつを蘇らせたの?」


「何か奴が不憫に思えてさあ」


 そこで靖子さんは「優しいんだね。雅人さんは」


「そうかな?」


 優しいと言われると何か心がモヤモヤとしてくる。


「雅人よ。そんなに優しいと呼ばれるのが嫌か?」


「嫌じゃないよ」


 と嘘をついた。

 

 するとリリンのすました目から、私の魂をのぞいているのか、後でその事でリリンと語り合う事になるかもしれない。


 私は優しい人間じゃない。


 そこで靖子さんは「みんなお腹すかない?」


「また昨日みたいに色々食べれるところが良い」「食べ放題最高」


「待って、調べて見るわね。それとわらしちゃん、大丈夫?」


 わらしの心配をする靖子さん。


「あたしは大丈夫だよ。それよりもお腹空いた」


「はいはい、今調べているからね」


 こういう時こそ靖子さんはあてになる。


「ふむふむ調べてみたところ、食べ放題の安い店が見つかったわ」


「本当に」「いっぱい食べるぞ」


 凜とミレイは食べる気満々に言った。


 その食べ放題がある店は、鹿児島駅徒歩五分の所にあった。


 たどり着いて、大人が千円で中学生以下は六百円となっている。


 品の良い店員に「いらっしゃいませ」と言われて私が「六名です」と言ったら品の良い女性店員は私達を六名座れる席へと案内された。


「凄い、お肉がいっぱい」「食べるぞ」


 凜とミレイはかけだして、お皿にこれでもかと言うくらいにお肉を盛っていった。


 やれやれと私は二人の事を遠くで見守っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ