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死神様  作者: 柴田盟
第2章南へ。
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ラファエル再来

 買い物も済んだことだし、六人で健康ランドに向かった。


 丁度熊本駅では健康ランド狸猫の送迎バスが通っていた。


 今日は休日だから、割と健康ランドに行くお客が多い。


 健康ランドに到着して、脱衣所で凛とミレイを女性の靖子さんに任せることにした。


「どうしてリリンは女の子なのに男湯の脱衣所に行くの?」「何か不思議だね。変態ロリコンおやじの注目の的になりたいのかな」


「お主等、それ以上言うと、殺すぞ」


 リリンは真っ赤な瞳を凛とミレイに睨みつけ、二人は「ごめんなさい」「そんな事はないよね」


 そこで靖子さんが「はいはい、とにかく二人は私とお風呂に入りましょう」


 リリンを怒らせると怖いことを改めて知った。


 早速リリンと私は裸になり、体を洗って、男湯の温泉に入った。


「やはり、健康ランドのお風呂は最高じゃのう」


 長く繊細な髪を結ってリリンは入っている。


 今日は休日だからお客の数が凄い。


 それに凛とミレイの言うとおり、リリンは変態おやじかどうかは分からないけれど、注目の的になっている。

 いや本当に変態ロリコンおやじはいる。

 その証拠にリリンの方をちらちらと見ている者がいる。

 私はそんな輩に『何を見ているんだよ』と眼をとばした。

 すると大人しく目をそらしてくれた。


「どうやら凛とミレイの言うとおり、変態おやじは存在しているな」


「リリン、今度から女湯に入ったら?」


「何を言う、雅人と我は魂を向上させる仲じゃ、我は変態おやじにすけべえな目で見られる事くらいは気にならぬ」


 温泉に浸かって、私達は男湯の脱衣所で服に着替えて、いつものフードコートで四人を待つことになった。


「遅いのう、靖子達は、凛とミレイの事でてんわやんわになっていなければ良いが」


 そして靖子さん達はフードコートにやってきた。


 靖子さんは疲労困憊な感じだった。


「どうしたの靖子さん、凄い疲れている感じに見えるけれども」


「ええ、凛ちゃんとミレイちゃんにちょっと」


 そこでリリンが立ち上がり「二人とも何をしでかしたのじゃ?」少し怒気が伴っていた。


「いや、その、別に」「何でもないよ」


「じゃあなぜ、靖子は疲れた顔をしておるのじゃ?」


「良いのよ、リリンちゃん、別に悪気があってやった事じゃないから」


「靖子の言う言葉だと、大分粗相をしたようじゃな」


「いや僕達は別に・・・」「そうそう温泉で泳いでいただけだもん」


 リリンは大きなため息をついて、「お主等、今度そのような事をしたら仕置きじゃからな」


「「わかりました」」


 二人は反省しているみたいだ。


「それよりも雅人よ、創作活動に小奴らにも魂を向上させてはくれぬじゃろうか?小奴らにも魂を向上させれば、ミカエル打倒の力になる」


「別に良いけれど、二人は大丈夫なの?」


「魂向上って何をすればいいの?」「僕達には分からないよ」


 二人はあっけらかんだ。


「とにかく靖子、雅人よ、創作活動をしてくれぬか?」


 私と靖子さんは同時に頷く。


 早速ポメラをだし、靖子さんはスマホを取り出す。

 わらしの後光で私達が創作活動をしていると、リリンとその他にも凛とミレイの魂が感じることが出来た。


「何だろうこれ」「凄く気持ちが良い」


 本領も発揮できた事だし、私はポメラでいつも以上の力を発揮することが出来た。


「その調子じゃ、そうやって魂の向上を目指すのじゃ」


 ちらりと靖子さんの方を見てみると、靖子さんも本気で魂向上に創作活動に意欲を示している。


 私も頑張らなくちゃ。


 魂向上の創作活動はすぐに時間がたってしまう。


 すると靖子さんがあくびをして、「そろそろ今日の創作活動はこれぐらいにして、明日にしましょう」


 時計を見ると次の日を回った零時十五分を示している。


「そうだね。また明日、創作活動をしよう」


 そこでリリンが「そうじゃな、また明日創作活動をしよう」


「気持ちよかったね凛」「そうだねミレイ」


 二人は満足げに語り合っている。


 そろそろ寝ることにして、私とリリンは私と同じ男性用の寝室に入り、靖子さんは凛とミレイとわらしを連れて女性用の寝室に入っていった。


 男性用の寝室で私とリリンは語り合った。


「凄いね、あの二人のおかげでいつもより、小説を書く力が沸いて出てくるよ」


「そうじゃろうそうじゃろう」


「だったらもっと死神の人を増やして創作活動の意欲を魂向上に繋げれば良いんじゃないかな?」


「それは出来ぬ相談じゃ。それに容量オーバーじゃ」


「だったら私と同じ小説を書く人物と友達になって、みんなで力を合わせてミカエルに立ち向かうのはどうかな?」


「それも出来ぬ、お主は想像主に選ばれし存在、想像主に選ばれる者はこの世で一人しかおらぬ。

 それにこれ以上は死神は増やす事は出来ぬ」


「そうなんだ」


「そうじゃ。あの二人が出した魑魅魍魎達を聖なる力で一掃させたのは間違いじゃった。お主も感じたであろうミカエルの力を」


「うん。確かに」


「本当はあの二人を殺してやりたかったが、ここは手を結んどいた方が良い。ミカエルに立ち向かうにはあの二人の魂向上も必要じゃ」


「そうか」


「そうじゃ」


 どうやらリリンは凛とミレイの事を好ましく思っていない。

 私の理想はあの二人も併せて家族として、この旅を続けたい。


 そんな事を思っているとリリンが「安心せい、我はあの二人のことを不本意だがソウルメイトと思っている」


 私の落ち込んだ魂を見たのか?リリンはあの二人をソウルメイトと言ってくれた。


 それだけでも私は安心した。


 リリンは眠っているようだ。魂の色が眠った色に染まっている。

 私もリリンと寄り添って眠った。





 ******   ******




 ソウルメイトって何だろう?

 それは切っても切れない縁。

 私は理想以上の物を手にして、いてもたってもいられなかった。


 朝起きると、午前七時を回っていた。

 リリンは眠っている。

 早速起こそうと思ったが、リリンの寝顔がかわいくてしばらく見つめていた。


 私に幸せの在処を示してくれたリリン。

 いつまでも私のソウルメイトとしていてくれたらな。

 そう言えば今日は私の小説メモリーブラッド第三巻が発売される日だ。

 後でネットでダウンロードして見てみよう。


 そしてリリンを起こして、朝風呂に浸かって、靖子さんが凛とミレイに手をやいていないか心配だった。


 いつもは私達が待たせているのに、靖子さん達は何をしているのか?

 私とリリンはロビーで待っていた。


「あの二人、また靖子に手をやかせておるな」


「まあ、元気が良くて良いこと何じゃない」


「でもまあ、ミカエル打倒にあの二人は必要不可欠だ。我らの力を強める為にも」


「それよりも、リリン今日がメモリーブラッド第三巻が発売される日だ」


「ふむ、内容を読ませてもらったが、あれはいい出来だった」


「リリンもそう思う?」


「当たり前じゃ、我の魂がそう言っておる。それにわらしの御幸を浴びて良い作品になったと思う、後でダウンロードして確かめてみたらどうじゃ」


「うん。そのつもりだよ」


 何てリリンと二人で会話をしている時、靖子さんは疲れた表情をしてわらしに凛とミレイをつれて女湯の脱衣所から出てきた。


「靖子さん大丈夫だったあの二人は」


「もう大変だったよ。お風呂から出たときに体も拭かないで出てきて、掃除のおばさんに怒られちゃったよ。お宅の娘さん達は、躾がなっていないわね何て言われちゃって」


 それを聞いたリリンは、「凛よミレイ、あまり靖子を困らせるでない」


「別に困らせている訳じゃないけれど、まだ人間界のルールが今一分からなくて」「そうだよ。塗れたままお風呂から出たらおっかないおばさんが僕達に怒鳴り込んできてさあ」


 ため息をつくリリン。続けて「靖子よ今日は雅人とお主が書いたメモリーブラッド第三巻が発売される日だ。我らはダウンロードするがそれで良いか?」


「もちろん。第三巻も良い出来になっていて、また私達の魂向上が伺える」


「そうじゃ、お主達の小説を読んで我らの明るい魂に灯がともる。そうすれば以前魑魅魍魎達を呼び出し、メグが聖なる炎で焼き付くした事がちゃらになる」


 そこで私が「そんなもんなの?」


「お主、雅人は疑い深いのう」


「疑っている訳じゃないけれど・・・」


「疑っていないならなんなのじゃ?」


「とにかくダウンロードしよう」


 私達は熊本の健康ランド狸猫から出て、送迎バスに乗り、熊本駅に到着した。


 熊本駅周辺を見渡して電子書籍となったメモリーブラッド三巻をダウンロードした。


 ダウンロードの数を見てみるとリリンの予想通り私達の電子書籍は売れていた。


「凄いよリリン、本当に僕達の電子書籍が売れている」


「じゃから言ったじゃろう。お主達の本は売れて我らの明るい魂は向上すると」


 とりあえず、問題はないか電子書籍で描かれた私が書いたメモリーブラッド第三巻を見てみた。


「自分の小説を自分でダウンロードして買うのか?」


 リリンに言われて、「とりあえず問題はないか調べておこうと思って」


「お主も用心深いのう。さて今日はどこに向かう?」


「宮崎に向かおうと思う」


 靖子さんが宮崎について調べた。


「宮崎には宮崎牛レタス巻き、釜上げうどん、チキン南蛮などが有名らしいね。

 とにかく九州の南の方は田舎ばかりだね」


「田舎でも何でも良いよ、田舎でも小説もイラストも描くことは出来るでしょ。それにまた健康ランドに泊まろう」


 私達は熊本駅のホームに向かい、いざ宮崎へ。

 宮崎行きの電車に乗り私は創作活動は置いといて、先ほど買った自分が書いたメモリーブラッド第三巻を見ていた。


 読み終わったとき、今度は何かしらの邪悪な根元は無いように思えた。

 

「フー」と息をつき、靖子さんが「メモリーブラッド第三巻はどうだった?また悪い人に改ざんされてないよね」


「その様子はないと見た。靖子さんも読んでみる、私と靖子さんの小説を」


「そうさせてもらおうかしら」


 何となく外を見て九州は本当に南の方は田舎だと思った。流れる景色を見て畑と民家ばかりだった。そう言えば私はこうゆう所に住んでみたいと思っていたっけ。


 メモリーブラッド第三巻は無事に発売されて良かったと思えた。


 さて宮崎までまだ時間はあるから、私達の魂向上のためにメモリーブラッド第四巻を書くことにしよう。


 ポメラを開いてリリンが「ようやく書く気になったか雅人よ」


「とにかく魂向上のために書かないとね」


「僕達も魂向上為にリリンと共に寄り添うよ」「私も」


 二人もノリノリだ。


 よし描いて魂向上でミカエルの聖なる力に負けない明るい魂を向上させるぞ。


 正しさが聖なる力を発して、楽しさが明るい力を発揮する。

 私達が力にしているのは後者だ。

 私達はミカエル打倒に向けて、この世界を救うのだ。


 そろそろ宮崎の駅に到着だ。

 すると電車がいきなり急停車した。

 私達はその衝撃で座席から倒れ落ちた。


 そこで創造主の本からメグが現れて、「大変よ。ラファエルが力を増してあなた達に戦いを挑んできたわ」


「じゃあ、早速本の中に奴をお引き寄せるのだ」


 キーレンド山の麓にラファエルはいた。


「待っていたぞ。お前達、貴様等の聖なる力はミカエル様も私もいただいた。今度こそお前達の最後だ」


 ラファエルから聖なる光が放たれる。

 すごい力だ。私達が相手に出来るのか?


「リリン」


 剣になってくれとアイコンタクトをする。


「分かっておる」


 リリンは剣になってくれた。


「僕達も力になるよ」「僕達の責任でもあるしね」


 二人はメグに聖なる力を使わせた事に自覚があることが分かった。


 凛がリリンの刀に融合して、剣から大釜へと変化した。

 ミレイは靖子さんの弓に融合して、金色の弓矢に変化した。


 何だろう凄い力が増してくる。

 

 これが凛とミレイの力か。


 ラファエルが天から幾千の槍を降らして、それらを地面に刺して「行くぞ創造主に選ばれし者よ」


 ラファエルは幾千の槍が刺さった槍を私達に向けて投げた。


 以前のラファエルとは違う。


 スピードも破壊力も。


 でもこちらも凛とミレイの力があり、引けはとらない状況だ。


 ラファエルは素早く移動しながら幾千の刺さった槍を私達に投げつける。


 私は槍を防ぎながら、ラファエルの方へと歩み寄っていく。


「貴様等もパワーを増したようだな」


 ラファエルが言う。


「私達は負けるわけには行かないのだ」


「そうやって強がっているのも今の内だぞ」


 そうだ。私達は明るい魂を向上させラファエルに立ち向かっている。

 私達は負けるわけには行かないのだ。


「行くぞラファエル」


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