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死神様  作者: 柴田盟
第2章南へ。
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創造主に選ばれし者、雅人。

 健康ランドに到着して、私は男性用の寝室に行き、リリンも共に来た。


「やはり雅人の魂を近くで感じられるのは、我にとって至福の時じゃ」


「また、大げさな事を言って」


「大げさな事じゃない。本当の事じゃ」


 そこで私は思いついて、「リリン少し遊びに行かないか?」


「どこへ行くというのだ」


 ここの健康ランドには娯楽施設がある。そこで卓球などカーゲームなどで遊べるところであった。


 リリンを連れていくとリリンはその瞳を輝かせ、「楽しそうな所じゃのう」


「靖子さんには内緒だからね」


「誰に内緒だって」


 突然靖子さんが現れて動揺する私であった。


「いや、その、気分転換にゲームでもして遊んでいようかと思って・・・ごめんなさい」


「私とわらしちゃんを仲間外れにして、二人でゲームですか?」


「だから、謝っているじゃない」


「まあ、良いわ、お金は程々にして、私達も混ぜて貰うんだから」


 四人で健康ランドに設置されているゲームで遊びはしゃいだ。

 まるで本当に家族四人で遊んでいて楽しかった。


「さあ、雅人さん、カーゲームで私と対戦しなさい」


「別に良いけれど」


「これで私に負けたらどんなお願いもする事にしましょうね」


「ええー、じゃあ、私が勝ったら?」


「私も雅人さんのお願いを一つだけ聞いて上げる」


 別に靖子さんにお願い事をする事なんてないのに。


 ・・・・カーゲームは私は惨敗だった。凄く悔しい。


「さて私が勝った事だし、何をお願いして貰おうかしら?」


 何か嫌な予感しかしない。


「雅人よ惨敗じゃったぞ」「ママすごーい」


 リリンと座敷わらしが言う。


「ママ、このアザラシのキーホルダーかわいい」


 座敷わらしがクレーンゲームの方に目を向けている。


「じゃあ、雅人さん。あのわらしちゃんが欲しがっているキーホルダーをとって上げて」


「そんなんで良いの?」


 クレーンゲームは得意中の得意だ。


 私は百円入れてやった。


 すると一発でとれた。


「ほら、わらしとって上げたぞ」


「パパすごーい」


 パパと呼ばれると何かうれしい感じがする。


 そこでリリンが「わらしばかりズルいぞ。我にも何かとってくれよ雅人よ」


 リリンも私の娘だからな。とって上げないと不公平だな。だから「リリンは何か欲しいんだ」と言うとリリンは「あの猫子猫のキーホルダーが欲しい」


 ああ、あの今流行の猫子猫キーホルダーか。


「分かったとってやるよ」


「本当か雅人よ」


「うん」


 早速百円を入れて、猫子猫キーホルダーを一発でとって上げた。


「凄いぞ雅人よ」


 そこで靖子さんが「ねえ、私にも何かとってよ」


「ええーお願い事はもう聞いたでしょ」


「良いじゃない愛する妻の為に何かとってよ」


「使用がないな。それで何が欲しいの?」


「私はあのイルカのキーホルダー」


「分かったよ」


 靖子さんにプレゼントする感じでイルカのキーホルダーをとって上げた。


「ありがとう、雅人さん」


 私のホッペにチューをした。


「やめてよ子供達の前でみっともない」


「雅人ばかりズルいぞ」「パパあたしにも」


 やれやれと言った感じで「分かったよ」と言って、しゃがんでキスをさせて上げた。


「本当に私達って幸せだね」


 と靖子さんは穏やかに言って私もそう思い「そうだね」本当に私達は幸せ者だ。


 リリンとこっそり遊ぶ予定だったが、こうして家族とも呼べる者達と一緒に遊べて幸せを感じてしまった。


 私は思ったんだ。この幸せを壊そうとする者は決して許さないと。


「さて、明日も早い、寝るか」


 私が言うと靖子さんも「そうね」と言ってわらしと一緒に女性の寝室に戻っていった。


 私とリリンは一緒に男部屋へと戻った。


「楽しかったのう雅人よ」


「うん。そうだね」


「雅人」


 リリンは私の胸に埋めながら眠りに入っていった。


 本当にリリンはかわいい奴だ。


 サージェントやジュリアンはリリンは死神の中でも下等な部族に入ると言っていた。

 そんなリリンは私と会うまでの間にたくさん苦しいことに苛まされてきたんじゃないかと思う。


 死神のリリンにも家族はいないのか?


 それとも死神は神様だから、家族なんて者は存在しないのか?


 でもリリンの私に対する甘えっぷりを見てみると、リリンにも家族がいたんじゃないかと思える。


 リリンは私を救ってくれた、もしかしたらリリンも独りぼっちで私がいないと何も出来ないんじゃないかと思える。


 私には使命があると言うが、それはリリンが独りぼっちになりたくないから勝手に作り上げた使命なのかもしれない。


 でもその真相は分からない。


 でもリリンのおかげで私は靖子さんを妻として迎え、座敷わらしを娘として迎え入れることが出来た。


 リリンとあってから、命がいくつあっても足りないくらいに危険にさらされてきた。


 でもリリンのおかげでたった一つの命で、私はこうして生きている。


 これからサタンの回し者が現れて、命がいくつあっても足りないくらいの危険な事はあるのだろう。


 でも私は負けない。


 いつか使命を果たして、サタンを倒し、私達だけのユートピアを探しに行くんだ。


 四人で暮らせて笑顔の絶えない、約束の地へ。


 それが今私の中で秘めている夢だ。





 ******   ******





 朝になり、健康ランドを出た。


「さて、雅人よ今度はどこを目指す」


「とにかく西へ行って南に行く」


 そこで靖子さんは、「それだったら、今度は兵庫に行かない?」


 するとわらしが震え始めた。


「あたし兵庫へ行きたくない」


「どうして?」


 靖子さんが言うと、靖子さんは気がついたらしい「分かったわ兵庫には行かない」


 私も気がついていた、兵庫は何十年もの昔に巨大地震があった場所だ。


 わらしは数年前起こった巨大地震におびえているのだ。

 きっとその事を思い出したくないほどの恐ろしい記憶としてわらしの中に焼き付いているのだろう。


「それじゃあ、岡山に向かうのはどうかな?」


 靖子さんは優しく言う。


 その時である。


「みんな、我の後ろに居ろ」


 と突然リリンが言い出し、私達はまた何かあったのかと思ってリリンの後ろに回った。


 リリンはケッカイをはって、そのケッカイに銃弾がめりこまれていた。


 銃弾が止まらない、私達人間には銃弾が体に当たったら大変な事になってしまう。

 急所なんか射止められたらたまらない。


「リリン、サタンの回し者か?」


「そのようじゃのう」


 そこで靖子さんは「わらしちゃん」とアイコンタクトをとり、座敷わらしが弓に変化した。


「ホーリーアロー」


 いつからそんな名前が付いたのかは分からないが、靖子さんは弓矢を放つ。


 直撃して、銃の嵐は止まり、銃を撃っていた者は霧散して消えていった。


「今度は銃を使う相手かあ」


 リリンはケッカイを解いて霧散していった男の所に行った。


 何か拾って、「奴ら今度はくぐつを使ってきたか」


「くぐつって」


「操り人形みたいな奴らじゃ」


 私はくぐつが持っていた銃を持ち、これは何かに使えそうだと思って持って行く事にした。


 そんな時である。


「ほっほっほっ」


 と笑い声が聞こえてきた。


「誰じゃ、姿を見せい」


「ここだよん」


 辺りを見渡し、その笑い声は上空にいる傘を持った和服姿のおばさんらしき者だった。


「お前もサタンの回し者か?」


 リリンが言うと「その通りだよ。この世にサタン様よりも素敵な人はいないわ」


「リリン」


 剣になってくれとアイコンタクトを取る。


「ふむ分かった」


 リリンが剣になってくれて、戦う体制になった。


「行くぞこのくそババア。

 靖子さん!」


 ホーリーアローを放てとアイコンタクトを取った。


「分かったわ」


「ホーリーアロー!」


 見事に命中して着物姿のババアは断末魔のような悲鳴を上げた。


「今じゃ雅人」


「ホーリーブレード!」


 私も剣を振りかざす必殺技を自己流に命名した。


 見事に振りかざし、着物姿のババアは断末魔を上げている。


「その程度かいあなた達の力は?」


 ハッタリか?と思いきや、私達の攻撃は靖子さんのホーリーアローと私のホーリーブレードの二段攻撃に致命傷を与えただけであった。


「お前達の力はセーブさせて貰った」


「セーブさせて貰っただと」


「ほっほっほっ、今日の所は退いてやる、次会うときまでに首を洗って待っているんだな」


 着物姿のババアは満身創痍ながらも傘をさしながら飛んで去っていった。


「決着は次か」


 するとリリンが元の姿に戻り、「雅人よやっかいな事になった」


「やっかいな事?」


「奴は死神のマリン。受けた攻撃を、セーブする力を持っている。よって今度奴が現れた時は我らの攻撃は通用しない」


「そんなあ、じゃあどうすれば」


「どうすればもこうすればもない、創作の魂を向上させるしかない」


「分かったよ。その事なら任せて」


 早速バスに乗って京都駅に到着して、岡山行きの列車に乗って、そこで私と靖子さんは創作活動をして、座敷わらしは後光を放ち、リリンは魂を感じている。


 とにかく魂を向上させるしか方法はない、あの死神のマリンを倒すには。


 私と靖子さんは、ひたすら創作活動に念を入れる。


「リリン、あの死神のマリンはどれくらいの早さで私達の攻撃をセーブ出来るんだ?」


「二三日と言った所じゃろう」


 今度こそダメかもしれない。

 二三日では私達の魂向上は難しい。


 でも私は諦めない。

 何としても死神のマリンに与えた攻撃以上の物にするしかない。


 座敷わらしはいつもより強い後光を私たちに浴びせている感じだ。


 とにかく後二日。それまでに先ほどの攻撃以上の力を手にしなければならない。


 創作活動をしている間、銃声の音が聞こえた。


 そして列車は止まる。


「何が起こったって言うの」


 靖子さんが言って、気がつくとリリンはケッカイを張って、銃弾の玉を防いでいた。


「雅人、靖子、わらしよ我から離れる出ないぞ」


「死神のマリンが現れたのか?」


 電車は止まったままで、外からマリンのくぐつと思われる連中が銃を構えている。


 どこからかマリンの声が聞こえる。


「お前達の攻撃はセーブした。地獄へ堕ちろ」


 そう言って、外から銃を構えたくぐつが電車の窓を割り、発砲してきた。


「マリンの奴、これほど早く我らの攻撃をセーブしたと言うのか?」


 狼狽えるリリン。


「リリン」


 刀になってくれとアイコンタクトを取る。


 だが「今はそれどころではない、くぐつの連中の玉を防ぐのが精一杯じゃ」


「靖子さん。ホーリーアローを」


「分かっているわ。

 狙うはあのババアのマリンね」


 宙に浮かび和傘を持ち着物を着た変態ババアのマリンに向けてホーリーアローを放つ。


 見事に命中、しかしきいていない。


「仕方がない、靖子よくぐつの連中に、ホーリーアローを放っていくのじゃ」


 矢は何本でも召還される。


 くぐつに矢を命中させる。


 だがくぐつに矢は通用しない。


「ほっほっほっ、くぐつにもお前達の力はセーブしてある。お前達はこれから地獄へと堕ちるのだ」


 リリンのケッカイも弱まりかけている。


 くぐつからの銃弾は容赦なく私たちめがけて撃ってくる。


 もはやここまでか?


 このまま奴らにやられたら私も靖子さんもリリンも座敷わらしも死んでしまう。


 そんな事になったら・・・。


 想像するだけで私は嫌だ。


「靖子さんもリリンも座敷わらしも、死んでしまうのは嫌だ」


 と私が叫ぶと、私の手が光りだし、金色の本と銀色のペンが私にもたらされた。


 どこからか声が聞こえる。


「創造主よ、今は死ぬときではない。お前がこの物語を創造して、その金色の本に銀色のペンでお前の創造で奴らを倒すのじゃ」


 私は言われたとおり、金色の本に銀色のペンで『奴らを皆殺しにしろ』と書いた。


 すると銃弾が止まり、くぐつ達が黒いオーラを霧散させ浄化していった。


 マリンが「何が起こったというのだ」


 するとマリンが「力が抜けていく。力が苦しい。まさか雅人とやらが創造主だったとは」


 マリンは力を無くして、空から地上へゆっくりと落ちて、黒いオーラをすさまじいほどの霧散させ死んでいった。


 靖子さんが「何が起こったの?」と状況を把握できない状態だった。


 そこでリリンが「雅人よそれは創造主の本と創造主のペン」目を丸くして驚いた様子でリリンは言う。


 そんなリリンをよそにくぐつとマリンの真っ黒いオーラが集結して私達に襲いかかる。


 私はその創造主の本と創造主のペンで奴らに対抗しようとしたところ。


「雅人よ、いかん。その本とペンはみだらに使ってはならぬ」


「じゃあリリン」


 剣になってくれとアイコンタクトをする。


「分かったから、その本とペンをしまえ」


 リリンの言われたとおりにして、創造主の本とペンを鞄の中にしまった。


 くぐつとマリンに宿っていたサタンの黒いオーラの集合体が私たちを襲う。


「行くよリリン、靖子さん」


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