救いようもない人間にも夢を持つ事を出来ることを信じて
大釜を構えてラファエルに立ち向かった。
幾千の地面に突き刺さった槍を放つラファエル。
するとラファエルが分身して、二人のラファエルが私に槍を投げつける。
さすがにこれはやばいかもしれない。
歩み寄ることも出来ずに防ぐので手いっぱいだった。
そしてラファエルは三人四人と分身を続けて、もはや防ぐので手いっぱいだった。
「何だこいつはそんな技が出来るのか」
すると靖子さんの矢が飛んできて、四人になったラファエルに全員に矢が刺さった。
もがくラファエル。
「くっもう一人いたか」
四人のラファエルは矢を引き抜き、凄い勢いで回復して、同じように槍を四人係で放ってくる。
「靖子さん、もっと矢を」
「分かっているわ」
靖子さんは矢を放つ。
だがラファエルは「同じ手が通じると思っていたのか!」
矢を槍で弾きとばされて、槍が靖子さんの方へ向けられた。
靖子さんが危ない。
だが靖子さんは弓で槍を防いでいた。
良かった自分で槍を弾き飛ばせるのか。
「私もパワーアップしたところを見せて上げるわよ」
靖子さんの矢は同時に六本の矢を放つことが出来る。
これも凛とミレイの恩恵か。
靖子さんが矢を放ち、四人のラファエルに刺さった。
「今よ雅人さん」
しばし動けなくなるラファエルにリリンと凛の大釜で一人のラファエルに攻撃を仕掛けた。
そして二人三人四人と攻撃を仕掛けた。
「またもややられるとは、だが今度あった時がお前達の最後だ」
キーレンド山の麓から消えるラファエル。
リリンと凛が融合した大釜は元に戻り、リリンと凜が姿を現す。
靖子さんの方もわらしとミレイと融合した弓から元のわらしとミレイに戻った。
「お主達を味方につけておいて正解じゃった」
「えへへ僕達もやるときはやるよ」「僕達はもうみんなのソウルメイトだもん」
「ソウルメイトか良い響きだ。凜とミレイよ、良くやってくれた。お主達がいなければ我らは敗北していた」
「でしょ。僕達もやるときはやるよ」「雅人さんと靖子さんの暖かい魂を感じて僕達は強くなれた」
「これからもお主達よ、よろしく頼むぞ」
聖なる力と邪悪な力が奴らの源。
聖なる力とは正しさ、邪悪な力はやましさから生まれる。
これからは小説を書く時は明るい魂のテーマにして書いていった方が良いかもしれない。
そう思っていると、メモリーブラッドの主人公のメグが現れて、「さて戻りましょうか」
「うん。そうしてくれ」
戻った場所は宮崎行きの電車の中だった。
電車からアナウンスが流れる。
『申し送れました人身事故が起きまして、ただいまその処理を行っています。発車まで少々お待ちください』
「リリン、人身事故って、これは奴らの仕業なのか?」
「分からぬ、もしそうであったら、奴らのエネルギーの源である邪悪なパワーが増すであろう」
「そんな事よりも被害に遭った人はどうなるの?」
「・・・」
リリンは目を閉じて黙り込む。
関係のない人達を犠牲にしてまで連中は私達に攻撃しても構わないと言うのか?
リリスやアケミ達よりも恐ろしい連中だ。
でも私達は創作活動の旅を終わらせる気はない。
「リリン。この明るい魂で人身事故に遭った人を助けるよ」
「何を言う、そんな事をしたらせっかく貯めた明るい魂が減り、奴らがそこを狙ってくるぞ」
「そんな事を言っていられないよ。もう私は我慢できない連中の思い通りに何てこれ以上させない」
「雅人・・・」
「さあ、貸してくれ創造主の本とペンを」
「仕方がないのう。どうなっても我は知らぬぞ」
リリンは創造主のペンと本を召還した。
そして私は本に書いた。
『人身事故でなくなった者を蘇らせてくれ』
と。
すると車外が騒然となった。
私達は電車の窓を開けて見てみると、人身事故でバラバラになった遺体が元の姿に戻っていく。
そして被害者は「俺は生きているのか?」
両手を見つめて複雑そうに言う。続けて、「どうして俺を殺してくれないんだ」と救いようもない言葉を発する。
それを見た私は愕然とした。
奴らは端から救いようもない奴を選んで、この人身事故に巻き込んだ事が分かった。
本当にリリンの言うとおり、明るい魂の無駄遣いだと感じた。
自分がやった事に対してひどく私はショックした。
すると靖子さんが私を抱きしめた。
「雅人さんは間違っていないわ。あのような人でも生きていれば、死にそこなった雅人さんのように夢への扉を開いて歩んでいくわ」
そうだ。私も青木が原樹海で死を覚悟して、自殺しようとした。それでリリンに助けられ、夢への扉を開きこうして小説を描いている。
私は悲しみで流れた涙を拭いて、「創作活動をしよう。リリン、凜、ミレイ魂を共有するんだ。そしてわらし、御幸を私達に浴びさせてくれ」
リリンが「本当にお主はおもしろい奴じゃのう」
私達は創作活動に打ち込んだ。
本当に創造主の本とペンを使って、明るい魂が弱まってしまったが、すぐに挽回してやると躍起になれた。
私はメモリーブラッド四巻を明るい魂をテーマにして、描く事を決意した。
この世に救いようのない人間だっている。
その逆で、夢の道を歩んで楽しく人生を送る者もいる。
それでも私は小説を書き続ける。
この活字離れした世の中でも、一人でも良い、私の小説を読んで、生きる糧となってくれれば。
私はポメラを開いて、メモリーブラッド第四巻の制作に入った。
靖子さんは私が書いたキャラクターのイラストを描いている。
何だろう、凄いパワーがみなぎってくる。
私が創造主に選ばれようがそうでないかは関係ない。
確かにこの世には救えぬ魂も存在する。
でもリリンの言う通り、私達は神の子であり、神そのものでもあるのだ。
その事を伝えたい。
私の小説に込めて、一人でも良いから私はそう願う。
私自身の為になる事はいずれ誰かの為になる事だと思っている。
私は自分の為に小説を描いている。
だから私は負けない。
さっきの人身事故で亡くなった救いようも無いものでもいつか夢の扉が開き歩み続けるだろうと思っている。
本当に私の頭はおめでたいのかもしれない。
そうだよ。私の頭はおめでたいんだ。
それも否定はしないよ。
電車が再び走り、私達は創作活動をした。
始めた瞬間に明るい魂が減っている事に気がつき、私は行き詰まってしまった。
でもリリンや凜とミレイとわらしと靖子さんを見て、気を取り戻した。
とにかく書いて書いて書きまくって、明るい魂をどんどん創造主の本とペンにいれ、私達の魂向上に向けて活き込んだ。
奴らミカエル達は私達人類を滅亡させようとしている。
私達はそんな事はさせないと創作活動をして明るい魂を収得するんだ。
私は感を取り戻して再びいつもの調子を取り戻した。
創作活動はやはり楽しい。
その楽しく明るい魂を私達はかき集めて、ミカエル打倒に打ち込むのだ。
時間はすぐにたち、宮崎駅に到着した。
宮崎にも健康ランドは存在するのか、調べてもらったところ、靖子さんはあると言っていた。
「僕達お腹が空いたんだけど」「腹が減っては戦は出来ぬって言うし」
凜とミレイがそれぞれに言う。
リリンが「そうじゃのう我も腹が空いたぞ」
そういわれると私までお腹が空いてきた。
「靖子さん、もう夕方だから、私達朝から何も食べていないじゃん。みんなの言うとおり、どこかおいしいお店で何か食べられないかな?」
「使用がないわね、私もお腹が空いていたから、どこか安いお店でも探しましょう」
やった。節約癖の靖子さんの許可を得た。
「宮崎で安い店は?・・・」スマホで安い店を検索して、一人千円で食べ放題の店を見つけた。
私達はそこに向かい、宮崎駅から歩いて五分のところにある。
早速その店に入り、店員が「いらっしゃいませ」と言って私達を招いてくれた。
「何名様でしょうか?」
「六名で」
「六名様で」
私達六名が座れる席に案内してくれた。
辺りを見渡してみると、食事はバイキング形式で、肉や野菜などが盛りつけられた物が大きな器に盛りつけられている。
席に座って待っていると、店員がやってきて、「大人は千三百円でお子様が七百円となっております」
そこで靖子さんは「じゃあ大人二名に子供四名で」
「かしこまりました。ここはバイキング形式なのでご自由にお取りください」
凜とミレイは立ち上がり、肉をたくさん積んで戻ってきた。
「そんなお肉食べられるの?食べられなかったら罰金を取られるのよ」
「大丈夫みんなで食べれば良いんだから」「そうだよそうだよ」
凜とミレイは嬉しそうにお肉を焼いていく。
テーブルの中央に鉄板が置かれていて、油を敷いてお肉を焼いていく。
「どんどん焼こうよミレイ」「そうだねなんせ食べ放題なんだからね」
二人は豪快にも肉を焼いていく。
「ちょっと二人ともいっぺんにこんなにお肉を入れたら均等に焼ききれないでしょ」
「大丈夫」「任せて」
二人は均等に肉を焼けるように手から炎を出した。
「これでお肉が焼けた」「僕達は山で住んでいたからウサギなどを刈って、こうして食べたものだよ」
二人の言う通り、肉は均等に焼けている。
「さあ、食べてみてよ」
私と靖子さんとリリンとわらしは二人が焼いた肉を箸で摘んで食べた。
「悔しいけどおいしいわね」
と靖子さん。
二人の言うとおり私もおいしいと思わず言ってしまいそうな程だ。
そこでリリンが「お主たちは山に住んでいたのか?」
「うん人里離れた山に住んでいた」「人間が近づけないところに」
二人は何か事情があるような面もちで私達に語ってくれた。
「人間は勝手な生き物だよ」「そうだよ。僕達はいっぱい人間の手助けをしたのに、用が無くなったら、捨て犬みたいに見放して行くんだから」
「お主達、その話を後で聞かせてくれぬか?」
リリンが興味深そうに聞きたがっていた。
「良いよ。いくらでも話して上げるよ」「とにかくこんなお肉が食べられるなんて久しぶりだよ」
二人が楽しそうに肉を頬張る中、私も二人の話に興味を抱いた。
確かに人間は勝手な人間もいる。
二人の過去にどんな事情があるのか私も聞きたかった。
でも今は食事の最中だから、ここで腹ごしらえをして置かないとな。
節約癖の靖子さんが許してくれたバイキング形式で食べられるなんて滅多と無いぞ。
「二人とも、野菜も食べないとダメよ」
と靖子さんは野菜をとってきてくれた。
「分かっているよ」「私はピーマンぐらいは食べられるけれど」
靖子さん鉄板にピーマンや人参、タマネギなどを入れた。
二人は以外にも靖子さんが焼いた野菜も食べ始めている。
「僕達は食べ物を粗末にしたりしないよ」「僕もそうだよ」
「偉い偉い」
と靖子さんが二人の頭をなでた。
「そうかな偉いかな?」「僕達は当たり前だと思っている」
私もそう思った。二人とも偉いと。
私達はお腹いっぱいにして、バイキング形式のお店を出た。
「あーお腹いっぱいだ」「本当だね凜、この人達今までの人間とは違うみたいだよ」
そこでリリンが「さて宮崎にも健康ランドの送迎バスがでているのじゃろう。早くそれに乗って、凜とミレイの話が聞きたい」
「良いよいくらでも聞かせて上げるよ」「人間は汚いってね」
人間は汚いかあ、確かにそれは頷ける。
私達は宮崎の健康ランドに行くために宮崎駅でその送迎バスを待った。
そして送迎バスは来て、私達は宮崎の健康ランド狸猫に到着した。
まずは脱衣所で私はリリンとそれと靖子さんは凜とミレイとわらしをつれて女湯に入っていった。
リリンとお風呂に入り、互いに体を洗ってお湯に浸かった。
「リリン、あの二人の経緯、聞いてみたいね」
「ふむお主もそう思っておるか?我もそう思っておる」
今日は月曜だからか、あまり人はいないが、リリンは注目の的となっている。
その度に『何を見ているんだよ』と言うような視線を送り、リリンから目を逸らさせた。
お風呂から出て、着替えをすましてフードコートに向かうと、今日は珍しく靖子さん達が先にいた。
「お主等、靖子に粗相はしておらぬだろうな」
「していないよ」「僕達がまるで学習能力のない死神のような事を言わないでよ」
二人は弁明する。
「靖子よ、この二人の言っていることは本当か?」
「本当よ、またいらずらしたら、リリンちゃんに言いつけるからと言ったら、素直に聞いてくれたわ」
「そうか、じゃあ、二人ともお主等の経緯を教えてくれぬか?我はお主達の経緯に興味がある」
「聞いたってあまり面白くないよ」「そんなに聞きたいなら教えてあげるよ」




