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死神様  作者: 柴田盟
第2章南へ。
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イメチェン

 健康ランドの入り口付近で靖子さんとわらしが待っていた。


「お待たせ。待った?」


「そんなには待っていないけれど」


「そこで靖子さん折り入って相談があるんだけど」


 私は相談の内容を靖子さんに伝えた。


「えっ?スーパーで服の買い物をしたい?」


「ダメかな」


「ダメに決まっているでしょ。節約しないといけないし」


「ついでに靖子さんの服も買っておきたくない?」


「私はジーパンとTシャツで十分よ」


「靖子さんの若いうちにもっと素敵な服を着てもらいたいのもあるし、それに靖子さん美人だから」


「私が美人!?」


 靖子さんはボブカットでいつも丸い縁のないメガネをかけている。本当に靖子さんはそのままでもかなり美人だがおしゃれをしたらもっと美人になると思っている。


「私が美人だなんてそんな~」


 両頬を手に添えて真っ赤になっている靖子さん。もうひといきで服の買い物を説得出来そうだ。


「そうだよ。私達は新婚なんだよ、本当だったらもっとかわいい靖子さんを見てみたい」


「しょうがないわね、一人一着までよ」


「靖子さんはコンタクトはしないの?」


「雅人さんはメガネの女性は嫌?」


「嫌じゃないけれども、靖子さんはメガネを取るともっと綺麗になると思っていたんだ」


「綺麗だなんてそんな~」


 照れくさくなったのか靖子さん思い切り僕の肩を叩いた。

 正直痛い。


「じゃあ、今日は福岡のスーパーでお洋服のお買い物をしましょう」


 女の人っておだてられると調子に乗っちゃうのかな?でも正直今のジーパンにTシャツでボブカットで丸縁のないメガネ姿の靖子さんはかなり良い線を言ってるような気がしている。


 早速福岡のスーパーに行き、まず私達は子供服売場に向かった。


 私はリリンの似合う服を見て、靖子さんがわらしの似合う服を見ている。


「リリンはやっぱり、ワンピースが似合うかな?」


「なら、今のままで充分じゃないか?」


「ん?じゃあ、この赤色のワンピースなんてどう?」


 ハンガーにかかった赤色のワンピースをとり、リリンに見立てる。


「ふむ、赤は目立ちすぎないか?」


「大丈夫だって凄く似合うはずだから、とりあえず試着してみてよ」


 リリンを試着室に入れ、着替えさせること数分、リリンはカーテンを開けて、赤色のワンピースを試着した。


 それを見て私は胸がときめき「似合うよリリン、やっぱり赤色のワンピースも似合うよ」


「そうか?ちょっと派手すぎないか?」


「充分に似合っているよ、

 店員さーん」


「はーい」


「この赤いワンピースを一つお願いします」


「あら、かわいいお子さんですね。その赤いワンピース凄く似合っていますよ」


「ふむ、そうか?」


「これ一着いくらします?」


「二千九百八十円です」


 お手頃の値段だ。

 私はクレジットでそれを買った。


「これでリリンの分はOKね」


「ちょっと派手すぎるんじゃないかと思うんじゃがのう」


「いいや、とても似合っているよ」


 そこで靖子さんがわらしの服を選ぶのを見に行く。


 靖子さんはわらしにピンク色のワンピースを着せて、「わらしちゃんかわいい」


「さわやかなピンクじゃな、我もああいう物が良かったかもしれぬ」


「あっ雅人さん、わらしちゃんにピンクのワンピースだけどかわいくない?」


「うん。似合っているよ。インナーはキャラ物にしておいたけれどもどうかな?」


「キャラ物?」


 するとわらしはスカートを巻く仕上げ、インナーはわらしの好きなプリキュアのパンツをはいている。


「わらし、そんな女の子がそんな事をしちゃダメだよ」


「ごめんなさい」


 素直なわらし。


「そうだよ。わらしちゃんは女の子だから、そういう事をしちゃメッよ」


「はーい」


 そこでリリンが「靖子、これって派手すぎないか?」


「とても似合っているじゃない。かわいい」


 とリリンに抱きつく靖子さん。


「暑苦しいぞ靖子」


「良いじゃん良いじゃん」


 そこで子供達の服は決まり次は私達大人の服コーナーに向かった。


「靖子さんのワンピース私が選んであげるよ」


「そんな、私がワンピースって柄じゃないと思うよ」


「女性は美しく綺麗な方が良いからね」


「私が美しくて綺麗?」


 顔をほころばせて、私を見る。


「そうだよ。靖子さんは美しくて綺麗だよ」


「そんな事を言われたのは生まれてこの方初めてだよ」


 本当の事を言ったまでだが、靖子さんはほめ言葉に弱い一面があることを結婚してから今知った事だった。


 そこで私が「靖子さんの服は私が選んであげるよ」


「じゃあ、お任せするよ」


 今は夏にかけて秋になりかけている時期から、夏物の服がセールで売られている。


「靖子さんに似合う服は、いやワンピースは?」


 そこでみたのが赤と白のストライプのワンピースに目がいった。


「靖子さんこれ、試着してみて」


「私がワンピースだなんて」


「良いから着てみてよ」


「はい」


 ちょっと渋々だったが私は試着室に入れて、試着させた。


 すると靖子さんは出てきて、白と赤のストライプの模様のワンピースに着替えた。


「凄いかわいいよ靖子さん」


「本当に?」


 すると靖子さんは私に抱きついてきた。


「ちょっと靖子さん。周りにも人がいるから」


「だんなにかわいいと言われて喜ばない妻はいないと思うよ」


 そうなんだよな。まだ私達は若いんだよな。今までリリスとアケミやサタンやらミカエルで苦労ばかりさせてばかりだからこんな一般の家族のような事をしてやれなかった。

 そう思うと何か罪悪感に苛まれる。


 そこでリリンが「雅人よ、そう自分を攻めるべき事じゃなかろう。靖子も我もわらしもみな、お主と一緒で楽しい旅をしているのだぞ」


 リリンには私の魂が見えるのでリリンに隠し事は出来ない。


 そうだ。私は落ち込んでいる場合じゃない。


 早速靖子さんに私が選んだ白と赤のストライプのワンピースを買ってあげたら、創作活動に移ろう。

 私は靖子さんやリリンやわらしが一緒にいて楽しいし、幸せを感じてしまう。

 私の物語の主人公のメグは言っていた。

 正しさよりも楽しさを選ぶべきだと。


 私は今日みんなと買い物が出来て楽しかった。


 そこで靖子さんは「それじゃあ、次は雅人さんのお洋服を選ばないとね」


「私はいいよ」


「ダメよ。みんな平等にしなくちゃ」


「だからいいって」


「ダメ。雅人さんの服を何でもいいから一着買いましょう」


 いいって言っているのに強引だな靖子さんは。


 早速男の大人が着るような、紳士服売場の方へ腕を引っ張られた。


「ああ、秋物の七分丈のTシャツがあるわ」


「秋物は高いから」


「それにエドウィンのジーパンなんかいいんじゃない」


「エドウィンは高いから。それに秋物のTシャツなんて」


「良いじゃない良いじゃない。とりあえず試着してみて」


 私は渋々試着室に入り、着替えさせられる。

 まいったな、こんな事になるなんて予想外だ。

 本当はリリンやわらしに靖子さんの服を選びに来たのに私がイメチェン何てとてもついていけないよ。

 この青い七分丈のTシャツだってかなりの値段だ。それにこの黒いエドウィンのジーパンだって五千円以上はする。

 とりあえず来てみて、鏡を見ると何かテンションがあがる。


「どう、雅人さん」


 勝手にシャッターを開ける靖子さん。


「ちょっと勝手にシャッターを開けないでよ」


 そこでリリンが「雅人かっこいいぞ」


 わらしが「パパかっこいい」


 二人にほめられて、何か照れてしまう。


 そして靖子さんが「かっこ良いじゃない。あなたが私のだんなで良かったよ」


 そういってくれると冥利に尽きる。


「店員さん、これをお願いしたいのですが?」


 私が着た服を見させてそういった。


「ありがとうございます。とってもお似合いですよ」


 店員さんまでそういいますか?


 実際の所、私の服にお金が一番かかってしまった。


 でも私もイメチェンしてテンションが上がり、三人も同じようだった。


「さて服無事買った所で創作活動を始めましょうか」


 私が言うと三人は賛成してくれた。少し気晴らしに服を買い、私達はテンションが上がっていた。


 早速喫茶店を探すとすぐに見つかり、外観は綺麗で中はお客が何人かいた。


 でも四人で座れる席があって私達は座って、早速創作活動を始めた。


 いつものようにリリンは私に寄り添い私の創作意欲の魂を直で感じている。

 わらしの後光もあってイメチェンした私達はテンションマックスで創作活動に意欲を示す事が出来た。


 この調子でメモリーブラッド第三巻を完結させるぞ。

 もう少しでメモリーブラッド第三巻が出来上がるが、ラストの方はどうすれば良いか悩みどころだった。


「フー」と息をつきメモリーブラッドの第三巻をどのように終わらせるか考えていた。


 物語の最後は次の小説を売るためにされる事だ。

 だから最後を書くには凄く考えさせられる。

 どんな内容にしようか、そこで天からインスピレーションが降りてきたように私はひらめいた。


 最後の内容が書けた。

 これなら一人でも多くの人に希望を与えられる内容になっている。


「靖子さん、メモリーブラッド第三巻が出来上がったよ」


「本当に?見せて見せて」


「今回も私の自信作だ。きっと靖子さんは素晴らしいイラストを描いてくれるはずだ」


 そんな胸をときめかせていると時間はたち、靖子さんは読み終わったそうだ。


「どうだった?靖子さん」


「最高だよ」


「本当に?」


「うん。じゃあ早速私が、この物語のイラストを描かせて貰うわ」


「お願いするよ」


「よっしゃー、それじゃあ、早速四巻目のメモリーブラッドを書きに行くよ」


 三巻目はトラブルが無いように前原さんにメールで原稿を送るんだった。


 靖子さんのイラストの出来次第で、メモリーブラッド第三巻の出来上がりだ。


 靖子さんは最大限のインスピレーションを働かせて、イラストを描いている。


 リリンはその魂を直に浴びて、魂を向上させさらにわらしの後光でインスピレーションを働かせている。

 私達は最高の家族だ。ソウルメイトだ。


 私も負けてはいられない、こんな楽しい時間を終わらせたくない。


「そうだよ。みんな楽しくやろうよ。その方がミカエルにも打ち勝ている力を手に入れられるのだから」


 そういうと靖子さんは「うふっ」と微笑んだ。


 よしじゃあ、メモリーブラッド第四巻を書きつづってやる。


 そして日は暮れて、みんなも疲れたから、また福岡の健康ランドに泊まって行こうと思う。


 今日も楽しい一日を過ごせた。


 今日はみんなのイメチェンとそれで創作活動がうまく行った。


 これならミカエルも倒せるかもしれない。


 やばいほど楽しい。こんなにワクワクしたのは何年ぶりだろう。


 福岡駅前に健康ランドの無料送迎バスがある。

 それに乗って私達はまた福岡の健康ランドに行った。


「くぅ~楽しいねえみんな」


「雅人よあまり調子に乗るでない」


「調子に乗りたくもなるよ。だってみんなと買い物をしてみんなで創作活動が出来て凄く幸せだよ」


「まあ、我々のパワーは楽しさにゆだねているからそれでいいのかもしれないが、ミカエルの奴何を考えておるか分からないのだぞ」


「そうだね。でも何か凄く楽しくて、テンションマックスって感じだよ」


 そこで靖子さんが「分かるな。私も楽しいよ。本当に雅人さんと出会えて良かったと思える」


「でしょでしょ」


 健康ランドに到着して、今日もここで泊まることになった。


「リリンも男湯に私と一緒に入るでしょ」


「ふむ、そうじゃ、お主一人にさせるのは何かふがいないからのう」


 今日も昨日と同じようにリリンの髪を丁寧に洗って背中を流してあげた。

 私もリリンに背中を流して貰って機嫌が良くなっている。

 そして湯船に入り、出て、服を来て、リリンの真っ白な綺麗に延びた髪をドライヤーで乾かしていた。


「ドライヤーくらい我自身でも使えるぞ」


「まあ、良いから良いから」


 そういってリリンのまっすぐに延びた白い髪をドライヤーで丁寧に乾かした。


「リリン、今日は何かご機嫌が斜めだねどうしたの?」


「お主のテンションに付き合いきれんのじゃ」


「とにかくリリン笑顔笑顔」


「笑えぬ」


 そんな時、リリンの魂が見えた感じがする。

 何か不安を帯びた感じの魂の色のような感じがする。


「リリン、どうしたの?何かリリンの魂が元気ないみたいだけど」


「雅人よ我の魂が見えるのか?」


「見えた感じがする。何か不安を帯びた色に染まっている」


「そうか、お主にも我の魂が見られるようになったかあ・・・」


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